東京都の海面処分場を利用する東京23区や、東京たま広域資源循環組合のように組合を結成して、多摩地区26自治体が共同の埋め立て地を利用するケースや、埼玉県の環境整備センターのように県営の最終処分場を利用する埼玉県下の市町村のようなケースもある。

そのため、多くの住民にとって最終処分場は身近でない遠い存在であり、ごみの行く先を把握しづらく、ごみの排出と最終処分をつなげて考えるのが難しい状況にある。

■東京たま広域資源循環組合の二ツ塚処分場

東京たま広域資源循環組合の二ツ塚処分場は日の出町にある(出所:東京たま広域資源循環組合のHP)
東京たま広域資源循環組合の二ツ塚処分場は日の出町にある(出所:東京たま広域資源循環組合のHP)

一方、都道府県外の施設に最終処分を目的として搬出された一般廃棄物の合計は、22万t(最終処分量全体の6.4%)である。当該地方内で十分な最終処分先が確保できていない関東・中部地方(千葉県、埼玉県、神奈川県、栃木県、茨城県、新潟県および長野県)の7県からの搬出だけで17万tにも上り、全体の78%を占める。これらの県のごみは、北海道・東北などへも運ばれている。

■関東圏の一般廃棄物の広域移動状況

(出所:環境省「一般廃棄物処理事業実態調査の結果(令和3年度)について)
(出所:環境省「一般廃棄物処理事業実態調査の結果(令和3年度)について)

最終処分場は無限ではない


最終処分場には当然ながら限りがある。いつまでも無限に廃棄物を埋め立てられるわけではない。

最終処分場の残余年数(新規の最終処分場が整備されず、当該年度の最終処分量により埋め立てが行われた場合に、埋め立て処分が可能な期間(年))は、全国平均で23.5年である。

首都圏(茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・山梨県)では30.1年、近畿圏(三重県・滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県・奈良県・和歌山県)では19.6年となっている。

これらの年数分はごみを処分できると思うかもしれないが、地震や水害などの突発的な自然災害に見舞われた際に生じる災害廃棄物の処分も見込んでおく必要があるため、残余年数は現状の年数よりも短くなると見立てておくほうがよい。

よって、新規の最終処分場の整備に取り掛かっていかなければ、約20年後には清掃行政は機能しなくなり、ごみ収集サービスの提供は行いたくてもできない状況になってしまう。

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東京湾はこれ以上埋め立てができない