最近、ふくらはぎが注目されているのをご存じだろうか。スポーツによる筋肉痛以外で、もしも時折、痛みを感じているのなら、他の原因も探る必要がある。ライターの谷わこ氏が足の専門外来を設ける、お茶の水整形外科・院長の銅冶(どうや)英雄医師に取材した。

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 ふくらはぎ痛を訴えて受診する患者に多いのが、原因が思い当たらないケースだ。「こうした場合、『腰』に由来していることが多いんです」と銅冶医師は言う。

 神奈川県在住の会社員、久保秀泰さん(39)も、そんな一人だった。ある朝、突然、左足のふくらはぎに違和感を覚え、翌日には歩けないほど痛みが強まり、近所の整形外科へ。X線検査をしても骨に異常はなく、医師に「鎮痛薬と湿布薬を使って様子を見ましょう」と言われた。だが何日経っても一向に良くならず、不安になって銅冶医師を受診した。

「ふくらはぎは腫れておらず、押して痛む場所もない。超音波検査でも筋肉に異常は見つからない。そこで『これは腰からきているんじゃないか』と考えました」(銅冶医師)

 ためしに、久保さんに腰を反らす体操を10回ほどやってもらったところ、その場で痛みが軽くなった。銅冶医師は続ける。

「腰の神経は足先につながっていますから、何らかの原因で腰の神経が圧迫されていると、腰からの神経痛としてふくらはぎに痛みが出ることがあります。腰を反らす、あるいはかがむ動作で痛みが和らいだときは、腰からの神経痛によると考えていい」

 久保さんは自宅でも腰を反らす体操を続けたところ、1週間後には痛みが3割くらいまで減り、3週間ほどでほぼなくなった。

 最近増えている市民ランナーのふくらはぎ痛も、腰からきていることが多いという。その場合も体操が有効だ。反らして痛みが軽くなった場合は反らす体操だけを、逆にかがんで楽になったときはかがむ体操だけを1回5セットずつ、毎日2~3回繰り返すといい。

「この体操は腰痛予防としてもお勧め。その際には、反らす、かがむ、の両方を同じ回数やるようにしてください」(銅冶医師)

週刊朝日  2014年3月14日号