撮影ポイント周辺にいるのは、カメラマンだけではない。観光客もいれば、その地域の住民もいる。しかし、場所の占有の項でも触れたが、自分のカメラの画角に入るからという理由で、一般人に暴言をはくカメラマンは後を絶たない。当然、トラブルに発展することもある。

●剱岳近くの平の池で北方稜線を撮影していたところ、すぐ隣にやってきた男性カメラマンが、登山道を歩く登山者に向かって「そこ歩くな、邪魔だぞー」と叫び始めた。「あそこは登山道ですよ、待つしかないでしょう」と言ってもやめなかった。(60代 男性 自治体臨時職員)

●一般の方の通行する場所なのに撮影に夢中で人の流れを阻害しており、ぶつかってしまった通行人にあろうことか撮影者が激高。激しいけんかになっていた。(40代 男性 公務員)

●ある寺の桜の木の前で花吹雪を狙っている数人のカメラマンが、ちょうどよい風が吹いてシャッターチャンスが到来したときに、フレームに入ってきた人たちを恫喝していた。寺なので参拝する人もいるのだから、その行動は到底理解できるものではない。(50代 男性 会社員)

●一般の観光客の小さい子ども連れの若い女性に対して、後ろから、「おい! どけろ!」といって無理やり場所を空けさせていた。(50代 男性 会社員)

 こうした暴言が発端でトラブルとなり、ケンカざたになったという例もある。

●湿原内で木道を離れて湿原に入り三脚を立てて撮影していた人に、カメラバッグと三脚を持った人が注意していたが、湿原に入った人が無視し続けたせいか、注意した人が三脚でなぐりかかっていた。(50代 男性 職業不詳)

●マナーの悪い人に注意したら逆切れして、殴りかかっていた。通行人に「どけ」「早くいけ」「バカ」の暴言もある。(70代 男性 無職)

 東京都に住む自営業の男性Bさん(55)はこんな暴行場面を目撃したという。

「京都市動物園のサル山の前で、5人くらいの高齢者の男性がカバンを置いて場所取りをしていました。そこに、別の高齢男性が来てカバンを置いた。すると先に場所取りをしていた男性の1人が『俺の場所だぞ』と言いながら、後から来た男性を突き飛ばしたのです。後から来た男性も『何すんねん!』と怒っていました。どちらも一声かければいいものを、いきなり突き飛ばすという行為はマナー違反を超えていると思います」

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暴言、暴行 弁護士の見解は?