一冊の本

11月号作家 いしいしんじ Ishii Shinji「話」の小さな炎
11月号作家 いしいしんじ Ishii Shinji「話」の小さな炎
本をひらく。気づけば、遠く、声が浮かんでいる。
朝日新聞出版の本
最初の読者から 11/12
10月号ライター 豊島ミホ Toshima Miho梨の妖精が溶け込んだ、魔法のお話
10月号ライター 豊島ミホ Toshima Miho梨の妖精が溶け込んだ、魔法のお話
普段は自分の目も届かないような心の奥底を、さっと光がすべっていく。その道筋に、たくさんのがらくたが浮かび上がる。ああ自分はこんな余計なものを持っていた、あれもこれも不必要な思い込みだった。でも苦い思いが湧くだけじゃない。同じ光によって照らし出されるものの中には、ささやかな宝物も存在するし、やり直していくための地図もある。まだ行ける、がらくたは整理して、宝物をぎゅっと手ににぎって、この先に行きたい――希望と呼べるのかわからないほど小さいが、確かな気持ちが生まれる。
最初の読者から 10/1
10月号文筆家・ゲーム作家 山本貴光 Yamamoto Takamitsu成熟の神話を脱けて、幼さと未熟さを力に変える
10月号文筆家・ゲーム作家 山本貴光 Yamamoto Takamitsu成熟の神話を脱けて、幼さと未熟さを力に変える
『スローモーション考』『文学を〈凝視する〉』をはじめとする著書を通じて、小説や詩に表されていながら、そうと言われるまで人が気づかない機微や機構(メカニズム)を明らかにしてきた阿部公彦氏が批評の名手であることは、既に人の知るところであろう。『幼さという戦略』はその最新著である。
最初の読者から 10/1
9月号東京大学教授 山本史郎 Yamamoto Shiro「物語る人」〈ホモ・ファブラ〉とは誰か?
9月号東京大学教授 山本史郎 Yamamoto Shiro「物語る人」〈ホモ・ファブラ〉とは誰か?
ここ数十年の間に、科学技術の爆発的な進歩が個々人の生活に波及し、我々は豊かで便利な日常を享受するようになった。特にこの十年、スマホやSNSの日々の暮らしへの浸透ぶりには目ざましいものがある。
著者から 9/15
9月号国際日本文化研究センター教授 井上章一 Inoue Shoichi京都的な、たまらなく京都的な
9月号国際日本文化研究センター教授 井上章一 Inoue Shoichi京都的な、たまらなく京都的な
桂離宮なんか、そうたいしたところじゃない。やたらとほめたたえる人はいるが、どれも話がおおげさにすぎる。いいかげんにしてくれ、というような想いを、若いころ一冊の本にぶつけたことがある。『つくられた桂離宮神話』(1986年)が、それである。
著者から 9/15
8月号明治大学名誉教授 越智道雄 Ochi Michio「猛勉強少女」が“戦争”に勝利する日
8月号明治大学名誉教授 越智道雄 Ochi Michio「猛勉強少女」が“戦争”に勝利する日
筆者にとってヒラリー・ロダム・クリントンの魅力とは、牛乳瓶の底のごとき眼鏡をかけた学生時代の写真が示すような、「アメリカ中西部のひたむきな猛勉強少女」という原型から生まれてくる。
著者から 9/15
8月号学習院大学教授 赤坂憲雄 Akasaka Norio『遠野物語』から105年、いま会津に沸き立つ不思議世界
8月号学習院大学教授 赤坂憲雄 Akasaka Norio『遠野物語』から105年、いま会津に沸き立つ不思議世界
