一冊の本

10月号美術史家 門脇 むつみ Kadowaki Mutsumi十七世紀画壇のスーパースター
10月号美術史家 門脇 むつみ Kadowaki Mutsumi十七世紀画壇のスーパースター
狩野探幽(かのうたんゆう)(1602~74)は、五代続く画家の名門に生をうけ、徳川家康の御用(ごよう)をつとめ、秀忠以降、家光、家綱の御用(お抱え)絵師となり、後水尾(ごみずのお)天皇をはじめとする宮廷の愛顧を得て、73歳で亡くなるまで精力的な活動を続けた。江戸城や御所の障壁画から画帖(がちょう)の小さな画面まで、瀟洒(しょうしゃ)な山水画、迫真の肖像画、華麗な歌仙絵、可憐な花鳥画など、どんな絵にも巧みであった。生前から圧倒的な名声を誇ったが、死後も大きな影響力をもち続け、狩野派が江戸時代を通じて幕府御用絵師の地位を守り日本の画壇を牽引する基礎をつくった画家として顕彰されてきた。
著者から 10/7
10月号言語学者 加藤 重広 Kato Shigehiroことのはぞ悩ましき
10月号言語学者 加藤 重広 Kato Shigehiroことのはぞ悩ましき
言語学を専門にしていると言うと、ときに思いもしない質問を受けることがある。「不良をツッパリというのは相撲用語から来たのですか」「踏切(ふみきり)は通るときエイヤと踏み切るからですか」「consent(コンセント)は同意するという意味の動詞なのに、なんで電源の差込口を言うんですか」など、その多くは語源に関わるものである。たいていはその場でなんとか答えられるが、それでも詳しく調べないと断定できないことが多く、中には全くの難問でお手上げということもある。
著者から 10/7
10月号作家 湊 かなえ Minato Kanae旅をする本
10月号作家 湊 かなえ Minato Kanae旅をする本
――『物語のおわり』は、北海道を旅する人々が「空の彼方」という小説を手渡されることから物語が展開していきますが、こういった作品を書こうと思われたきっかけについて教えてください。
著者から 10/7
9月号文芸評論家 細谷正充 Hosoya Masamitsu「キマイラ」の世界に遊べ
9月号文芸評論家 細谷正充 Hosoya Masamitsu「キマイラ」の世界に遊べ
夢枕獏のライフワークである「キマイラ・吼」シリーズの最新作が、遂に刊行された。前作『キマイラ9』の出版が、2010年8月なので、実に4年ぶりになる。だがまあ、作者のファンにとっては、それほど待ったという思いはない。シリーズ第1弾『幻獣少年キマイラ』が、今は無き朝日ソノラマ文庫から出たのが、1982年のこと。すでに30余年以上にわたり、読み続けているのだ。とっくの昔に、いつまでも待つ覚悟は出来ている。だから4年程度、どうということもない。
最初の読者から 9/18
9月号株式会社インスパイア取締役ファウンダー 成毛 眞 Naruke Makotoめまぐるしい変化を先読みする目
9月号株式会社インスパイア取締役ファウンダー 成毛 眞 Naruke Makotoめまぐるしい変化を先読みする目
2011年あたりを境にして、日本だけではなく世界中が驚くべきスピードで変化しはじめた。あまりに多くの地域と分野が同時に変化しつつあるため、それぞれの変化の激烈さにも慣れてしまい、感覚が鈍化しはじめているようだ。個人も国家も思慮に欠け、予測が立っていないような手荒なことを、いとも簡単に行ってしまうことが普通になりつつあるような気がするのだ。
