入院しても一人で闘病。

「普通の家庭の奥さんじゃないので、僕の看病や見舞い、言葉をかけてもらうのは難しい状況でした」

 医学ジャーナリストの松井宏夫氏はこう解説する。

介護は大変です。介護している人の4人に1人は介護うつになると言われている。昔は大家族で支え合ったが、今は一人っ子が多い。会社のスタッフが介護に協力してくれたという話はとてもいいこと。行政やデイケアなどのサービスを利用することが大切です」

 介護うつはこれからも増えてくる。早めに精神科などにかからないと治療が長引いてしまう。

「小説家でもうつになっていて、作品を書き続けた人もいます。ただし、明日に向かっての明るさはないですよね。ストレスが強い人は早めに病院で心理療法や認知行動療法などを受けるのも効果があります」

 小室も介護についてこう警鐘を鳴らした。

「たった一人の行動で世間が動くとは思えないが、高齢化社会、介護、ストレスにこの10年でふれてきました。僕の話が微力ながら響けばいいなと思います」

 介護に悩む人を音楽で、もう一度、救えないものなのだろうか。(本誌・上田耕司)

週刊朝日  2018年2月2日号

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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