とても愛着の深い本に仕上がったと思う。本の刊行を前にして、こんなに心が浮き立つのは、久し振りのことだ。この本の誕生を待ちわびている人たちが、たくさんいる。会津の女衆が創った、手放しに幸せな本なのである。東日本大震災の前から、奥会津のあちこちを不思議な話を求めて歩きまわった会津学研究会のメンバーたちも、表紙の絵や百枚の挿絵を描いてくれた岩崎亜弥さんも、みな会津に生まれ育ち、いまも暮らす女性たちだ。
著者から 9/15
7月号書評家 大森望 Ohmori Nozomiフォーサイスばりの謀略サスペンス
7月号書評家 大森望 Ohmori Nozomiフォーサイスばりの謀略サスペンス
現代日本を舞台にリアルで派手な謀略サスペンスを書くのはむずかしい。ふつうに書けば、荒唐無稽なB級アクションになるか、ものすごく地味になるか、二つに一つ。曽根圭介の書き下ろし長編『工作名 カサンドラ』は、この困難な課題に正面から挑み、フレデリック・フォーサイスばりの技巧で鮮やかにクリアする。
最初の読者から 7/17
7月号朝日新聞科学医療部記者 行方史郎 Namekata Shiro変わりゆく「天性」への感覚
7月号朝日新聞科学医療部記者 行方史郎 Namekata Shiro変わりゆく「天性」への感覚
米ワシントンで勤務していたころ、ユーチューブで昔懐かしい邦画やテレビ番組を探すという休日夜のひそかな楽しみがあった。
著者から 7/17
7月号東京医科歯科大学大学院名誉教授 藤田紘一郎 Fujita Kouichiro「腸内細菌」と「よい水」が認知症を間違いなく遠ざける
7月号東京医科歯科大学大学院名誉教授 藤田紘一郎 Fujita Kouichiro「腸内細菌」と「よい水」が認知症を間違いなく遠ざける
私の父は、90歳を超えて初めて認知症を発症しました。三重県の片田舎にある結核病院の院長だった父は、最終的に町の老人病院の勤務医となりました。ある日、「医者だか患者だかわからなくなったので、引き取りに来てほしい」と病院から電話が入りました。家族を全く顧みない自分勝手な父でしたが、認知症になったときは、とても穏やかな好々爺となっていました。父が病院に入院した時は、同室の患者さんを指さし、「あの患者の診察をしなければならないから、カルテを持ってきなさい」と看護師さんに指示していました。そんな姿を見ながら、「ああ、親父は認知症になっても生涯現役を貫いているんだな」と密かに感心してしまったものです。
著者から 7/17
6月号NPO法人POSSE代表 今野晴貴 Konno Haruki世代間対立をしている場合ではない
6月号NPO法人POSSE代表 今野晴貴 Konno Haruki世代間対立をしている場合ではない
私は著者である藤田孝典氏とは、2007年から震災復興支援やブラック企業対策などで連携を深めてきた。
最初の読者から 6/2
6月号金沢大学助教 日比野 由利 Hibino Yuri世界の現状を見据えた議論が必要
6月号金沢大学助教 日比野 由利 Hibino Yuri世界の現状を見据えた議論が必要
生殖技術の発展に伴い、子どもが欲しいという人々の願望が、以前にも増して膨張してきている。精子や卵子の提供、代理出産、子どもの男女産み分け、受精卵の遺伝子検査や胎児診断など、次々と新しい技術が開発され、これらの技術を組み合わせれば、あらゆる人が子を持つことができる。生殖サービスの顧客は、不妊カップルだけでなく、独身者や同性愛者にも広がっている。インドやタイなど、安価で法的規制が“緩い”新興国で生殖サービスを利用する動きが加速していくにつれて、様々なトラブルが表面化し、経済振興策として生殖ツーリズムを歓迎していた国も外国人による利用を制限する方向に向かっている。
著者から 6/2
この話題を考える
医師676人のリアル

