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一冊の本

1月号東京大学高齢社会総合研究機構 特任教授 辻哲夫 Tsuji Tetsuo明るく未来志向、かつ名調子
1月号東京大学高齢社会総合研究機構 特任教授 辻哲夫 Tsuji Tetsuo明るく未来志向、かつ名調子 我が国は、人生90年時代を迎え、超高齢社会を迎えつつある。それは未知の社会でもあり、従来の考え方や仕組みの延長線上では対応しきれない。本書は、樋口先生が2013年から2015年にかけて東京大学法学部で行われた一連の「高齢者法」の講義を元にして書かれたものだ。
1月号人事コンサルタント・作家 城繁幸 Jo Shigeyuki日本のモノ作り復活のエッセンス
1月号人事コンサルタント・作家 城繁幸 Jo Shigeyuki日本のモノ作り復活のエッセンス 新興国による追い上げやIT技術の浸透により、日本のモノ作りが岐路に立たされている。デジタル技術はマーケットに出た瞬間にコピーされ、海の向こうから同じような性能だがずっと廉価な製品がやってくる。じっくり腰を落ち着けて開発する余裕が、日の丸メーカーから消えつつある。
12月号美容ジャーナリスト/エッセイスト 齋藤薫 Saito Kaoruお金をかけない“気づき”の美容、そこに人生の好循環が生まれる
12月号美容ジャーナリスト/エッセイスト 齋藤薫 Saito Kaoruお金をかけない“気づき”の美容、そこに人生の好循環が生まれる この“一冊”は、本のサブタイトルにも、また帯のキャッチにも「気づき」という言葉を使っている。それが何を意味するのか、まずはそこから聞いてほしい。ずばり、ここでの“気づき”には、「お金をかけない」という意味をこめているのだ。たとえば、「人の悪口を言うと老ける」みたいな気づき。「老けない人が太らない」という気づき……。つまり“キレイになること”、また“若くいること”は、本来が驚くほど簡単である事実に“気づくための一冊”であり、だからそれほどお金がかからないことにも、“気づいてほしい一冊”となったのだ。
12月号作家 大下英治 Ohshita Eiji男女双方から愛される女優・吉永小百合
12月号作家 大下英治 Ohshita Eiji男女双方から愛される女優・吉永小百合 浦山桐郎監督の『キューポラのある街』で、吉永小百合はまばゆいほどの輝きを放っていた。貧しいながらもけなげに生きぬく、埼玉は川口の鋳物工の娘・石黒ジュンを見事に演じ切った。吉永は、この一作で国民的美少女から演技派への脱皮のきっかけをつかみ、押しも押されもせぬ新人スターとなる。そして「サユリスト」の名を生んだ。
11月号ミステリ書評家 若林踏 Wakabayashi Fumiちょっぴり怖い連作時代ミステリ
11月号ミステリ書評家 若林踏 Wakabayashi Fumiちょっぴり怖い連作時代ミステリ 畠中恵と聞いて、まず思い浮かぶのは「しゃばけ」シリーズだろう。江戸の大店「長崎屋」の若だんなと妖怪たちが活躍するこの時代劇ファンタジーは、基本的に賑やかで楽しい小説だ。カバーイラストに描かれるキュートな妖怪たちの姿も相まって、おそらく大半の読者は畠中小説を明るくポップなイメージで捉えているのではないだろうか。

この人と一緒に考える

10月号ライター 豊島ミホ Toshima Miho梨の妖精が溶け込んだ、魔法のお話
10月号ライター 豊島ミホ Toshima Miho梨の妖精が溶け込んだ、魔法のお話 普段は自分の目も届かないような心の奥底を、さっと光がすべっていく。その道筋に、たくさんのがらくたが浮かび上がる。ああ自分はこんな余計なものを持っていた、あれもこれも不必要な思い込みだった。でも苦い思いが湧くだけじゃない。同じ光によって照らし出されるものの中には、ささやかな宝物も存在するし、やり直していくための地図もある。まだ行ける、がらくたは整理して、宝物をぎゅっと手ににぎって、この先に行きたい――希望と呼べるのかわからないほど小さいが、確かな気持ちが生まれる。
10月号文筆家・ゲーム作家 山本貴光 Yamamoto Takamitsu成熟の神話を脱けて、幼さと未熟さを力に変える
10月号文筆家・ゲーム作家 山本貴光 Yamamoto Takamitsu成熟の神話を脱けて、幼さと未熟さを力に変える 『スローモーション考』『文学を〈凝視する〉』をはじめとする著書を通じて、小説や詩に表されていながら、そうと言われるまで人が気づかない機微や機構(メカニズム)を明らかにしてきた阿部公彦氏が批評の名手であることは、既に人の知るところであろう。『幼さという戦略』はその最新著である。
8月号学習院大学教授 赤坂憲雄 Akasaka Norio『遠野物語』から105年、いま会津に沸き立つ不思議世界
8月号学習院大学教授 赤坂憲雄 Akasaka Norio『遠野物語』から105年、いま会津に沸き立つ不思議世界 とても愛着の深い本に仕上がったと思う。本の刊行を前にして、こんなに心が浮き立つのは、久し振りのことだ。この本の誕生を待ちわびている人たちが、たくさんいる。会津の女衆が創った、手放しに幸せな本なのである。東日本大震災の前から、奥会津のあちこちを不思議な話を求めて歩きまわった会津学研究会のメンバーたちも、表紙の絵や百枚の挿絵を描いてくれた岩崎亜弥さんも、みな会津に生まれ育ち、いまも暮らす女性たちだ。

