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主体性のある女の子の生き様に強く惹かれる――アノヒトの読書遍歴:山内マリコさん(後編)
主体性のある女の子の生き様に強く惹かれる――アノヒトの読書遍歴:山内マリコさん(後編)
自身もオリーブ少女だったという山内さん。山崎まどかさんの『オリーブ少女ライフ』を読むことで、「ティーンライフを追体験できる」と言います。  2008年、短編「十六歳はセックスの齢」で第7回R-18文学賞・読者賞を受賞した小説家・山内マリコさん。富山県出身ということもあって、地方生まれの女性を主人公にした作品に定評があります。2012年には「十六歳はセックスの齢」を含む短編集『ここは退屈迎えに来て』でデビュー。地方生まれ、地方在住女子の閉塞感と希望を描き、今年5月に上梓した小説『かわいい結婚』でも、地方在住・無気力主婦の孤独をコミカルに描いています。 前編に続き、山内さんに読書生活についてお話を伺いました。 ――普段から多くの数の本を読むそうですが、何か好きなジャンルはありますか?  基本的にはジャンル問わずなんでも本を読みますが、「女の子の生き様」というか、女の子が「自分らしさ」を求めて何かに夢中になるようなお話は、私の中で別ジャンルというかどこか特別感があります。昔から女性というのは、何かに夢中になると必ずある問題が出てくるんです。それが、「結婚」です。私がこのたび書いた小説『かわいい結婚』では、まさにその問題に直面した女性を描いています。――同作では、「結婚」についてどのように表現しているのでしょうか。 「結婚」って、もちろんいい部分もいっぱいあるんですけど、おかしなこともたくさんあると思うんですよ。例えば、一緒に住み始めたら女性が家事をすることが当たり前になるとか......。既婚女性の中には「なんで男の人って家事しないの?」と純粋な疑問を抱く人も多いと思います。その疑問をそのまま作品にしたのがこの一冊です。昔とは違って近年の女性は、「結婚」について母親なり周りから教えられる機会ってかなり減ってきていると思うんですよ。教育の上では、男女平等なので。女の子はなんでもできる。女の子だって自立できる。そう教えられてきたのに、大人になって結婚してみると、よき妻よき母を求められる、旧態依然の現実に直面する。少女のころはあれほど自由だったのに。今回紹介する山崎まどかさんの『オリーブ少女ライフ』には、まだそんな現実を知る前の、とびきりきらきらした少女時代が描かれています。――『オリーブ少女ライフ』はどんな作品なのでしょうか。  タイトルにある『オリーブ』というのは、1980年代に創刊されたマガジンハウスの少女向け雑誌『オリーブ』のことです。当時は、10代の女性を中心にとても人気のある雑誌で、愛読者のことを『オリーブ少女』と呼んでいたんです。私は世代が違うせいもあってリアルタイムでは読んでいないのですが、著者の山崎まどかさんは、まさに直系の『オリーブ少女』。この雑誌を通じてさまざまな映画や音楽、小説などの影響を受けた様子を描いているんですが、この本はそんな彼女の少女時代の、メモワールになっています。――特に印象深いシーンはありますか?  この本では、雑誌『オリーブ』の特集に使われたコピーライトがそのまま章のタイトルなっています。その章ごとにその号にまつわる山崎さんの思い出や、当時買った服などの生活の様子が事細かに描かれているんですが、例えば、第1章のタイトルは「制服のない学校だから、おしゃれ」。山崎さんは実際に制服のない学校に通っていだそうで、私服をどうするかは大問題。実際に雑誌に紹介されたお店に買い物に出掛けたりもするのですが、その姿がとても生き生きしていて、なんだかうらやましくて。私は富山県出身なので、そういったお店が家の近くにないものですから(笑)。とにかく『オリーブ』という雑誌には強烈な魅力があって。その雑誌を読んでティーンライフを送っていた日々のさまざまなディテールを、この一冊を読むことで追体験できるんです。 ――ありがとうございます。ほかにもおすすめの本があればご紹介ください。  はい。ライターでイラストレーターの多屋澄礼さんの著書、『フィメール・コンプレックス(彼女が音楽を選んだ理由)』です。この本は、18人の外国人の女性ミュージシャンのライフストーリーから構成されています。一口に女性ミュージシャンといってもいろいろな方がいらっしゃると思いますが、この本で紹介されているのは、トレイシー・ソーンやキャシー・ラモーンなどといった、どちらかというとインディーズよりの方々。著者の多屋澄礼さん自身がDJをやっているので、音楽についてかなり詳しい人物。わたしもはじめて知るミュージシャンも多く、女子の音楽入門編にピッタリの一冊です。――特に惹かれたシーンがあれば教えてください。  いまも昔もですが、女の子が音楽で自己表現をするのってなかなかハードルの高いことだと思います。ギターを構える女の子ってカッコいいけど、多くの女の子は普通はギターを構える男の人に向かってキャーキャー言う方を選びますし。だからこの作品では、音楽性云々より、いかにして音楽に出会い、音楽で自己表現する方の道を選びとったかに、重点が置かれています。実際著者の多屋さんは、自分ではできなかったからこそ、音楽を"やる"方を選んだ彼女たちに、興味と敬意を持っている。ここに登場するのは、さまざまな制約があるといわれる女の子の世界で、自分なりのやり方で自分が納得できる生き方を模索している人たちです。でもそれは、音楽に限ったものでもない。この本で紹介されている女性ミュージシャンだけでなく、書き手の多屋さん自身もだし、「オリーブ少女ライフ」を送って自分自身を形作っていった山崎まどかさんや、安井かずみさんも、みんな同じです。私は、「なにか』をやりたいという気持ちを持った、主体性のある女の子の生き様みたいなものに強く惹かれますね。<プロフィール> 山内マリコ  やまうちまりこ/1980年11月20日生まれ。小説家、エッセイスト。2008年、短編「十六歳はセックスの齢」で第7回R-18文学賞・読者賞を受賞。2012年に、初の著書『ここは退屈迎えに来て』で「地方生まれ・在住女子の閉塞感と希望」を描き、今年5月には、「地方在住・無気力主婦の孤独」をコミカルに描く小説『かわいい結婚』を上梓。
BOOKSTAND 2015/05/19 14:00
中学生の頃は、表紙の可愛さに惹かれて本を選んでいた ――アノヒトの読書遍歴:山内マリコさん(前編)
中学生の頃は、表紙の可愛さに惹かれて本を選んでいた ――アノヒトの読書遍歴:山内マリコさん(前編)
山内さんの最近のお気に入りの一冊は、島崎今日子さんの『安井かずみがいた時代』。安井さんの魅力が伝わる内容に、山内さんも「この本が出たことで安井さんは蘇ったんだと思います」と語ります。  富山県出身の小説家・山内マリコさん。大学卒業後に京都でライター活動をスタートさせ、2008年、27歳の時に、短編『十六歳はセックスの齢』で第7回R-18文学賞・読者賞を受賞。今年5月には、「地方在住・無気力主婦の孤独」をコミカルに描く小説『かわいい結婚』を上梓しました。 かなりの本好きだという山内さん。空き時間があればすぐさま本屋に立ち寄り、自分が読みたい本を探すんだそうです。そんな山内さんに日頃の読書生活についてお話を伺いました。――本はいつ頃から読むようになりましたか?  ちゃんと本を読むようになったのは中学生になってからなんです。小学生の頃は漫画しか読んでなくて。室山まゆみさんの『あさりちゃん』や、高学年になると吉住渉さんの『ハンサムな彼女』とかですね。『りぼん』派だったので、矢沢あいさんの作品も読んでました。そのあと、中学校に上がってから漫画だけじゃ飽き足らなくなって、活字に手をのばすようになりました。――当時の本を選ぶ基準というのを教えてください。  最初のうちはどう選べばいいかわからなくて、表紙の可愛さとかに惹かれて本を選んでました(笑)。例えば、吉本ばななさんの作品。『アムリタ』という小説が、たしかジャケ買い第一号だったような。あとはとりあえず、手当たり次第という感じですね。大学の頃は村上春樹さんにハマッて、20代になると海外モノに目覚めて海外小説を手にするようになりました。昔から私は、どんな本を読むかというよりも、そもそも本を読むこと自体がかっこいいなって思って読書をしていたところはあります(笑)――多く本を読まれている中で、印象に残っている作品は? 最近でいうと、島崎今日子さんの『安井かずみがいた時代』ですね。安井かずみさんという方は、小柳ルミ子さんの『わたしの城下町』や沢田研二さんの『危険なふたり』などの作詞家として、また結婚後はエッセイストとして、ヒップな若者の代表といった存在だったらしいのですが、わたしが彼女を知ったときは、すでに他界された後のことでした。この本は、ムッシュかまやつさんや吉田拓郎さんなど、生前彼女と仲良くしていた方や周りにいらっしゃった方々の、いわば『証言集』になっていて。さまざまな角度から安井かずみさんについて描かれています――特にどんなところが印象的でしたか?  証言者によって安井かずみさんの見え方がかなり違っていて。それもおもしろいところなんですが、時代が変わるとまたさらに違う彼女の顔が見えてくるところがとてもおもしろいです。安井さんは、1977年にミュージシャンの加藤和彦さんと結婚するのですが、その前後でキャラクターが......というよりもセンスがかなり変わってきます。私はどちらの安井さんも素敵だなって思いますが、作中では賛否両論。例えば、70年代に仲良かった人からすると、「なんか変わっちゃったね」と残念がってしまう人がいたり。一方で、80年代に仲良くなった人からすると、想像していた彼女と違った一面を見たりして賞賛する人もいます。人って変わるものだけど、それによって軋轢みたいなものも生じますよね。だけどそれを恐れずに、そのときどきの自分に正直に、自分のやりたいように生きた。時代が進むにつれて安井さんがどんどん進化していく様子がわかるのが、この本の魅力だと思います。――本書では、安井さんのいろいろなエピソードが披露されていますが、中でも山内さんが心に残っているエピソードがあれば教えてください。  文庫版には、新たに小説家の山田詠美さんの解説があるのですが、そこでは森瑤子さんから聞いたエピソードが紹介されています。安井さんは、早朝にもかかわらず庭で白いシックなワンピースを着て華奢なカップとソーサーを手にお茶を飲んでいたそうなんです。それも取材とかではなくたったひとりで。さすが安井かずみというか、彼女がいかに美意識を張り巡らせていたせいかが、伝わってきます。彼女はもう亡くなられていますが、この本を読むと、まるで今も生きているかのような感じがするんです。そういう意味では、この本が出たことによって安井さんは蘇ったんだと思います。安井さんは今も、それぞれの中で生きている――それを実感できる、とても良い本だなと思いました。 後編では、山内マリコさんが影響を受けた本について紹介します。お楽しみに。 <プロフィール> 山内マリコ  やまうちまりこ/1980年11月20日生まれ。小説家、エッセイスト。2008年、短編「十六歳はセックスの齢」で第7回R-18文学賞・読者賞受賞。2012年に、初の著書『ここは退屈迎えに来て』で「地方生まれ・在住女子の閉塞感と希望」を描き、今年5月には、「地方在住・無気力主婦の孤独」をコミカルに描く小説『かわいい結婚』を上梓。
BOOKSTAND 2015/05/18 14:00
第1123回 大食ムクは“ジャイアン女子”
