「女性は結婚、出産、育児などでキャリアが制限されますが、看護師であれば、年齢や地域に関係なく就職先があり、一定の収入が見込めます。薬剤師や栄養士も同様です」(小林所長)

 ただし、大学を選ぶ際に気をつけたいことがある。前出の小林哲夫氏は言う。
「16年の看護師国家試験の合格率は89.4%ですが、大学によって差が大きい。なかには合格率が7割台の大学もあります。しかも、偏差値が高ければいいというわけではない。大学を選ぶ前に合格率は確認しておくべきでしょう」

 少人数教育が魅力の大学もある。私大医学部は、学費の高さに目を奪われがちだが、東京女子医科大は教員1人当たりの学生数の少なさは2.4人で1位(『大学ランキング2017』)。法政大も少数精鋭の教育を目指す。

「法政大が08年に創設したグローバル教養学部は、募集定員が100人と他学部より少ない。文学部や法学部といった歴史のある学部を抑えて、看板学部となっています」(小林氏)

 文学部でも、大学によっては就職が決して不利なわけではない。大学通信の調査によると、ノートルダム清心女子大文学部の実就職率は95.0%で、文学部で1位。2位の名古屋女子大(94.4%)、4位の武庫川女子大(92.1%)といった女子大文学部は、理系学部に劣らない好成績だ。

「文学部といっても、社会学や歴史学など学べる内容は幅広い。ユニークな人材も多く、そのような環境で大学生活を過ごせば人間の成長にもつながります。就職先も多種で、『文学部=就職に不利』ということではありません」(同)

 これまで「コスパのいい大学の選び方」を紹介してきたが、情報があふれる時代では「選択が難しい」と感じた人もいるだろう。前出の小林所長は言う。

「費用をかけて資格を取得しても、就職後に『思っていた仕事と違った』と辞めてしまうこともあります。そうならないために、親や教師は、大学で学ぶ主役である子供と、どのような勉強が必要で、どれだけの費用がかかるのか、様々なデータを交えながら『将来の人生プラン』について語ることが大切です」

 大学卒業後に「天職」と思える職業に就ければ、それが“最もコスパがいい”。後悔のない選択を。

週刊朝日 2017年1月20日号