特集special feature

    7月号書評家 大森望 Ohmori Nozomiフォーサイスばりの謀略サスペンス
    7月号書評家 大森望 Ohmori Nozomiフォーサイスばりの謀略サスペンス 現代日本を舞台にリアルで派手な謀略サスペンスを書くのはむずかしい。ふつうに書けば、荒唐無稽なB級アクションになるか、ものすごく地味になるか、二つに一つ。曽根圭介の書き下ろし長編『工作名 カサンドラ』は、この困難な課題に正面から挑み、フレデリック・フォーサイスばりの技巧で鮮やかにクリアする。
    7月号東京医科歯科大学大学院名誉教授 藤田紘一郎 Fujita Kouichiro「腸内細菌」と「よい水」が認知症を間違いなく遠ざける
    7月号東京医科歯科大学大学院名誉教授 藤田紘一郎 Fujita Kouichiro「腸内細菌」と「よい水」が認知症を間違いなく遠ざける 私の父は、90歳を超えて初めて認知症を発症しました。三重県の片田舎にある結核病院の院長だった父は、最終的に町の老人病院の勤務医となりました。ある日、「医者だか患者だかわからなくなったので、引き取りに来てほしい」と病院から電話が入りました。家族を全く顧みない自分勝手な父でしたが、認知症になったときは、とても穏やかな好々爺となっていました。父が病院に入院した時は、同室の患者さんを指さし、「あの患者の診察をしなければならないから、カルテを持ってきなさい」と看護師さんに指示していました。そんな姿を見ながら、「ああ、親父は認知症になっても生涯現役を貫いているんだな」と密かに感心してしまったものです。
    6月号金沢大学助教 日比野 由利 Hibino Yuri世界の現状を見据えた議論が必要
    6月号金沢大学助教 日比野 由利 Hibino Yuri世界の現状を見据えた議論が必要 生殖技術の発展に伴い、子どもが欲しいという人々の願望が、以前にも増して膨張してきている。精子や卵子の提供、代理出産、子どもの男女産み分け、受精卵の遺伝子検査や胎児診断など、次々と新しい技術が開発され、これらの技術を組み合わせれば、あらゆる人が子を持つことができる。生殖サービスの顧客は、不妊カップルだけでなく、独身者や同性愛者にも広がっている。インドやタイなど、安価で法的規制が“緩い”新興国で生殖サービスを利用する動きが加速していくにつれて、様々なトラブルが表面化し、経済振興策として生殖ツーリズムを歓迎していた国も外国人による利用を制限する方向に向かっている。
    5月号ジャーナリスト 福島 香織 Fukushima Kaori日本の花見文化が思い出させた雪月花を愛でる心
    5月号ジャーナリスト 福島 香織 Fukushima Kaori日本の花見文化が思い出させた雪月花を愛でる心 この原稿を書いている今、東京の桜は満開である。千鳥ヶ淵も上野公園も息を呑む美しさで、中国人観光客も大勢訪れていた。知り合いの中国人も、わざわざ桜の開花時期に合わせて日本旅行に来ている。中国にも、桜はたくさんある。それどころか、全世界約150種類の野生種桜のうち中国原産種は50種類以上で、桜の起源は中国だという。日本の桜は、ヒマラヤ山脈あたりの原種が唐代に伝わったものだそうだ。天適集団という中国で初の「桜ビジネス」を展開している企業を以前に取材したとき、そういう話を聞いたし、日本の専門書『桜大鑑』でも桜の原産国は中国とある。なのに、なぜわざわざ日本へ桜を見に?

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