第1123回 大食ムクは“ジャイアン女子”
 やんちゃの折り紙つきの彼女がわが家の一員になって、はや2年。2歳のゴールデンレトリバー女子「ムク」(写真左)です。  家の中で飼うにあたって作った高さ1メートルの柵はその日のうちにらくらく跳び越えられ、落胆。 「高い柵だから大丈夫。これを越えられるならサーカスだよ」と笑った大工さんの顔が浮かびましたが、サーカスに売り飛ばすわけにもいきません。  また、ゴールデンの食欲はえげつないと聞いていましたが、まさにそっちの意味で口から先に生まれてきたような食欲魔ぶりで、開いた口がふさがりません。  大至急自分の分を平らげて、もう一匹(シェパード女子「ミウ」2歳、写真右)のナベに襲いかかる始末。隙あらば小さな猫の皿にも突進。目にあまるのでやめさせましたが、おまえは横取りが得意なジャイアンか?と笑ってしまいました。  食べる姿も2匹を比較すると面白いです。後ろから見ると、ムクは両足をしっかりと踏ん張り、ミウの2倍は「ハ」の字に開いています。おやつだって、ミウは寝そべり、両手にはさんでゆっくりかじり、お上品。ムクを振り返ると、ガッチリ仁王立ちし、ただいま全神経口元にあり、といった風情です。食への気合がハンパじゃないのです。  かと思うと、ユーモラスな姿で笑いを誘ってもくれます。流し台に前足をかけて物色するとき、立ち上がった拍子にブーとおならをするのです。いくら飼い主の目を盗んでいるつもりでも、おのれの尻が悪事をバラしているのには気付いていないようで、ブーとやってはたしなめられる。これは楽しいので、そのままにしておくつもりです。  これからも、たっぷり食べて走って、よく寝てね。そして、たくさん笑わせておくれよ。 (伊藤佳子さん 秋田県/27歳/自営業) 【原稿募集中!】 「犬ばか猫ばかペットばか」では、みなさまからの原稿をお待ちしております。 原稿は800文字程度で、ペットのお写真を添付のうえ、下記メールアドレスまでご送付下さい。 必ず名前、住所、年齢、職業、電話番号のご記入をお願い致します。 尚、掲載は本コーナーと「週刊朝日」の誌面となります。謝礼は6千円。 mypet@asahi.com ※著作権は本社に帰属します
2015/04/23 00:00
工科大学にも新設 「看護学部」人気の秘密
工科大学にも新設 「看護学部」人気の秘密
 看護を学び、看護師資格の取得をめざす看護系学部は全国で急激に増え続けている。今春だけでも鳥取看護大が新設され、松蔭大、神奈川工科大、新潟青陵大、日本福祉大、同志社女子大などが看護学部を新設するなど、看護系の新設は15大学に及んだ。  1991年度以後の看護系大学の数と定員数の推移は、きれいな右肩上がりになっている。看護系学部をもつ国内の大学は、91年度にはわずか11校、看護系学部の定員は計558人に過ぎなかった。それが翌92年に看護師の人材確保を促進する法律ができ、「看護系大学の整備・充実を一層推進していく必要がある」(文部科学省)という方針が掲げられて急増。2006年度に定員1万人を超え、今春ついに定員2万人を突破。大学数は241校にもなった。25年で大学数は約22倍、定員は実に約37倍にも増えている。  こんなハイペースで大学や定員が増えても、看護師をめざす受験生は急増し、志願倍率は同志社女子大で11.4倍、奈良学園大で6倍、北里大で5倍などと高い人気だ。  看護系大学が人気を集める理由は何だろうか。駿台予備学校進学情報センターの石原賢一・センター長はこう話す。 「受験生にとって、看護師という仕事は身近で、将来こんなふうに人の役に立てるというのがわかりやすい。いま、さまざまな名前の学部ができていますが、多くは学生にとって『今のこの勉強が将来何につながるのか』という学業と就職とのつながりが見えづらい状態にあります。とりあえず大学に入るものの、未来図を描けずにいる学生が多い中で、看護学部は将来像が非常にわかりやすい学部だけに、人気があるのです」  日本看護連盟会長で、東京医療保健大の草間朋子・副学長は、看護師の就職先の間口の広さを理由に挙げる。  「看護師は各地で不足していて、景気の良しあしにも左右されない職種で、就職先に困りません。さらに、看護師資格は生涯にわたって持っていられるため、例えば県外に引っ越すような事情があったとしても、再就職先を見つけやすいのです」  看護師の勤務先は、大病院だけでなく、クリニックや小さな診療所もあるし、これからますます高齢化するのに伴って老人介護施設での看護や訪問看護など、幅広い需要が見込める。厚生労働省の推計では、団塊世代の全ての人が75歳を迎える25年には、現在より50万人多い200万人の看護職が必要とされている。つまり、就職難は考えにくいうえ、定員増という「広き門」があるのだから、受験生の人気が高まるのも無理はない。 「看護学部を新設する大学がどんどん増え、相対的に枠が大きくなり、受験生も狙いやすくなっています」(前出の石原センター長)  大学が看護学部を設置する狙いもさまざまだ。今春から看護学部を新設した大学の一つが、神奈川工科大。河野隆二・常務理事に「なぜ、工科大学で?」と聞いた。 「神奈川県は全国で一、二を争うほどの看護師不足で、地域での養成が必要だと感じました。看護の勉強は理系の知識が必要で、情報処理技術や機器の理解も大切。理系の大学環境は、看護学部の設置に適していると考えました」  さらに、工学部を超えた今後の大学の展開という意図もあるという。 「工学系は、国立大など競合が多い学部です。これまでも応用バイオ科学科や、管理栄養士の資格が取れる栄養生命科学科のような、生命・健康を学ぶところを整備して、工学だけでない大学づくりをめざしてきました。教員数の多い看護学部は多くの経費もかかりますが、今後はこの分野を一つの柱としていく考えです」 ※週刊朝日 2015年5月1日号より抜粋
週刊朝日 2015/04/22 16:00
50歳を過ぎてからの「美魔女」と小泉今日子の違いとは?
50歳を過ぎてからの「美魔女」と小泉今日子の違いとは?
小泉今日子の半径100m小泉今日子著定価:823(税込)  どうすれば小泉今日子のように、齢とともに魅力を増していけるのか―― その秘密を知ることは、現代を生きる私たちにとって大きな意味があるはず。  日本文学研究者である助川幸逸郎氏が、現代社会における“小泉今日子”の存在を分析し、今の時代を生きる我々がいかにして“小泉今日子”的に生きるべきかを考察する。 ※「小泉今日子が『美魔女』でない理由」よりつづく *  *  *  先日「ビートたけしのTVタックル」で、お笑いタレントの小藪千豊が「美魔女」を批判して話題になりました。 <大枚はたいてエステに通い容貌を維持する「美魔女」の生き方も理解できる。でも、その対極にいる「白髪染めを買う代金を節約して、子どもの塾の費用にあてるお母さん」もほめてあげないと>  これが小藪のいい分です(注1)。この台詞は、ある「美魔女」が口にした「美魔女コンテストに応募した動機」を受けて発せられています。彼女はこういいました。「専業主婦になって社会とのつながりを失い、女性としての自信をなくした。それで、今の自分がどれだけ評価されるのか確かめたくなった」。 「男性にモテる力」を獲得して、経済力やステイタスのある男性と結婚し、「めぐまれた専業主婦」になる――それがコンサバ系女性の究極目標です。小藪に発言を切り返された「美魔女」は、裕福な夫の援助をうけ、「自分磨き」に相当な費用をかけていました。紛れもなく彼女は「めぐまれた主婦」です。にもかかわらず、美魔女コンテストに応募せずにいられない空虚を抱えていたのです。 「美魔女」は、「赤文字系雑誌の中年版」が提唱する「あるべき40代女性の姿」です。それを選抜する場に、自分の境遇に飽きたらない「めぐまれた主婦」がエントリーした。現代女性にとって、40代を生きることがいかに困難か思い知らされます。 「美魔女」に批判的な人が多いのは、大金を費やした彼女たちの美しさが、他人にとってどんな価値があるか見えにくいからです。小籔が引きあいに出した「白髪染めの費用を塾代にあてるお母さん」は、あきらかに子どもの助けになっています。それにくらべ「美魔女」は、何に貢献するわけでもなく、無駄に美貌を洗練させているように映ります。  社会とのつながりを求めてコンテストに応募した「美魔女」にも、他人の役に立つ意志はあるはずです。同じ悩みを抱える同性を、本を書くことで勇気づける。災害に遭った土地に出むき、ボランティアに励む。そういうことを人より立派にやれるなら、彼女はそちらを選んだかもしれません。  若き日の彼女もおそらくコンサバ系で、「優れた男性に選ばれる努力」を重ねていたことでしょう。彼女にとってもっとも手慣れたスキルは「自分磨き」なのです。得意な領域を生かし、他人とつながりを持つ。この自然な営みが彼女の場合、「美魔女」になることなのでした。  問題は、「40代なのに20代に見えること」が、「美魔女」当人が考えるほど幅広く評価されない点にあります。男性の多くは、「美しくあること」は本物の20代女性に求め、40代女性には「母性」や「癒やし」を期待します。「美魔女」より「白髪染めの代金で子どもを塾にやるお母さん」に好感を持つのです。  女性たちも、「47歳なりのベスト」を追いかける小泉今日子のほうを支持します。たとえ体重が増えても無理なダイエットをしないと小泉今日子は語っていました。「女優」としてのスキルを日々向上させているので、「年相応」であることを抵抗なく受けいれられるのです。小泉今日子にとって、「加齢」は「劣化」ではありません。こういうあり方は「齢を重ねる勇気」を同性に与えます。  ただし、40代を生きるのが困難なのは、「モテ」のための「自分磨き」に励んでいた「赤文字系」OGに限りません。「青文字系」の中年雑誌「GLOW」で活躍する女性が、社会的達成をとげた女性ばかりということは先に述べました。彼女たちの言動は、たしかに人間としての魅力に溢れています。反面、「プロ中のプロ」が固める「GLOW」の誌面には、「女子」の匂いが感じられません。「かわいいものにこだわる、何ものにもなれない女性」を生きさせてくれる雰囲気が、かつての「InRed」にはありました。「GLOW」には、そういう感触が希薄です。「40歳を過ぎて、社会の求めに応じられない女性は哀れである」――そんなプレッシャーに、「GLOW」とその読者はさらされているように感じます。  30代は、肉体的にも、社会との関わり方においても、20代の延長として何とかやっていかれます。しかし40代になるとそうはいきません。懸命に努力して体重を維持しても、肉のつきかたが明らかに変化します。人間関係のうえでも、自分が輝くことより、後進を光らせることを優先させるべきケースが増えてきます。それでいて、「他人から称賛されたい願望」が40代では抜けきりません。  50歳になると、「20代とおなじ外見を持つこと」に諦めがつくようです。社会生活においても、他人に認められたい渇きがやわらぎ、余裕が出ます。「たとえ人から称賛されなくても、私は私」という心境に達するのです。そうなると、「社会の期待に応えなければ」という重圧からも解放されます。  小泉今日子は、加藤治子や大楠道代といった「大人の女優」の「少女のみたいな魅力」について語っています(注2)。50歳以上の女性のほうが、40代よりかえって「女子の顔」を持ちやすいと、小泉今日子も思っているようです。まもなく五十路を迎える彼女自身、これからもう一度「女子」としてのかわいらしさを深めていくことでしょう。  それでは、50歳になった「美魔女」はどうなるでしょうか? 「20代に見えること」の限界に行きあたった後、どういう方向に彼女たちが赴くか、興味は尽きません。あるいは、かつてないような女性のありかたを開拓するのではないか。私は秘かに、それを期待しています。 ※女性誌と小泉今日子のかかわりについては、ツィッター上でsarumi氏からご教示を受けました。感謝します。 ※助川幸逸郎氏の連載「小泉今日子になる方法」をまとめた『小泉今日子はなぜいつも旬なのか』(朝日新書)が発売されました 注1 この回の「ビートたけしのTVタックル」の内容は、下記でに紹介されている http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150414-00000050-mycomj-ent 注2 『蒼井優 8740DIARY 2011―2014』(集英社 2014年)など 助川 幸逸郎(すけがわ・こういちろう) 1967年生まれ。著述家・日本文学研究者。横浜市立大学・東海大学などで非常勤講師。文学、映画、ファッションといった多様なコンテンツを、斬新な切り口で相互に関わらせ、前例のないタイプの著述・講演活動を展開している。主な著書に『文学理論の冒険』(東海大学出版会)、『光源氏になってはいけない』『謎の村上春樹』(以上、プレジデント社)など