医師676人のリアル

すべては命を救うため──。朝から翌日夕方まで、36時間の連続勤務もざらだった医師たち。2024年4月から「働き方改革」が始まり、原則、時間外・休日の労働時間は年間960時間に制限された。いま、医療現場で何が起こっているのか。医師×AIは最強の切り札になるのか。患者とのギャップは解消されるのか。医師676人に対して行ったアンケートから読み解きます。

あの日を忘れない

あの日を忘れない

どんな人にも「忘れられない1日」がある。それはどんな著名な芸能人でも変わらない。人との出会い、別れ、挫折、後悔、歓喜…AERA dot.だけに語ってくれた珠玉のエピソード。

インタビュー
国際女性デー

国際女性デー

3月8日は国際女性デー。AERA dot. はこの日に合わせて女性を取り巻く現状や課題をレポート。読者とともに「自分らしい生き方、働き方、子育て」について考えます。

国際女性デー
5月号ジャーナリスト 福島 香織 Fukushima Kaori日本の花見文化が思い出させた雪月花を愛でる心
5月号ジャーナリスト 福島 香織 Fukushima Kaori日本の花見文化が思い出させた雪月花を愛でる心
この原稿を書いている今、東京の桜は満開である。千鳥ヶ淵も上野公園も息を呑む美しさで、中国人観光客も大勢訪れていた。知り合いの中国人も、わざわざ桜の開花時期に合わせて日本旅行に来ている。中国にも、桜はたくさんある。それどころか、全世界約150種類の野生種桜のうち中国原産種は50種類以上で、桜の起源は中国だという。日本の桜は、ヒマラヤ山脈あたりの原種が唐代に伝わったものだそうだ。天適集団という中国で初の「桜ビジネス」を展開している企業を以前に取材したとき、そういう話を聞いたし、日本の専門書『桜大鑑』でも桜の原産国は中国とある。なのに、なぜわざわざ日本へ桜を見に?
著者から 6/1
5月号哲学者・山口大学准教授 小川 仁志 Ogawa Hitoshi歴史は繰り返す。ただ、それに抗うチャンスは常に与えられている
5月号哲学者・山口大学准教授 小川 仁志 Ogawa Hitoshi歴史は繰り返す。ただ、それに抗うチャンスは常に与えられている
今多くの知識人やマスコミ、あるいは一般人さえもが、国家主義の強大化を懸念している。現政権が軍事大国へと舵(かじ)を切りつつあることを、誰もが感じ取っているからだ。ところが、不思議なことに大きな反政府運動が起こる気配は感じられない。国民は至って平穏に日常を過ごしているのである。
著者から 6/1
3月号文化庁長官青柳正規 Aoyagi Masanori疲弊した成熟社会を文化が救う
3月号文化庁長官青柳正規 Aoyagi Masanori疲弊した成熟社会を文化が救う
現在の日本では、東京など大都会は多少の活気があるものの、地方の小都市や農村部はたいへん疲弊した状態にあり、地域をどう活性化するかが大きな問題になっています。
著者から 4/9
4月号書評家 大森望 Nozomi Ohmori“嫌韓的”現状を変える“静かでさりげない力”
4月号書評家 大森望 Nozomi Ohmori“嫌韓的”現状を変える“静かでさりげない力”
デビュー作『ハンサラン』で脚光を浴びた新鋭・深沢潮が、ふたたび在日コリアンをテーマに、新作『ひとかどの父へ』を刊行する。
最初の読者から 4/3
4月号装丁家 熊谷 博人 Kumagai Hiroto町人美意識のエッセンス
4月号装丁家 熊谷 博人 Kumagai Hiroto町人美意識のエッセンス
三重県鈴鹿市は江戸時代から現在も「染め型」の本場。内田勲さんは伊勢型彫り師のひとりで「突き彫り」の第一人者である。無骨な手先はザクッ、ザクッと迷うことなくリズミカルに微細な文様を切り込む。型紙は美濃和紙を3枚、柿渋で貼り合わせ、燻(いぶ)しをしてから1年以上乾燥させて渋(しぶ)を枯らす。手間と時間がかかる日本独自の台紙であり、薄い紙なのに耐水性が強く、伸縮せず、丁寧に使えば数千回の染めに耐えられるほど堅牢だ。型彫りの道具、小刀はそれぞれの職人さんたちが自分で作る。型を彫る時は型紙を六枚ほど重ねるので、小刀は専用の小さな砥石でこまめに研ぐ。根気と集中力、まして、高度な技術が必要だ。
著者から 4/3
3月号文芸評論家 菊池仁 Kikuchi Megumi“現代に通底するテーマ”を活写
3月号文芸評論家 菊池仁 Kikuchi Megumi“現代に通底するテーマ”を活写
時代小説が従来のファンはもとより、新しい読者層の支持を受けるためには何が必要か? この重要な課題のひとつが、時代小説だからこそ描ける“現代に通底するテーマ”を内包しているかということである。言葉を変えれば時代を超えた普遍的人間像を刻み、濃密なドラマを展開できるか、ということである。現在、求められているのはそんな作品であることは確かである。
最初の読者から 3/30
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