著者から 9/18
9月号文芸評論家 西上心太 Nishigami Shinta平成育ちの若者が「ラジオの原点回帰」を目指す
9月号文芸評論家 西上心太 Nishigami Shinta平成育ちの若者が「ラジオの原点回帰」を目指す
初めてラジオの深夜放送を聞いたのは、たしか中学1年生の2学期ごろだった。1969年(昭和44年)のことである。おいおい、いつの間に半世紀近くも経ったんだよ。
最初の読者から 9/18
9月号弁護士 宇都宮健児 Utsunomiya Kenji集団的自衛権行使容認の閣議決定を受けて
9月号弁護士 宇都宮健児 Utsunomiya Kenji集団的自衛権行使容認の閣議決定を受けて
安倍政権は7月1日、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を行った。
著者から 9/18
8月号書評家 杉江松恋 Sugie Mckoy強くあれ、そして優しくあれという祈り
8月号書評家 杉江松恋 Sugie Mckoy強くあれ、そして優しくあれという祈り
宮部みゆき作品の手触りは柔らかく、心地よい。
最初の読者から 8/14
8月号茨城大学教授・マヤ考古学者 青山和夫 Aoyama Kazuo「真の世界史」から学ぶ
8月号茨城大学教授・マヤ考古学者 青山和夫 Aoyama Kazuo「真の世界史」から学ぶ
私たちが、中学・高校で学んだ世界史は、「真の世界史」では決してない。それは、西洋史が西ヨーロッパの列強とアメリカ合衆国、東洋史が中国を中心とする「偏った世界史」である。世界はいわゆる旧大陸の「四大文明」だけではなかった。メソアメリカとアンデスという、コロンブス以前のアメリカ大陸の二大文明を十分に語ることなくしては、世界史を正しく再構成できない。なぜならば古代アメリカの二大文明は、旧大陸と交流することなく、「四大文明」と同様に、もともと何もないところから独自に生まれた文明、つまり一次文明を独自に形成したからである。
著者から 8/14
7月号元参議院議員 田村耕太郎 Tamura Kotaro永田町で鍛えた“非戦”の処世術
7月号元参議院議員 田村耕太郎 Tamura Kotaro永田町で鍛えた“非戦”の処世術
私自身かつて「アホと戦う最低のアホ」だった。アホと戦う虚しさと無駄さを、心身で実感している身だ。だから、この本の内容にはかなりの自信を持っている。
著者から 7/23
7月号俳人・「秋麗」主宰 藤田直子 Fujita Naokoくだものがもたらす幸福感を味わう
7月号俳人・「秋麗」主宰 藤田直子 Fujita Naokoくだものがもたらす幸福感を味わう
茨木のり子の詩「六月」に次のフレーズがある。
最初の読者から 7/23
6月号朝日新聞特別編集委員 星浩 Hoshi Hiroshi最高権力者にどう仕えるか
6月号朝日新聞特別編集委員 星浩 Hoshi Hiroshi最高権力者にどう仕えるか
政治記者の取材対象として面白いポストは、自民党幹事長と内閣官房長官だと思う。朝日新聞を含め新聞社の政治部だと、駆け出しの1年ほどは「総理番」と呼ばれる首相の追っかけ取材をする。その後、野党や役所に配属され、さらに政権与党や首相官邸の官房長官などを担当する。この数年間は、夜討ち朝駆けの毎日。体力がものを言う。
著者から 6/6
この話題を考える
医師676人のリアル