小泉今日子になる方法
dot. 2015/04/22 11:30
小泉今日子が「美魔女」でない理由
小泉今日子が「美魔女」でない理由
小泉今日子の半径100m小泉今日子著定価:823(税込)  どうすれば小泉今日子のように、齢とともに魅力を増していけるのか―― その秘密を知ることは、現代を生きる私たちにとって大きな意味があるはず。  日本文学研究者である助川幸逸郎氏が、現代社会における“小泉今日子”の存在を分析し、今の時代を生きる我々がいかにして“小泉今日子”的に生きるべきかを考察する。 ※「小泉今日子が『女子の雑誌』に起用された理由」よりつづく *  *  *  世紀末に、「女子」という言葉に新しい意味が生まれました。ゼロ年代に入ると、「女子」向けコンテンツがさかんに世に出されます。その一つである、宝島社の雑誌「InRed」で、小泉今日子はイメージシンボル的な役割を担いました。  しかし、初期の「InRed」のコンセプトと、30代の小泉今日子のありようがマッチしていたかは疑問です。そのころ小泉今日子は、「『女子』としての魅力」より、「プロの『女優』にしかない凄味」を感じさせる存在になっていました。  ゼロ年代の「InRed」に載せられた小泉今日子のポートレートは、かなりの完成度に達しています。海外ブランドのドレス、トラッドなマリンルック、和服……さまざまなコスチュームを身にまとい、小泉今日子は誌面を彩っています。着ている服やロケーション、季節、天候。撮影された状況にあわせ、彼女の表情や雰囲気は変幻自在です。それは、経験豊かな女優だからこそ可能な業(わざ)といえます。  プロとして仕事をしているとき、それが高度なものであればあるほど、その人の存在から「性別」は消えます。たとえば、被告人の弁護士が男性か女性かを、法廷にいる裁判官はほとんど意識しないはずです。「女優は女でない」と、演劇業界でしばしばいわれるのもこのためです。  性別に立脚した「女子の魅力」は、プロフェッショナルとして振る舞っているさなかには背後に隠れます(そもそも、「社会的評価につながらないかわいらしさ」にこだわるのが「女子」でした。「プロとしてふるまうこと」と「女子らしくあること」は、相容れなくて当然です)。「InRed」に載せられた小泉今日子のファッションフォトは、まさしくそのことを感じさせます。「女子」の雰囲気は、「女優」としての迫力に覆い隠されているのです。  同じ「InRed」のアイコンでも、Puffyのふたりは、どの服を着ても似たような表情を浮かべています。彼女たちは「歌のプロ」なので、モデルとしてはアマチュアに徹しているのでしょう。そのぶんかえって、Puffyのポートレートには、小泉今日子のそれより「女子」感が漂っています。 「InRed」に載った小泉今日子の写真でいうと、エッセイに付されたものの方にむしろ「女子」らしさを感じます。『小泉今日子の半径100m』には、彼女のプライベートフォトが載っています。『小泉今日子実行委員会』に添えられているのは、ヨガや農作業など「初めてやること」に挑戦する姿をとらえたものです。どちらにも、プロとして仕事しているときとは違う、アマチュアの顔をした小泉今日子が写っているのです。 「30代女子」にむけて「InRed」を刊行していた宝島社は、2010年に40代女性をターゲットにした雑誌を創刊します。「大人女子」を謳い文句にした「GLOW」です。初期の「InRed」に登場していた永作博美やYouは、そのころ40代に差しかかっていました。彼女たちは「InRed」を卒業し、「GLOW」のアイコンの役割を引きうけます。  小泉今日子も、「InRed」ではなく「GLOW」の誌面を彩るようになりました。「GLOW」は、40代の「女子=プライベートな空間でより輝く存在」を対象にしています。誌面に登場するのは一流のプロフェッショナルが中心です。40歳を越えたら、それなりの社会的達成を遂げていないとプライベートも楽しめない。それがこの雑誌の主張なのでしょう。個人的には、「GLOW」の小泉今日子は、「InRed」の彼女より魅力的に映ります。熟練の「女優」ならではのたたずまいが、雑誌の雰囲気にぴったりだからです。  女性誌には「赤文字系」と「青文字系」の二系統があるとしばしば指摘されます。「赤文字系」は、「男性からもてること」につながるコンサバ系スタイルを提案します。「JJ」や「CanCan」「ViVi」などが典型です。これに対し「青文字系」は、ストリート系カジュアルファッションに焦点を当てます。読者は、「モテ」よりも「自分の好きな恰好をすること」を優先するタイプです。「Zipper」や「CUTiE」などが「青文字系」に分類されています。「自分自身のために費やされる女らしさ」につながる「女子」は、「青文字系」メディアで発展した概念です(「女子力」が「男性に対するアピール度」の意味で使われることもあり、紛らわしいのですが)。 「InRed」や「GLOW」は、「女子」を看板に掲げ、「男性ウケ」とは一線を画する「女性の魅力」を追求しています。位置づけとしては、大人になった「青文字系」読者のための雑誌です。いっぽう、「赤文字系」を卒業した女性たちは、30代で「VERY」、40代で「STORY」を読むことが多いようです。  数年前から「美魔女」というフレーズをしばしば耳にします。「本当は40代なのに、魔法にかかったみたいに20代にしか見えない女性」のことだといいます。「STORY」の姉妹誌で、40代女性にむけてコスメを紹介する「美st」が、最初にこの言葉を提唱しました。「STORY」や「美st」では、「理想の中年女性の姿」として「美魔女」をアピールしています(「美st」誌上では、「国民的美魔女コンテスト」が毎年行われています)。  小泉今日子は、かつて「青文字系」読者だった「40代女子」を象徴するような立場にあります。そして、中年になった「赤文字系」卒業生の「目指すべき姿」として推奨されているのが「美魔女」です。  2年前の「GLOW」誌上で小泉今日子は「体重とかも、実はガンガン増えてるんですけどね」と語っています。それでも無理なダイエットはせず、「47歳なりのベスト」でいいと考えているのだとか(注1)。「20代に見える40代」でありつづけるために、美容に励む「美魔女」とは対照的です。  小泉今日子と「美魔女」は、ある面から見ると「ライバル」といえます。ただし、両者の受けいれられ方の差は甚大です。40代になってからの小泉今日子が称賛を集めているのに対し、「美魔女」はしばしば否定的に語られます。 ※「50歳を過ぎてからの『美魔女』と小泉今日子の違いとは?」につづく ※助川幸逸郎氏の連載「小泉今日子になる方法」をまとめた『小泉今日子はなぜいつも旬なのか』(朝日新書)が発売されました 注1 「小泉今日子になるには?」(「GLOW」 2013年5月号) 助川 幸逸郎(すけがわ・こういちろう) 1967年生まれ。著述家・日本文学研究者。横浜市立大学・東海大学などで非常勤講師。文学、映画、ファッションといった多様なコンテンツを、斬新な切り口で相互に関わらせ、前例のないタイプの著述・講演活動を展開している。主な著書に『文学理論の冒険』(東海大学出版会)、『光源氏になってはいけない』『謎の村上春樹』(以上、プレジデント社)など
小泉今日子になる方法
dot. 2015/04/22 11:30
小泉今日子が「女子の雑誌」に起用された理由
小泉今日子が「女子の雑誌」に起用された理由
小泉今日子の半径100m小泉今日子著定価:823(税込)  どうすれば小泉今日子のように、齢とともに魅力を増していけるのか―― その秘密を知ることは、現代を生きる私たちにとって大きな意味があるはず。  日本文学研究者である助川幸逸郎氏が、現代社会における“小泉今日子”の存在を分析し、今の時代を生きる我々がいかにして“小泉今日子”的に生きるべきかを考察する。 *  *  * 「女子力」「女子会」「◯◯女子」――近年では、「女性」とは別の独特のニュアンスが、「女子」という語に込められています。  もともと「女子」という言葉は、学校において「男子」と対比的にもちいられていました。運動競技の名称にも、「男性」と「女性」や「男流」と「女流」ではなく、「男子」と「女子」が使われます(「女子マラソン」「男子平泳ぎ決勝」など)。これは、スポーツが教育現場で発達してきた名残です。  今日のような意味を「女子」が帯び始めたのは、1990年代後半からだといわれます。漫画家の安野モヨ子が、イラスト入りエッセイ『美人画報』(「Voce」で1998年連載開始)で「女子力」について語りました。これが、「女子」という概念を更新する大きな引き金になったようです(注1)。 「女性会」と聞くと、「女の人の集まり」という以上のイメージは浮かばないという人の方が多いでしょう。ところが「女子会」となると、男女混合の催しでは見られない「女性ならではのパワフルさ」がみなぎっている感じを受けます。  新しい意味での「女子」を、一義的に説明するのは困難です。自分にそなわった「『女の子』に特有のかわいらしさ」を、「私らしい」という理由だけで愛でる存在――いちおう私は、こんな具合に「女子」を理解しています。 「私はモテにも社会的評価にもこだわらない。自分がかわいいと思うものと、それをかわいく感じる自分を肯定する」  これが「女子」の精神ではないでしょうか。  かつて、女性が自分に磨きをかける最大の動機は、男性を惹きつけることでした。この状況は、バブル経済崩壊後に一変します。多くの男性が、長びく不況のため、恋愛にお金を使う余力を失ったのです。一方、1985年に男女雇用機会均等法が施行された影響から、高収入の女性が増えはじめます。女性に贅沢を与えられる男性は減り、自力で贅沢のできる女性の層は広がる。異性を魅了することで女性が得られるメリットは激減しました。  それでも女性たちは、「女らしさ」を研ぎ澄ますことを止めませんでした。「美しくあること」からの撤退は、同性からなめられることにつながります。また、エステやメイクには、自分にしかわからない楽しみ方があります。「モテるため」ではなく「同性から軽んじられないため」、あるいは「自分を満足させるため」――「女らしさ」を洗練させようとする「第一の動機」は、この20年でそんな風にシフトしました(現代女性のファッションやメイクは、ふつうの男性には解読できないほど高度化かつ多様化してきています)。 