がんの治療法は担当医から提示され、患者は詳しい説明を受けます。聞き慣れない用語が出てくることもあるかもしれません。「早く治療法を決めなくてはいけない。でも、どうしよう」と迷ったり悩んだりする人も多くいます。
そこで、正しく理解しておきたい「標準治療」と、迷った時などに役立つ「セカンドオピニオン」、治療に関する情報収集のポイントなどについて、愛知県がんセンター副院長・乳腺科部部長の岩田広治医師に聞きました。Q&A形式で解説します。前編に続いて、後編をお届けします。
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Q セカンドオピニオンを受けたいと言うと、担当医が気を悪くしないでしょうか?
A 不愉快そうな顔をする医師もいるかも。言い方を工夫して受け入れてもらう
患者のセカンドオピニオンの希望に対して、多くの医師は提案した治療法が標準治療で、自信を持ってすすめたのであれば、快く「どうぞ」と言ってくれるでしょう。ただし、一部には不愉快そうな顔をしたり、「その必要はない」などと言ったりする医師もいると思います。どんな医師でも間違いなくその治療法を選ぶケースで、患者が明らかに不利益な治療法を選ぼうとしていたら、止めることもあるでしょう。そうではなくて、個人的な感情で不愉快な表情をするなら、その医師に治療をお願いするのは難しいかもしれません。
セカンドオピニオンを受けるには、担当医に検査データなどを用意してもらう必要があるので、尻込みせず、希望を上手に伝える工夫をしましょう。
おすすめは、まず相手(担当医)を認める言葉を述べることです。例えば「先生の治療方針はよくわかりました」「いい方法だと思います」「ごもっともなお話で、そうするのがいいのかなと思います」などと言ってから、「ですが、ほかの先生のご意見を聞いてみたいとも思いまして……」と本題を切り出します。どんな人も自分を肯定する相手に冷淡な態度はとりにくいもので、「しょうがないねえ、じゃあ、まあどうぞ」と受け入れてくれるのではないでしょうか。