医師676人のリアル

すべては命を救うため──。朝から翌日夕方まで、36時間の連続勤務もざらだった医師たち。2024年4月から「働き方改革」が始まり、原則、時間外・休日の労働時間は年間960時間に制限された。いま、医療現場で何が起こっているのか。医師×AIは最強の切り札になるのか。患者とのギャップは解消されるのか。医師676人に対して行ったアンケートから読み解きます。

あの日を忘れない

あの日を忘れない

どんな人にも「忘れられない1日」がある。それはどんな著名な芸能人でも変わらない。人との出会い、別れ、挫折、後悔、歓喜…AERA dot.だけに語ってくれた珠玉のエピソード。

インタビュー
国際女性デー

国際女性デー

3月8日は国際女性デー。AERA dot. はこの日に合わせて女性を取り巻く現状や課題をレポート。読者とともに「自分らしい生き方、働き方、子育て」について考えます。

国際女性デー
6月号英文学者・文芸評論家 阿部公彦 Abe Masahiko教室で体感する小説的世界
6月号英文学者・文芸評論家 阿部公彦 Abe Masahiko教室で体感する小説的世界
大学の教室で文学作品を扱うのには困難が伴う。とりわけ小説は難しい。大学という場の性質上、どうしても“解釈”や“議論”を看板にかかげたくなるが、そもそも小説とは「俗」に発するもの。それなのに日常生活の中でほとんど小説など読まない今の若者に対して、小説作品についての精妙な解釈を開陳したり、複雑な議論を熱っぽく展開して何の意味があるのか。
最初の読者から 6/6
5月号幼児教室「アンテナ・プレスクール」校長 石井至 Ishii Itaru我が子に望むこと
5月号幼児教室「アンテナ・プレスクール」校長 石井至 Ishii Itaru我が子に望むこと
ずいぶん生きづらい時代になってきた、と思う。
著者から 6/5
5月号帝京大学医学部外科准教授 新見正則 Niimi Masanori進歩し続けているからこそ不確実な医療
5月号帝京大学医学部外科准教授 新見正則 Niimi Masanori進歩し続けているからこそ不確実な医療
2014年4月5日付の朝日新聞に「『健康』基準、緩めます 血圧・肥満度など、学会見直し」という記事が掲載された。11年に人間ドックを受けた約150万人のうち、「たばこを吸わず、持病がない」などの条件を満たす約34万人の「健康な人」から5万人を抽出して27検査項目を調べたものだそうだ。
著者から 6/5
5月号甲南大学教授 田中貴子 Tanaka Takako青い鳥を探して
5月号甲南大学教授 田中貴子 Tanaka Takako青い鳥を探して
ふた昔、いや、ひと昔前でも、オジサンと呼ばれる年代の男性が通勤電車で開く本は時代小説が多かった。それも、剣豪小説と呼ばれる男性作家のものばかり。しかし現在、時代小説はもう「男の聖域」を離れ、世代や性別を問わず広い読者層に親しまれるようになった。その功績者は、女性の時代小説作家だと言ってよいだろう。忠義と剣に生きる「おさむらい」に、お色気悪女か純情おぼこといったステレオタイプな女が絡む小説を喜ぶ読者ばかりではない(ドラマの「水戸黄門」に由美かおるの入浴シーンが1回はあるようなヤツですね)。女性時代作家の特色は、今まであまり描かれることのなかった職業や境遇の人々を細やかに語る点である。本書の著者もその一人だ。
最初の読者から 6/5
5月号ケアタウン小平クリニック 山崎章郎 Yamazaki Fumioがんを生きる道標
5月号ケアタウン小平クリニック 山崎章郎 Yamazaki Fumioがんを生きる道標
2人に1人が、がんになり、3人に1人が、がん死している現実がある。老化もその大きな原因であるがんは、今後、団塊の世代に襲いかかり、やがて2人に1人が、がんで死亡すると言われている。このような現実を直視し、腹をくくり、誰もが、がんになり、がんで死亡するかもしれないことを自らの人生設計にいれながら生きることが求められている。
がん
最初の読者から 6/5
4月号文芸評論家 三浦雅士 Miura Masashi歴史学の新しい流儀
4月号文芸評論家 三浦雅士 Miura Masashi歴史学の新しい流儀
先日、五味文彦の『後鳥羽上皇』を読んでさまざまなことを考えた。目崎徳衛の『史伝 後鳥羽院』もそうだが、歴史と文学、政治と文学についてまったく新しい眼で眺めるよう促されていると思えたのである。これは網野善彦の仕事と対比するといっそう明瞭になるのだが、網野の著作がフランスのアナール派に一脈通じる民衆史の文脈で話題になったのと対照的に、五味や目崎の著作では、固有名を持った1人の人間がそれ自体ひとつの政治的な装置として機能せざるをえないその仕組が顕わになるのである。もともと人間とはそういうものとしてあると思わせられる。
最初の読者から 4/22
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