「女子」は、モテや社会的評価にかかわりなく、「自分らしいかわいらしさ」を追求します。「女らしさ」が「男性ウケ」と密着していた時代なら、こういう「女子」のありかたは表に出てこられなかったでしょう。  2000年代、いわゆるゼロ年代に入ると、年齢的には「女の子」と言いがたい30代以上の女性に、「女子」的なありかたを提案する雑誌が現れます。代表は、2003年に宝島社が創刊した「InRed」です。この雑誌は、「30代女子」というフレーズをまさに看板に掲げています。  小泉今日子は、タレントのYouや女性歌手グループのPuffy、女優の永作博美などと並んで、「InRed」の表紙をくり返し飾りました。また、創刊当時から6年にわたって、エッセイも連載しました(それらは『小泉今日子の半径100m』『小泉今日子実行委員会』[共に宝島社]にまとめられています)。  アイドルとしての小泉今日子が画期的だったのは、同性からの人気が高かった点です(詳しくは、助川幸逸郎「小泉今日子が“女の子”に支持された理由」dot.<ドット>朝日新聞出版 参照)。男の子をターゲットにしない「かわいらしさ」が、アイドル時代の小泉今日子の大きな魅力でした。そんな彼女が、「InRed」の刊行がはじまった2003年には37歳。「30代女子」のライフスタイルを広めようとする雑誌が、小泉今日子に目をつけたのは当然といえるでしょう。 ※「小泉今日子が『美魔女』でない理由」につづく ※助川幸逸郎氏の連載「小泉今日子になる方法」をまとめた『小泉今日子はなぜいつも旬なのか』(朝日新書)が発売されました 注1 米澤泉『「女子」の時代』(勁草書房 2014年)の指摘による 助川 幸逸郎(すけがわ・こういちろう) 1967年生まれ。著述家・日本文学研究者。横浜市立大学・東海大学などで非常勤講師。文学、映画、ファッションといった多様なコンテンツを、斬新な切り口で相互に関わらせ、前例のないタイプの著述・講演活動を展開している。主な著書に『文学理論の冒険』(東海大学出版会)、『光源氏になってはいけない』『謎の村上春樹』(以上、プレジデント社)など
小泉今日子になる方法
dot. 2015/04/22 11:30
いまや女子生徒ひとり 丸山茂樹ら輩出した名門ゴルフ部
丸山茂樹 丸山茂樹
いまや女子生徒ひとり 丸山茂樹ら輩出した名門ゴルフ部
 日本のゴルフ界を牽引してきたプロゴルファーの丸山茂樹氏が、高校時代の恩師との思い出を振り返った。 *  *  *  3月末に、母校の日体荏原(えばら)高校(東京都大田区)へ行ってきました。「ゴルフ部復活の会」に参加してきたんです。  自分で言うのもなんですけど、荏原のゴルフ部は全国高校選手権で5度の団体優勝を果たした名門です。卒業生は僕を含め16人もプロゴルファーになってます。それが次第に部員数が減って、10年ほど前に同好会になったんですね。いまは女子生徒ひとりだけという状態で。  去年は学校創立110周年だったし、ゴルフ部は今年創部40年だし、何とかゴルフ部を再建しましょうよということで、「復活の会」を開いたというわけです。  4月から、僕の日大時代のコーチだった佐藤文宏さんが監督、荏原の先輩であるプロゴルファーの増田健さんがコーチに就任しました。僕も新入生の勧誘だったり、チームがしっかりしてきたら、技術的なレクチャーだったりで、お手伝いできればと思ってます。  高校時代はね、ほんとにいろんな思い出がありますよ。1985年、僕が1年生のときに荏原が全国で団体の初優勝をするんです。   3年に伊澤利光さん、2年に西川哲さんがいました。僕が中学生のときから「お前が入ってきたら、絶対日本一になれるから」って言ってくれてて、ほんとにすぐに優勝できました。2年のときも日本一。3年のときは3打差で負けて悔しい思いをしましたけど、それも含めて思い出深い3年間でしたよ。  荏原のゴルフといえば山下七郎監督なんです。荏原の教員で、長らく監督を務められ、2001年に66歳で亡くなられました。  まあこれが面白い先生でね。かつて日本の委任統治領だったサイパン生まれ。ほんと怖い先生だったから、「鬼のサイパン」って呼ばれてました。「俺はなあ、サイパン島アスリート村字チャチャで生まれたんだ」ってのが口癖でした。ほんとにそんな地名があるのかどうか知りませんけどね。  山下先生はゴルフは全然ダメで、技術指導なんかしません。もう人間指導というか、精神指導というか。話は面白いし、僕らの話をちゃんと聞いてくれる懐の深い方でした。僕はほんとにいっぱい怒られましたけど、あるとき他の学校の生徒とケンカになったんです。そのとき先生は頭ごなしに怒ったりせず、ちゃんと理由を聞いた上で、僕をかばってくれました。  問題を起こして出場停止になった生徒がいても、見捨てることなく、その生徒も含めて「みんなで力を合わせてやろう!」と。チームを一つにさせるのが、上手な人でした。だから黄金時代を築けたんですね。  僕が日大に進んでプロになってからも、「頑張ってるじゃないか」と連絡をくれました。あるとき、「俺の願いを聞いてくれ。マスターズに行きてえんだ」って言うから、僕の何回目かの出場のときに、一緒に連れていってあげました。  その数年後に亡くなられて。そのとき僕は「ああ、先生もう長くないって感じてたから、マスターズ行きたいって言ったのかなあ」って思いましたね。  02年に僕は伊澤先輩と組んで、メキシコでのワールドカップで優勝しました。ふたりでボールにサインをして、先生の墓前へ供えてもらいました。 ※週刊朝日 2015年4月24日号
丸山茂樹
週刊朝日 2015/04/19 07:00
フジマキ氏「日本の財政再建は10周遅れ」
藤巻健史 藤巻健史
フジマキ氏「日本の財政再建は10周遅れ」
“伝説のディーラー”と呼ばれモルガン銀行東京支店長などを務めた藤巻健史氏は、国会で議論されている、「基礎的財政収支(PB)の黒字化目標」では、日本の財政危機は変わらないという。 *  *  *  一橋大学に入学し体育会スキー部に入った1カ月後、陸上インカレがあった。東大の検見川グラウンドで行われる駅伝なのだが、いくら雪の上ではないといってもスキー距離競技の全日本代表級の選手たちと一緒に走るのだから惨敗は必至だ。  1年間の予備校生活で体力が全くなかったのにもかかわらず、一橋大Bチームの第3走者を仰せつかった私は、自らのみじめな姿を連想し、落ち込んだ。「一橋大Bチームは例年、他チームに何周も遅れ、ビリかブービー争いをする。あまりに可哀想なので、他校の女子学生が皆、応援してくれる。だから頑張れ」との先輩たちの言葉はなんら励ましにならなかった。  ところが当日、JR新検見川駅で電車を降りた途端、青空がにわかに暗転、暴風雨並みの雷雨がやってきて、駅にとめ置かれた選手陣に競技中止の知らせが入った。天は私を見捨てなかった。ちなみに冬が近づいてきたので、私は水泳部に入ろうかと思ってスキー部を辞めた。へそ曲がりぶりは、当時からのようだ。 ★   ★  国会で財政再建の議論になると10人が10人、2020年度に基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)が黒字化できるかの追及をする。たしかに政府の国際公約がそうだから当然なのかもしれないが、私は違和感を覚える。政府は「PBの黒字化目標」を前面に出すことによって、「PBさえ黒字化すればもう安心」という印象を国民に植え付けているような気がするからだ。   国民の目を財政危機からそらしている。PB黒字化など財政再建の第一歩にしか過ぎないのだ。財政再建の困難な仕事はPB黒字化達成後から始まる。  PBは、国債の元本と支払利息の合計である「国債費」を除いた話である。  今年度予算は96兆円の歳出であるが、国債費23兆円とPB対象経費73兆円とに分解できる。このPB対象経費73兆円を「税収と税外収入(今年度予想は60兆円)」で賄えればPB黒字化となる。今年、「税収+税外収入」が想定以上に上がって(そんなことはありえないが)73兆円となりPBが黒字になったとしても、今年度の決算では国債費分の23兆円が赤字だ。このため累積赤字は増え続ける。  13年11月25日の参議院決算委員会で、私の質問に対し、甘利大臣は「20年度の国債費は43兆円程度」と答弁されている。ということは20年度にPB黒字化の目標が達成できたとしても20年度の赤字幅は、今年度の36兆円よりも大きくなるわけだ。  財政再建とは、単年度予算が黒字化し、累積赤字が減少して初めて言えるはずだ。10年のトロントサミットでは、日本以外の先進国は、それに近いことをコミットした。実際にドイツや米国の財政の改善ぶりには目を見張る。ところがそのような目標は日本にとっては到底、達成不可能ということで、特別措置として5周遅れのPB黒字化を目標としてもらった。  それにもかかわらず、その目標さえ達成が危ぶまれている状況だ。今や他の先進国と比べて日本の財政再建は10周遅れという状況だ。あまりにも可哀想だからといっても、他国が応援してくれることはない。天は日本を見捨てないでいてくれるだろうか? ※週刊朝日  2015年4月24日号
週刊朝日 2015/04/16 07:00
女子も大注目 農学部人気がホンモノの理由
女子も大注目 農学部人気がホンモノの理由
※イメージ写真  近年、農系学部の注目度がぐんぐん上がっている。泥臭いイメージは今や昔。特に女子学生からの支持が高いのが特徴だ。この少子化の時代に、新たに農系学部を設置する大学も目につく。龍谷大学(大津市)もその一つ。人気の秘密を探った。  同大学にとっては、生き残りをかけた学部新設だ。佐藤研司副学長は、 「18歳人口が減り続けていく中、大学の収入をどう確保していくかを学内で検討したとき、現在の学部編成でいいのかという議論になった。これから先の社会の動きを見据えたとき、重要なテーマのひとつに食糧の問題があった。日本の農業の現状を見ると、コアになる人材がいなくなっている。需要があると思った」  と、農系学部に勝機を見いだした理由を語る。学部新設を発表した2012年春はちょうど、国会で環太平洋経済連携協定(TPP)交渉が話題になっていた時期。日本の農業のあり方を考えようという機運が高まっていた。 「われわれにとっては、フォローウインド。後ろから吹いてきた風にうまく乗っかれた」(佐藤副学長)  農系学部でも名称を「生命○○学部」「バイオ○○学部」などとしている大学が多い中、あえて「農学部」として、真正面から農業に取り組む姿勢を打ち出した。学科は、農作物の仕組みを学ぶ「植物生命科学科」、育てる技術を学ぶ「資源生物科学科」、栄養素と健康の関わりを学ぶ「食品栄養学科」、食物を取り巻く社会問題を学ぶ「食料農業システム学科」の四つ。広島大学理工学部から龍谷大に移り、農学部の教授に就任した古本強教授(植物生理学)は、 「食物の育て方、栄養素のこと、流通のこと。それぞれの専門性だけを高めても日本の農業は廃れてしまう。横断的なカリキュラムを組んで幅広い知識を持った人材を育てたい」  と意気込む。初の学生募集となった今年の一般入試では、定員220人に対し、志願者は約3800人と滑り出しは上々。大学全体の志願者数も前年比2割増しだ。  人気を呼んだ理由は、大学側の農業に対する熱意が伝わったことはもちろんだが、学生側のニーズとマッチした部分も大きいようだ。教育情報会社「大学通信」の安田賢治常務取締役は、 「人気の理系で最難関は医学部。そこに入れないと次は薬学部だが、6年課程となり、経済的負担が増した。おのずと、食品メーカーなどに安定的に就職ができる農系学部に注目が集まっているのだろう。それほど大学数が多くないため、学生が全国から集まってくるので、大学の生き残り戦略としても正しいだろう」  と話す。大学通信によると、14年の全国の大学の学問分野別合格倍率(志願者数を合格者数で割った数字)は、農系学部は4.0倍。医学部の10.4倍、薬学部の4.7倍に次いで高く、文学部と法学部の2.9倍を上回る人気ぶりだ。  新潟県では、農業系の専門学校などを運営するNSGグループの学校法人新潟総合学園が18年度、新たに農系学部のみの「開志大学」を開設する予定だ。経営が難しくなりつつある地方で、しかも単科大学の開設。さらに、県内には国立の新潟大学に農学部がすでにあるという異例づくしの状況だが、新大学設置準備室の矢田広視室長は、 「北信越地区には、私立の農系学部がない。従来、首都圏に流れていた学生や、新潟で農業を学んでみたいという学生がいると読んでいる。実学を重視したカリキュラムを組み、特色を出したい。地元の農協や役場などの就職先もあり、学生は確保できるだろう」  と、自信を見せる。  そんなニーズをいち早くキャッチして始動しているのは、吉備国際大学(本部・岡山県)だ。13年4月、兵庫県南あわじ市に「地域創成農学部」を新設。「生産者(第1次産業)、加工業者(第2次産業)、流通業者(第3次産業)を一貫して行う『第6次産業』としての農業」を掲げ、約100人の学生が学んでいる。眞山滋志学部長は「第6次産業化はレストラン経営やツーリズムなど、新しいビジネスや雇用の創出につながる」と話す。 ※週刊朝日 2015年4月17日号より抜粋
