“ただの骨折”が、寝たきりや認知症のリスクを高め、死亡に繋がることも。(※イメージ)
“ただの骨折”が、寝たきりや認知症のリスクを高め、死亡に繋がることも。(※イメージ)

 世界でも群を抜く日本の高齢化。骨粗鬆症も深刻な問題のひとつだ。“ただの骨折”が、寝たきりや認知症のリスクを高め、死亡に繋がることも。生活改善による予防や初期治療が大切だが、骨折する前に気付くことはできるのか。骨粗鬆症について、鳥取大学医学部保健学科教授・萩野浩医師と沖本クリニック院長・沖本信和医師に聞いた。

Q:自覚症状はあるのでしょうか?

A:「骨粗鬆症に自覚症状はほとんどないと考えたほうがいいでしょう。患者さんによっては、背骨を骨折していても、痛みはあるが病院に行くほどではないと感じている人もいます。だから、自覚症状の有無では骨粗鬆症かどうかチェックできません。椎体のX線検査と骨密度の測定が必要です。

 加齢とともに誰もが骨の強度が落ちるので、自覚症状がなくても検査を受け、自分がどの段階にいるのか、積極的な治療を受けるべきかどうかを確認すべきです。過去に骨折をした経験があるなら、検査を受けてください。

 骨折以外での骨粗鬆症のサインとしては、『重いものを持つと腰が痛む』『立ち上がるときに腰が痛む』『起き上がるときに腰が痛む』『身長が縮んだ』『背中が曲がってきた』などがあります」(萩野医師)

Q:骨密度が高めなら骨粗鬆症を心配しなくてもいいですか?

A:「骨粗鬆症は、骨が脆く弱くなり骨折しやすくなった状態です。そして、骨折しやすくなった状態とは、骨密度と骨質の両方が関係しています。骨密度が高くても、糖尿病、慢性腎臓病、関節リウマチといった内科疾患があると骨質は低下します。

 骨は骨吸収と骨形成を繰り返し、健康な骨を維持します。そのピークは一般的に40代までで、それ以降は骨吸収と骨形成のバランスが崩れ、骨量が減っていきます。特に女性は閉経後、ホルモンバランスの関係から骨吸収のスピードが骨形成を上回り、60代以降で骨粗鬆症のリスクが高まります。内科的疾患がある人は、年齢が若くてもリスクを考えて検査を受けるべきでしょう。残念ながら健康保険適用の検査で骨質は調べられないので、骨密度をまずはチェックしてください。家系に骨粗鬆症の人がいる場合も、リスクが高くなります」(沖本医師)

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