五輪で圧巻の演技をみせ、金メダルに輝いた羽生(c)朝日新聞社
五輪で圧巻の演技をみせ、金メダルに輝いた羽生(c)朝日新聞社

 オリンピックのフィギュアスケート男子シングルで66年ぶりの連覇を果たした羽生結弦。世間の興奮が冷めやらぬうちに、新たな目標を口にした。羽生にとって五輪は通過点に過ぎなかったのか。絶対王者の未来のシナリオを徹底取材した。

「ちょっとやる気にはなった。アクセルを改造している状態」

 感動の金メダル獲得から1週間もたたない2月22日、羽生はリンクの上でアクセルジャンプを繰り返していた。エキシビションの練習だったが、クワッドアクセル(4回転半)への意欲はありありとみてとれた。

 かねて「五輪後」に注目が集まっていた羽生だが、早々に現役続行を表明。しかも、4回転半を跳びたいと明言したのだ。

 6種類のジャンプのうち最も難易度が高いのがアクセル。4回転では、まだ誰も成功させていない。

「目標が前人未到のものであれば、そこに自分の存在意義を感じられる。アスリートにとって、これほどうれしいやる気はない」

 ソウル五輪シンクロナイズド・スイミング銅メダリストで、現在はメンタルトレーニング上級指導士の田中ウルヴェ京さん(国際オリンピック委員会マーケティング委員)は、羽生の動機をこう分析する。

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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松岡かすみ

松岡かすみ

松岡かすみ(まつおか・かすみ) 1986年、高知県生まれ。同志社大学文学部卒業。PR会社、宣伝会議を経て、2015年より「週刊朝日」編集部記者。2021年からフリーランス記者として、雑誌や書籍、ウェブメディアなどの分野で活動。

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