TPP大学入試
週刊朝日 2015/04/13 07:00
キーワードは「幼稚園」 プログラミング教育の先駆者が語る、2020年型教育のあり方
キーワードは「幼稚園」 プログラミング教育の先駆者が語る、2020年型教育のあり方
動画を制作するワークショップの様子。天井に設置されたカメラに向け「1」の人文字をつくっているところ クリエイティブと教育について語るレズニック教授  2020年は、東京オリンピックが開催されるだけでなく、高齢者(65歳以上)人口が30%を超えると予測され、経済から社会構造までさまざまな変化が起こるともいわれている。さらに同じ年、教育でも大きな改革が行われようとしているのをご存じだろうか。  昨年11月、下村博文文科相は、中央教育審議会に次期学習指導要領(20年度改訂予定)の検討を諮問。答申は16年度の予定だが、アクティブラーニング(能動的な学び)が随所に盛り込まれるという。リーダーシップやコミュニケーション能力の向上を図るのが目的だ。しかし、アクティブラーニングといわれても、教育の最前線に立つ教員はもちろん、保護者、そして子ども自身も「何をすればいいのかわからない」と感じてしまうかもしれない。  そのような疑問に対するひとつの提案となりそうなのが、4月1日に日本科学未来館(東京)で開催されたイベント「未来の学び×CREATIVE LEARNING」。ベネッセが、グループ創業60周年を迎え、前述の次期学習指導要領や新時代の教育のあり方を見据えたワークショップとトークセッションを主催した。  第1部では、18人の小学生が参加するワークショップを実施。約1分30秒の動画「ボクらのプロモーションビデオ」を制作した。天井に固定したプロジェクターで床をキャンバスにし、子どもたちが床に寝そべりながら体を使って表現したものを天井カメラで撮影。それをコマ撮りアニメのようにつなげていく。子どもたちは、カメラの映像を見ながら、イメージと異なる部分を周囲の仲間と話しながら少しずつ修正し、自分たちのイメージにあう作品を仕上げた。  状況を客観視しながら修正を加えていく活動は「メタ認知」の力の育成につながり、かつプログラミング思考を育てる狙いがあるという。写真や映像、ダンスなど、各分野のプロフェッショナルによる力添えがあるとはいえ、動画の演出・出演を主体的に行うのは小学生たち。教える、教えられるという枠組みの中で制作するのではなく、子どもが自ら考え、そしてコミュニケーションを図りながら1つの作品をつくり上げることを狙ったものだ。  18人の小学生はそれぞれ個性的で、何も言われなくてもアイデアを提案する子がいれば、なかなか口を開かず、進行役のスタッフにマイクを向けられてようやく話し始める子も。しかし、時間が経つごとに打ち解けた雰囲気となり、チームごとでどのような動画にするかの議論が始まると、意見を言いづらそうにしている子に仕切り上手な子が手助けしてあげる、といった場面も見られた。  制作した動画は、ホールに場所を移して行われた第2部の冒頭で公開。参加した小学生も立ち会い、「自分たちのつくったものがこんな形になるなんて、すごいと思った」「またやってみたい」といった感想が聞かれたのと同時に、「編集してくださった方はすごい」とスタッフを気遣う声もあり、その大人びたコメントに会場はあたたかい笑いで包まれた。  続けて行われたのは、マサチューセッツ工科大学メディアラボのミッチェル・レズニック教授による講演。同教授は学習用プログラミング言語「Scratch(スクラッチ)」を開発した人物で、デジタルと学び、そしてクリエイティブな学びを考える観点から、今回招かれた。  講演では、世界中の子どもたちがScratchを用いて制作した、大人顔負けのプログラミング作品が紹介されたが、一方で次のような「反面教師」となり得る事例があったと披露した。 「Scratchのオフィシャルサイトには、世界中の子どもたちによる1万余りのプログラムが公開されています。ある朝、サイトを見ると50の全く同じ作品が投稿されていました。最初は『バグが起こったのではないか』とも思いましたが、全く違う50人の子どもたちが公開したのも確か。よくよく調べてみると、50人は同じ学校の同じクラスで、先生の『ああしなさい、こうしなさい』という指示のまま、プログラムを公開していたというのがわかりました。これでは、プログラミングは学べたかもしれませんが、クリエイティブな思考を育むことはできません」    クリエイティブな教育を行うという本来の目的と、こうした現場での実態との乖離を防ぐには、Project(プロジェクト)、Peers(みんなで考える)、Passion(情熱)、Play(遊び)の「4つのP」が必要だと、同教授は提唱する。最後のPlayに関しては、「教育なのに、遊び?」と思う人もいるかもしれないが、たとえば幼稚園で子どもたちは積み木でタワーをつくる、クレヨンで絵を描く、友達とボール遊びをする、というような「遊びのプロジェクト」を通して学びを得る。そして、プロジェクトの完成を見るには、わからないことについて考える、試行錯誤する、などの過程もあり、単なる遊びを指すものではないと説明した。  こうした理念を基に、同教授は自身の研究グループを「Lifelong Kindergarten(生涯幼稚園)」と名づけている。講演に続いて行われた、レズニック教授、同志社女子大学の上田信行特任教授などによるトークセッションでも、あらためて教師・生徒という枠組みにとどまらず、幼稚園での学びのような教育も必要であるとの議論が展開された。  ダイバシティー(多様性)という言葉を聞くことの多い昨今だが、多様性を受け入れ、さらにその人自身が多様性のあるクリエイティビティを発揮するためには、童心に返るのもその方法の1つといえそうだ。  レズニック教授が提唱するプログラミング教育も、一部の高度なプログラマーの育成ではなく、誰もがこれからの社会を生きていくために必要な「クリエイティブな力」を育てることが目的。大人が知っている答えを、子どもに効率的に教えていく教育から、大人も子どもも答えを知らない問題を解決する教育への転換が、今目指されている。 【関連リンク】 まなびmeeting http://www.benesse.co.jp/manabi_meeting/
dot. 2015/04/11 00:00
Chelsyや数々のミュージシャンを輩出したオーディション“みつばち軽音楽部”7組の新人が卒業ライブで見せた夢への第一歩
Chelsyや数々のミュージシャンを輩出したオーディション“みつばち軽音楽部”7組の新人が卒業ライブで見せた夢への第一歩
Chelsyや数々のミュージシャンを輩出したオーディション“みつばち軽音楽部”7組の新人が卒業ライブで見せた夢への第一歩  YUI、FTISLAND、東京女子流、ステレオポニー、Chelsyなどの数々のヒット曲を手がける制作会社 Honey Bee Studio。同事務所が渋谷 Milkywayとタッグを組み開催したオーディション『みつばち軽音楽部 第三期生』に選ばれた新人アーティスト達の卒業ライブが行われた。  みつばち軽音楽部(http://bit.ly/1IOMF2O)は、Honey Bee Studioが主催するオーディションで、第一期、第二期はソニーミュージックとタッグを組み、パートごとにバンドアンサンブルレッスンを行い、新人アーティストを育成。昨年メジャーデビューしたChelsyや、今年下半期にCDデビューとなるChu's day.に加え、数々のスタジオミュージシャンなどを輩出してきた。第三期となる今回は、ライブハウス渋谷 Milkywayとタッグを組み“フロントマン”にフィーチャー。2か月に1回のライブレッスンを経て大きく成長した7組の新人アーティストが、3月29日 同会場へ集結しその成果を披露。夢への第一歩を踏み出した。  トップバッターは、北海道出身19歳のMARIN。最初は緊張した姿を見せていたが、歌い始めると鋭くも心にしみる歌声で堂々とステージを彩っていった。次に登場したのは、17歳の赤石輝(vo,g)。バンドのメンバー柴崎優人(b)、井村瑠樹(key)、牛流叶愛(dr)を携え、フレッシュで希望に溢れたライブを披露。続いて、スパーンと抜けの良い歌声を聞かせてくれたのは中学2年生のMOMOK☆(ももか)。Superfly「愛をからだに吹き込んで」のカバーでは、中学生らしからぬ歌唱力で観客の度肝を抜いた。シンガーソングライター 香焼志保は、“気持ち”が感じられるライブを展開。オリジナル曲「雨にもまけず」で声を枯らす瞬間もあったが、それが切ない歌詞と重なって感動を誘った。  中盤に差し掛かり、明るい笑顔で大きな存在感を見せてくれたのは、SUZUHA。演劇女子部オーディションに合格し、スマイレージ(現アンジュルム)が主演したミュージカル『S/mileage's JUKEBOX MUSICAL 「SMILE FANTASY!」』にも出演。弾き語りでのmiwa「ヒカリへ」歌唱に加え、オリジナル楽曲「Change My World」ではキレのよいダンスも披露。15分間のステージからも感じ取れる多才さに、今後の活躍にも注目だ。  そして、後半戦も元気にスタート。身長148cmのシンガーソングライター たなまは、バックバンドにOmoinotakeの3人を迎え、小さな身体から大きな夢に溢れた等身大の歌を披露。なお、8月8日に同会場でワンマンライブを開催する事も発表し、更なる飛躍を祝う拍手で会場は包まれた。本編ラストを飾ったのは、ヒナタミユ。サポートメンバー湯沢泰人(cajon)を携えて、あたたかく包み込むような歌声と切ないアコースティックギターで三期生卒業ライブを締めくくった。そして、本日のゲストとして大トリに登場したのは、同オーディション二期生と一期生からなる女性ボーカルロックバンドChu's day。2月にワンマンライブ(http://bit.ly/1I6mrv4)を大成功させ、CD全国リリースに向けてレコーディングを終えた彼女たちは、以前より研ぎ澄まされたステージで会場を盛り上げ、3期生の卒業を祝った。  本オーディションでの活動を糧に、今後それぞれが大きく羽ばたいていく姿にも是非注目してほしい。なお、Honey Bee Studioでは、形態問わず夢を持ったアーティストを随時募集(http://bit.ly/1BL2FwT)している。  また、同事務所所属のChelsyは、4月5日 渋谷TSUTAYA O-WESTにてワンマンライブ【Chelsy's Happy Easter】を開催。さらに、Chu's day.は4月11日 渋谷eggmanで開催されるガールズバンドが集結するイベント【GIRLS ROCK SPLASH!! 2015 SPRING】への出演が決まっている。 取材&テキスト:内山直也撮影:Jun Ando(Honey Bee Studio) ◎Chelsyワンマンライブ【Chelsy's Happy Easter】 4月5日 渋谷TSUTAYA O-WEST 開場17:30 開演18:00 (問)H.I.P. 03-3475-9999 ◎ODYSSEY Presents【GIRLS ROCK SPLASH!! 2015 SPRING】 4月11日(土)渋谷eggman 開場16:00 / 開演17:00 ※16:30からO.A 出演:がんばれ!Victory /Chu’s day./Split BoB/BAND-MAIDR/SORAMIMI/姫carat O.A:葵ミシェル / MC:ハグてっぺい 料金:スタンディング 2,500円(税込)
billboardnews 2015/04/03 00:00
Suzu 女性ソロSSWトップの偏差値70pt獲得で4月度クルコレランキング1位
Suzu 女性ソロSSWトップの偏差値70pt獲得で4月度クルコレランキング1位
Suzu 女性ソロSSWトップの偏差値70pt獲得で4月度クルコレランキング1位  2015年4月度 kurucoreランキング(クルコレランキング)第1位にSuzuの3rdシングル『虹色color』が輝いた。  kurucoreランキングは流行へのアンテナ感度が高く、自ら新たなトレンドを作り出す「シブヤ」に集う女子高生達がアーティスト名等の楽曲情報を伏せた状態で、純粋な音楽ソースを基に試聴評価し、集計結果を偏差値によるランキングとして毎月発表している。今作の偏差値は、過去女性ソロシンガーソングライターの中ではTOPとなる70ptを獲得。70pt以上獲得するアーティストは多くないという。なお、Suzuは、過去にデビューミニアルバムより「step by step」でも1位(2014年3月度ランキング)を獲得しており本作で2度目の1位の獲得となった。  ◎近年に1位なった主だった女性シンガーの偏差値  GILLE「ONE-君がいる理由-」65.1pt(2014年9月度ランキング1位)  7!!「太陽にKiss」63.4pt(2014年8月度ランキング1位)  片平里菜「女の子は泣かない」69.1pt(2014年1月度ランキング1位)  剛力彩芽「友達より大事な人」62.7pt(2013年7月度ランキング1位)  erica「あなたへ贈る歌」68.2pt(2013年2月度ランキング1位)  そんなSuzuの1stアルバム『未来地図』の内容とジャケット写真が公開。ファンからも音源化を切望されていた、16歳の時に書いた「未来地図」をタイトルトラックにした今作は、新進気鋭の国内ミュージシャンと日本で最も大きな成功を収めた外国人作曲家の一人、スウェーデンのヒットメーカー Erik Lidbomプロデュース曲で構成され、多くのタイアップに起用された楽曲とアルバムの為に書き下ろされた6曲含む全12曲を収録している。  そしてこのアルバムを引っ提げ、初のツアー【Suzu 1st ワンマンツアー 2015 ~未来地図~】も5月に開催される。 ◎アルバム『未来地図』 2015/05/06 RELEASE 初回盤 CD+DVD(Suzu 20th Birthday LIVE@eggman)3,750円(税別) 通常盤 CD 3,000円(税別) 収録楽曲: 01.虹色color ※MBS・TBS系ドラマ『女くどき飯』エンディングテーマ 02.step by step ※テレビ東京系アニメ『マイリトルポニー~トモダチは魔法~』エンディングテーマ&『るるぶトラベル』CMソング 03.I fell in love 04.you can do it! ※テレビ東京系6局ネット『探検ドリランド-1000年の真宝-』エンディングテーマ&ABC・テレビ朝日系列24局『朝だ!生です 旅サラダ』エンディングテーマ&集英社別冊マーガレット『青空エール』MV collaborate-前篇- 05.ひかりの方へ ※集英社別冊マーガレット『青空エール』MV collaborate-後篇- 06.未来地図 ※テレビ神奈川『sakusaku』4月度エンディングテーマ&『アグレ』CMソング   07.ねがい 08.WE GOT THAT SOMETHING ※2013年ヨーロッパ限定配信 09.いちばん星☆ 10.LOVE TO YOU-by CUPS- ※TBS系テレビ『CDTV』エンディングテーマ 11.your smile ※ゼクシィ相談カウンター沖縄 CMソング 12.Peaceful day(Acoustic Ver.)
billboardnews 2015/04/01 00:00
意識高い系はルー大柴っぽい? NHK新ドラマの評価は
意識高い系はルー大柴っぽい? NHK新ドラマの評価は
 ドラマ評論家の成馬零一氏は、3月からはじまった『その男、意識高い系。』をこう評する。 *  *  * 「意識高い系」とは、言うことは立派だが、中身が全然伴っていない若者を揶揄する時に使われているネットスラングである。  ツイッターやフェイスブックといったSNS(ソーシャルネットワークサービス)が普及し、就職活動にネットを使った人脈作りが必須になった2010年以降、学生主体の就活イベントの謳い文句として「意識の高い学生たちが集まる」と言われたことが、その語源とされている。  そんな、「意識高い系」の若者に振り回される女子社員の姿を描いたコメディドラマが、NHKのBSプレミアムで3月から放送がはじまった『その男、意識高い系。』だ。  物語の舞台は中堅IT企業「早乙女会計ソフト」。34歳の営業課長・坪倉春子(伊藤歩)は、社長の英断で入社させた24歳の一条ジョー(林遣都)をリーダーとする携帯電話用のゲームアプリ開発部門に配属され、乙女ゲーム(女性を主人公とした恋愛ゲーム)を作ることになる。  メインライターは安達奈緒子。11年にフジテレビ系の月9(月曜夜9時枠)ドラマ『大切なことはすべて君が教えてくれた』を執筆して以降、次々と意欲作を発表している期待の新鋭である。  本作で描かれるIT企業のゲーム開発は、安達の代表作であるITベンチャー企業のカリスマ社長と女子大生を主人公にした『リッチマン、プアウーマン』(フジテレビ系)をよりコミカルにしたもので、安達が得意とする“自己中心的な男性に翻弄される女性”という関係は、本作でも健在だ。  一条は、「社長は、今までの会計ソフトではサバイバルできないというリーダーとしてのリスクヘッジの一環でエンターテインメントビジネスにコミットしたんです。そのチャレンジをエンカレッジする意味でランコミュニケーションズとしてリボーンするべきだと思ったんですよ」と、ビジネス用語を会話に盛り込む口ばかり達者な若者だ。何だか、意識高い系というよりは、ルー大柴っぽいノリだが、そんな、自信満々だが内実が何も伴っていない一条に、春子は翻弄されていく。  年齢から推察するに春子は、バブル崩壊以降の就職氷河期に社会に進出したポスト団塊ジュニア世代だろう。この世代は、ネットカルチャーの先駆者でもあり、IT系のベンチャー企業を立ち上げた人間も多い。  対して、上のバブル世代はITに疎く、昔ながらの日本型経営にどっぷり浸かっていて保守的。一方、下のゆとり世代は生まれた時からパソコンや携帯電話が当たり前のデジタルネイティブだが礼儀作法は無礼極まりなく、まるで宇宙人のように見える。その狭間にいるのが、アラフォーに突入しつつある春子たちポスト団塊ジュニアなのだ。  本作が面白いのは、そんな春子が、「意識高い系」の一条を全否定していないところだ。一条にうんざりしながらも、春子は彼の前向きな行動力だけは認めている。そして少しずつ、一条の考え方に理解を示すようになっていく。  つまり、今の日本の企業が抱えている世代間の断絶を描写した上で、その断絶を春子がどうやって埋めていくのか、というめんどくさ~い課題を丁寧に描こうとしているのだ。  主戦場だったフジテレビの月9から、いい意味で“意識高い系”のNHKに活動の場を移したことが、安達にどのような影響を与えるのかも含め、今後が楽しみである。 ※週刊朝日 2015年4月3日号
ドラマ
週刊朝日 2015/03/31 11:30
ViViモデル 玉城ティナ『カリメロ』とのコラボレーション決定
ViViモデル 玉城ティナ『カリメロ』とのコラボレーション決定
ViViモデル 玉城ティナ『カリメロ』とのコラボレーション決定  人気ファッション誌『ViVi』の専属モデルとして大人気のモデル 玉城ティナ。現在放送中の人気アニメ『カリメロ』のテーマソングを担当し、人気キャラクター達とコラボレーションすることが明らかになった。  玉城ティナは沖縄出身の17歳で、モデルとして雑誌やショーを中心に活動する傍ら、TVCMや映画などでも活躍する注目のタレント。自然体なキャラクターに加え、彼女が発信する等身大のツイートが同世代女子の共感を得て、SNSのフォロワー数が急上昇。10代女子のモデル・タレントの中で突出した支持を得ている。  今回コラボレーションが決まった人気アニメ『カリメロ』は、イタリア生まれのキャラクターで、長年にわたり世界中で放映されている。4月からアニメ放送時間が毎週土曜午前9時へ移動するにあたり、番組のオープニング、エンディングテーマを玉城ティナが担当することになった。  エンディングテーマは“ぴーよ ぴーよ カリメロ はしっちゃお~♪”でお馴染みの、初代アニメテーマソング「ぼくはカリメロ」を現代版にアレンジ。キャッチーでPOPな楽曲に仕上がった。さらに、同アニメキャラクターと玉城ティナが歌って踊るコラボ映像が、TXアニメ『カリメロ』のエンディングで放映される。  また、「ぼくはカリメロ」は、4月8日から着うた(R)にて先行配信が決定。4月21日には、レコチョクやiTunesMusicStore他でフルバージョンの配信も一斉スタートし、同日開催のイベント【ViVi Night in Tokyo 2015】では生歌披露も決定している。 ◎番組概要『カリメロ』 4月4日から放映時間変更: 毎週土曜日9:00~9:15(テレビ東京/TVAテレビ愛知/TVOテレビ大阪) 毎週土曜日7:00~7:15(TVQ北九州/TVHテレビ北海道/TSCテレビせとうち) ◎配信シングル「ぼくはカリメロ tama“piyo”tina ver.」 2015/4/21 RELEASE iTunes MusicStore、レコチョク、着うたフル(R)配信 2015/4/8 先行配信 着うた(R) 配信
billboardnews 2015/03/31 00:00
朝ドラ「まれ」・土屋太鳳は“多才”すぎる「体育会系」だった!
朝ドラ「まれ」・土屋太鳳は“多才”すぎる「体育会系」だった!
多才すぎる!土屋太鳳 3月9日に開かれた「まれ」の完成披露会見。右から二人目が土屋太鳳  3月30日からスタートするNHKの連続テレビ小説「まれ」に主演する土屋太鳳(つちや・たお)(20)が注目されている。「まれ」は、北陸新幹線の開通で注目が集まる石川県能登地方を舞台に“地道にコツコツ”がモットーのヒロイン津村希(まれ)がさまざまな出会いを通して、自らの原点だったケーキ職人になる夢を取り戻し成長する姿を描く。 「地方の方々の愛情を頂いて撮影しました。“太鳳希ちゃん”と呼ばれ、その響きがとても温かかったです」と9日に行われた完成試写会で笑顔をみせていた土屋。  朝ドラは2011年の「おひさま」、14年の「花子とアン」に続き3作目で、ついにヒロインをゲットした。  05年に「スーパー・ヒロイン・オーディション ミスフェニックス」で審査員特別賞を受賞し、映画『トウキョウソナタ』(08年)でデビュー。大河ドラマ「龍馬伝」(10年)でドラマデビューを果たした。さらに、11年にレギュラー出演したドラマ「鈴木先生」(テレビ東京系)で人気を集め、「花子とアン」の吉高由里子の妹・もも役で一気にブレークした。  155センチと小柄ながら、昨年公開の映画『るろうに剣心 京都大火編』『伝説の最期編』では見事なアクションシーンも披露しているが、それもそのはず、3歳から日本舞踊を、中学では陸上、高校からはクラシックバレエをやっていたという体育会系女子なのである。     現在は日本女子体育大学体育学部に在学中で運動科学科舞踊学を専攻している。 「2020人の中からオーディションで選ばれた土屋は、おとなしそうな見た目ですが、若いのにしっかりした信念を持っている。今回の希役は、彼女の成長する姿とオーバーラップするかもしれません」(テレビ誌記者)  しかも、オープニングテーマ曲「希空~まれぞら~」は土屋の作詞だという。ヒロインがテーマ曲の作詞を担当するのは、「朝ドラ史上初」だ。 「自身もスイーツ大好きという土屋は、製菓指導を務めるパティシエ・辻口博啓氏から『お菓子作りもリズムが大事。ダンスと一緒だよ』と言われ、何となくコツがわかったと必死で練習しているそうで、希の子ども時代を演じた松本来夢とも撮影前にケーキ作りの練習をしたほど夢中のようです」(前出・同記者) 「マッサン」のウイスキーの後は、“太鳳希ちゃん”のスイーツ。またまた朝の楽しみが増えそうだ。(ライター・戸崎圭子)
ドラマ
dot. 2015/03/26 11:30
編集者が松谷みよ子さんを“怖い”と感じた瞬間とは?
編集者が松谷みよ子さんを“怖い”と感じた瞬間とは?
松谷みよ子さん(享年89) (c)朝日新聞社 @@写禁  600万部を超すベストセラー「モモちゃん」シリーズ(講談社)や、赤ちゃんのための絵本『いない いない ばあ』(童心社)などで知られる児童文学作家、松谷みよ子さんが2月28日、老衰で亡くなった。享年89。子どもたちに愛され続ける名作の数々は、波乱の人生のなかで生まれた。    ライフワークである民話の採訪がベースになった創作童話『龍の子太郎』(講談社)、反戦平和の思いを込めた『ふたりのイーダ』(講談社青い鳥文庫)や『私のアンネ=フランク』(偕成社文庫)──。松谷さんが60年余りの作家生活で手掛けた数百点に上る作品の中で唯一、自分の来し方を書いたのが『自伝 じょうちゃん』(朝日文庫)だ。本誌で2006年9月から半年間にわたり連載。きっかけは、前年のインタビューだった。 「当時79歳でありながら、いきいきキラキラされていた。高齢でも美しくお元気だったので、連載していただけないかとお願いしました」  当時の担当編集者で現在は朝日新聞記者の宇佐美貴子さんが振り返る。「父や母、家族のことを記録に残したい」。松谷さんはそう言って快諾したという。  連載では東京・神田で生を受け、裕福に過ごした幼少期から、戦後を代表する児童文学作家として歩みを踏み出すまでの、波乱の半生をつづっている。  父は社会派の弁護士として辣腕をふるった。そんな父が「錦紗ぐるみにした」(『自伝 じょうちゃん』から)母は、おしゃれで美しく、当時の女性らしからぬ発言をした。 「ただ一つ、母から言われたのは、『女は一生台所に立たにゃならん。だからいま本を読みなさい』」(同)  アルスの日本児童文庫など200冊近くが本棚に並ぶ恵まれた環境は、11歳のときに父が交通事故で急逝し一転する。貧しい暮らしを強いられ、さらに戦争が暗い影を落とした。大学へ進まず、東亜交通公社(現JTB)で働きながら、女子挺身隊に志願した。着物と食糧を交換してもらおうと、郊外の農家を訪ねた帰り道、米国の艦載機に銃撃されて命からがら逃げたこともある。身の危険を感じて長野県平野村(現・中野市)へ疎開した矢先、東京大空襲で自宅が全焼、すべてを焼き尽くされた。  失意のどん底の中、人生を変える出来事が長野で待っていた。“生涯の師”と仰いだ児童文学作家の坪田譲治さんとの出会いだ。坪田さんは松谷さんの才能を見いだし、その後も公私にわたって支え続けた。  終戦後、東京で働きながら人形劇サークルを立ち上げる。指導にやってきた人形座の瀬川拓男さんの影響で民話の世界に目覚め、ライフワークとなる民話採訪を始めた。1955年、瀬川さんと結婚。2児をもうけ、母の温かな視線から名作「モモちゃん」シリーズを生んだ。3作目となる『モモちゃんとアカネちゃん』で、児童文学ではタブーとされた親の離婚を、子どもにもわかるたとえで表現した。これは瀬川さんとの離婚の苦悩を描いたとされている。自伝で触れているのは、離婚を乗り越え前を向くところまで。 「苦しかった時代を、80歳になってようやく書くことができたのかもしれません」(宇佐美さん)  担当編集者の目には、松谷さんはいつも穏やかでチャーミング、山の手育ちならではの品のある東京弁で話す、おしゃれな女性だった。だが、一つだけ忘れられないシーンがある。松谷さんが一度だけ締め切りを忘れたことがあった。宇佐美さんが慌てて自宅を訪ねると、松谷さんは「3時間待って」。原稿を書くのは自宅ではなく喫茶店。大作家の創作の様子を、宇佐美さんはこっそりのぞき見たくなった。そして、その光景に息をのんだ。 「原稿用紙に向き合う姿は、私の知っている穏やかな人ではなかった。集中力が気炎のように立ち上り、正直怖いとすら感じました」  さらに続ける。 「松谷さんの作品は温かいだけでなく、ときに怖さや厳しさを感じさせる。それは松谷さん自身が優しさと厳しさを内に秘めていたからではないでしょうか」 ※週刊朝日  2015年3月27日号
お悔やみ
週刊朝日 2015/03/21 07:00
ビリギャル「慶應受験はネタ」聖徳太子も“せいとくたこ”と
ビリギャル「慶應受験はネタ」聖徳太子も“せいとくたこ”と
学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話[文庫特別版]Amazonで購入する ※イメージ写真 @@写禁  高校2年で学年ビリ、偏差値30弱から、慶應義塾大に合格した“ビリギャル”こと、小林さやかさん。彼女の受験奮闘の様子を描いた本はベストセラーとなり、その本を原作とした映画の公開も迫る。母親とともに綴った新刊も話題だ。その受験生時代を、改めて振り返ってもらった。 *  *  * 「高2まで、『せいとくたこ』と読んでました」  聖徳太子のことだ。  発行部数65万部のベストセラーとなった『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(以下『ビリギャル』)の主人公、小林さやかさん(27)は、当時を振り返って苦笑する。 「すっげえ勉強が苦手で、成績は学年ビリ。中学入学以来ほとんど勉強していなかったから、当時は小学生レベルの学力だったと思います」  名古屋市にある私大付属の中高一貫の女子校に進んださやかさんは、系列以外の大学への進学を考え、高2の夏、母親にすすめられた個別指導塾に足を運んだ。そのときの格好はといえば、髪は金髪で濃いメイク。スカートは限界まで短かった。そんな彼女の入塾の面談を担当したのが『ビリギャル』の著者で、塾講師の坪田信貴さんだった。 「最初に、坪田先生に『夢はなんですか』と聞かれました。考えたけど、特にない。先生と話すうちに、『慶應大に合格すること』が私の夢になりました。でも、自分の成績を考えれば到底行けるとは思えなかった。ただ、夢は大きいほうがいいと思って。慶應目指して勉強すれば、どこかの大学に受かるんじゃないかと」  面談の翌日、学校で「慶應受けることにした」と言いふらした。 「ネタですね。そう言えばウケると思って」  さやかさんの予想どおり、先生や友達は大笑いした。その日から塾の夏期講習に通い始めたが、友達とショッピングやカラオケに行ったり、プリクラを撮ったりと、遊びもやめなかった。 「高2の夏は勉強も遊びも頑張った。勉強は坪田先生のすすめで、できないところまで戻りました」  漢字の読み書きは小4レベルのドリルから始めた。英語は『Aクラス選書 中学生の英文法』(昇龍堂出版)などの教材を使い、中学英語の復習から始めた。日本史はとっつきやすい漫画のシリーズを読み、歴史の流れをつかんだ。 「学習計画を立てて、簡単なものができるようになってから次の段階に進みました。私があまりにも漢字や言葉を知らなかったから、毎月、坪田先生が指定する本を読んで感想文を書き、添削してもらいました」  最初に、「君にぴったりだ」とすすめられた本は、山田詠美の『ぼくは勉強ができない』。それから『蟹工船』『蜘蛛の糸』『ハリー・ポッター』『14歳からの哲学』など、次々と“課題図書”を読んでいった。 「勉強して少しずつわかるようになり、問題が解けるようになるとおもしろくなった。いやいや始めた読書も楽しくなりました」 (庄村敦子) ※週刊朝日 2015年3月27日号より抜粋
大学入試
週刊朝日 2015/03/20 07:00
中1リンチ殺人、逮捕少年「次はあいつを殺す」と第2の犯行予告
中1リンチ殺人、逮捕少年「次はあいつを殺す」と第2の犯行予告
(※本文と関係ありません)  神奈川県警は2月27日、川崎市内に住むA(18)と17歳の少年B、Cを上村(うえむら)遼太君(13)の殺人容疑で逮捕した。少年たちがリンチ殺人という凶行に突っ走った“動機”は何なのか? 総力取材した。  少年たちの凄惨なリンチ殺人の背景には一体、何があったのだろうか。本誌は動機の核心ともいえる証言を得た。  上村君は昨秋から主犯格のAらを含む不良グループと行動を共にしていたが、複数の少年、少女らの証言によると、2人の間に諍(いさか)いがあったのは1月中旬。  Aから命じられた万引きを断った上村君が、Aらグループのメンバーから暴行を受けたのだ。この時の暴行で目の周りに黒いアザができた。だが、まだ続きがあった。上村君と親しかった少年の証言だ。 「かみそん(上村君の愛称)が『Aにやられた』というのを聞いて、Aに俺らで『かみそんには、もう手を出すな』って話をつけにいった。そしたらAは『本当にすみません、もうやりません』って言ってきて、かみそんはもう大丈夫だと思っていたんです」  上村君はこの時、グループを抜けたいと話していたというが、この一件で、Aは上村君に一方的に恨みを持つようになったというのだ。Aと親しかった少年の証言である。 「Aは上村君が他の年上グループに相談したことに激怒して、『あいつ、殺してやる』と口走るようになった。Aはこれまでも3、4人ボコボコにしている。特にビールを飲むとハイになって手が付けられないぐらい凶暴になった。かみそんにはAらに関わんなと言ったのに……。事件は酔った勢いと思う」  上村君が変わり果てた姿で発見されたのは、その1カ月後──。手口は残忍極まりないものだった。別の捜査関係者がこう語る。 「致命傷となったのは首の傷。遺体は全裸で、首の後ろと横に刃物で切られた跡があったほか、頬や手首にも複数の切り傷があった。上村君に抵抗した形跡が見られないため、体の自由を奪われた上で殺害されたとみている」  上村君の首の傷は深く、カッターよりも大型のナイフが使用された可能性があるという。遺体のひざにはあざがあり、殺害時、上村君がひざまずかされていたとみられている。  上村君の衣服や靴は現場から700メートルほど離れた公園の女子トイレで燃やされていた。  連行、拘束、首の切り傷、炎──。まるで「イスラム国」による処刑動画を模倣したかのようなおぞましい犯行だった。  主犯格とされるAの凶暴性について、不良グループの少年はこう言う。 「Aは同い年に相手にされないから、力で後輩を支配していた。エアガンで鳩を撃ったり、鉄パイプとか警棒とか変な武器を持っていて、犬や猫を追いかける。できるだけ関わらないようにしていた。日頃から酒が入ると『人を殺したい』と言い、『60代くらいの男性を鉄パイプで殴った前科がある』と自慢。かみそんが殺された後、AやBは『次は〇〇を殺してやる』と、別の友人の名を挙げて脅し、口止めをしていたと聞いた」 (本誌取材班=小泉耕平、上田耕司、牧野めぐみ、福田雄一、小倉宏弥/今西憲之) ※週刊朝日 2015年3月13日号より抜粋
週刊朝日 2015/03/04 07:00
東日本大震災から4年 3/11特別番組『LOVE&HOPE 4年目の春だより~明日(あした)へつなぐ言葉~』放送 溝口肇ら出演
東日本大震災から4年 3/11特別番組『LOVE&HOPE 4年目の春だより~明日(あした)へつなぐ言葉~』放送 溝口肇ら出演
東日本大震災から4年 3/11特別番組『LOVE&HOPE 4年目の春だより~明日(あした)へつなぐ言葉~』放送 溝口肇ら出演  東日本大震災から4年。3月11日 TOKYO FMで特別番組『LOVE&HOPE 4年目の春だより~明日(あした)へつなぐ言葉~』が生放送される。  TOKYO FMをはじめとするJFN38局では、東日本大震災以降、被災された方々と全国のリスナーの心を繋ぎ、復興地の様々な姿を紹介する復興支援番組『LOVE&HOPE』(月~金『クロノス』内6:30~6:40)の放送を継続。4年目の春を迎える今年は、 番組の拡大版として『LOVE&HOPE 4年目の春だより~明日(あした)へつなぐ言葉~』を3月11日13:00~15:40に生放送する。  この番組では『LOVE&HOPE』の取材を通じて出会った、岩手、宮城、福島で暮らす人々の“4年目の春”を見つめる。パーソナリティは 作家の平野啓一郎、朝の生ワイド番組『クロノス』のパーソナリティとしておなじみの高橋万里恵。さらにチェリストの溝口肇が復興への祈りを込めて生演奏を披露する。 ◎番組『東日本大震災から4年、特別番組『LOVE&HOPE 4年目の春だより~明日(あした)へつなぐ言葉~』 03月11日(水)13:00~15:40 放送形態:TOKYO FM 半蔵門アースギャラリーからの生放送 出演者:平野啓一郎(作家)、 高橋万里恵(TOKYO FM/JFN『クロノス』パーソナリティ) 生演奏ゲスト:溝口肇(チェリスト) ・From 岩手県・大槌~この春、 卒業する女子高校生の揺れる心 昨年、この番組に出演してくれた岩手県上閉伊郡・大槌町の小林寿美(ことみ)さん。東日本大震災で大好きな祖母を失いながらも、周囲の大人たちに支えられて、大槌町の観光ボランティアを続けてきました。この春、高校を卒業し、大槌で暮らしながら、隣町・釜石のホテルに就職することを決めました。町のために生きていきたいという強い想い。でも一方では、町を出て自分の力を試してみたい、という気持ちも……。番組では、卒業式の模様とともに、彼女の“揺れる心”を追いました。 ・From 宮城県・女川~3月21日、 私たちの「女川(おながわ)駅」が復活! 漁業を中心とした小さな港町、宮城県牡鹿郡女川町。震災から4年、住民が積極的にアイデアを提案する独自のまちづくり会議を経て、生まれ変わろうとしています。いよいよ3月21日、JR石巻線の全線開通と同時に、女川駅の駅舎が復活! 設計はプリツカー賞受賞の建築家・坂茂。まちづくり会議のメンバーで、町を代表するかまぼこ店「高政」の四代目・高橋正樹さんは「女川は終点駅の町だと思っていた。でもこれからは女川駅は始発の駅になる。ここから世界へ、女川を発信していく」と語ります。何かを変えようと模索する住民たちの声をお届けします。また当日は、Date FM(エフエム仙台)の協力で女川からの生中継も実施します。 ・From 宮城県・石巻~平均年齢30才! 若きフィッシャーマンの挑戦 世界三大漁場の1つ、三陸沖で活躍する若きフィッシャーマンたちが、地域や業種の枠を超えて最強チームを結成しました。目指すのは、今までの概念を打ち破る、次世代の水産業。漁師は魚を捕るだけでなく、市場のニーズをしっかりと把握し、さらなる品質向上を目指す。そして生産現場にしかない価値を消費者に伝え、水産業への興味と理解を深める。個人個人が変化する力を身につけ、まずは自分たちが「真にカッコよくて稼げるフィッシャーマンになってやる!」と意気込みます。平均年齢30才の若きチームの奮闘をお伝えします。 ・From 福島県・富岡~小学生がラジオ番組作り! 富岡キッズステーション 原発事故の影響で全町民避難が続く、福島県双葉郡・富岡町。富岡の臨時災害FM「おだがいさまFM」も、避難先の郡山市内にある「おだがいさまセンター」から放送を続けています。「おだがいさまFM」の人気番組の一つが『みんなで伝える、富岡キッズステーション』。富岡の小学5年生3人が、企画から取材まで担当。仮設住宅のお年寄りにインタビューするコーナーでは、富岡の歴史や昔の暮らしについて、世代を超えた微笑ましいやりとりが生まれています。小学校の児童数が900人から20数人に減ってしまった厳しい現実の中で、ラジオ番組作りに奮闘する子どもたちの元気な声をお届けします。 ・From 福島県・南相馬~行方不明になった家族を探し続ける「福興浜団」 4年目の春を迎える今も、津波で行方不明になった家族を捜索する人たちがいます。福島県南相馬市の「福興浜団」は、東日本大震災で犠牲になった方が一人でも多く家族の元へ戻れるように、海岸での遺骨捜索、被災家屋の片付けや泥かきを行っています。団員の1人、上野敬幸さんは、両親と当時8歳の娘さん、3歳の息子さんを失いました。くる日もくる日も探し続け、最愛の娘さんと母親の亡骸を見つけましたが、現在も、息子さんと父親は発見出来ないまま……。上野敬幸さんや福興浜団の皆さんと一緒に、南相馬の海岸線を捜索し、本当の意味での復興を考えます。 ・午後2時46分の祈り~溝口肇による生演奏 震災発生時刻2時46分は、リスナーとともに黙祷をささげ、追悼の音楽をお届けします。生演奏を披露してくれるのは、日本を代表するチェリスト、溝口肇。未曾有の大震災の記憶を風化させないために……。新たな思いで、励ましと癒しの音楽を届けます。 ・大切な人に綴る手紙~コバルトーレ女川・泉田圭太選手 「コバルトーレ女川」は、漁業を中心としたと小さな港町、宮城県牡鹿郡女川(おながわ)町をホームタウンとする社会人サッカークラブ。過疎化や少子化が進む女川町を、サッカーを通じて活性化させようと2006年4月に誕生しました。そんな「コバルトーレ女川」にJFLのYKK AP(現カターレ富山)から移籍してきたゴールキーパーの泉田圭太選手が登場し、移籍当時、初めての地で支えてくれた「女川の母」への感謝の手紙を綴ります。東日本大震災によって、町は壊滅的な被害を受け、お世話になった「女川の母」も犠牲となってしまいました。チームも活動休止を余儀なくされましたが、泉田選手をはじめトップチームの選手たちは町に残り、活動再開を夢見て、復興支援活動を続けたといいます。今は女川で結婚し、この町で暮らしていくことを決めた泉田選手。お世話になった「女川の母」に、今、贈る言葉とは……。
billboardnews 2015/03/04 00:00
学校現場の大問題

学校現場の大問題

クレーム対応や夜間見回りなど、雑務で疲弊する先生たち。休職や早期退職も増え、現場は常に綱渡り状態です。一方、PTAは過渡期にあり、従来型の活動を行う”保守派”と改革を推進する”改革派”がぶつかることもあるようです。現場での新たな取り組みを取材しました。AERAとAERA dot.の合同企画。AERAでは9月24日発売号(9月30日号)で特集します。

学校の大問題
働く価値観格差

働く価値観格差

職場にはびこる世代間ギャップ。上司世代からすると、なんでもハラスメントになる時代、若手は職場の飲み会なんていやだろうし……と、若者と距離を取りがちですが、実は若手たちは「もっと上司や先輩とコミュニケーションを取りたい」と思っている(!) AERA9月23日号では、コミュニケーション不足が招く誤解の実態と、世代間ギャップを解消するための職場の工夫を取材。「置かれた場所で咲きなさい」という言葉に対する世代間の感じ方の違いも取り上げています。

職場の価値観格差
ロシアから見える世界

ロシアから見える世界

プーチン大統領の出現は世界の様相を一変させた。 ウクライナ侵攻、子どもの拉致と洗脳、核攻撃による脅し…世界の常識を覆し、蛮行を働くロシアの背景には何があるのか。 ロシア国民、ロシア社会はなぜそれを許しているのか。その驚きの内情を解き明かす。

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