気になる冷えのぼせは、早めにケアしましょう ※写真はイメージです (c)GettyImages
気になる冷えのぼせは、早めにケアしましょう ※写真はイメージです (c)GettyImages

 手足は冷たいのに、顔はほてって熱い。そんな「冷えのぼせ」の症状に悩む人が増えているといいます。一見すると更年期の不調と思われがちですが、実際は年齢を問わず現れる症状。放っておくとさまざまな不調につながるので、積極的に体質を整えて不快な症状を改善しましょう。日本の漢方のルーツである中国の伝統医学「中医学」の専門家が、【冷えのぼせの和らげ方】を、4つのタイプ別に紹介します。

【教えてくれた菅沼 栄先生(中医学講師)はこちら】

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■「冷えのぼせ」は重い冷え症と考えて 

「冷えのぼせ」は、手足の先や下半身が冷えていて、顔や頭部などの上半身は熱っぽい状態をいいます。更年期に起こる“ホットフラッシュ”とよく似ていますが、冷えのぼせは「冷え症」の一つ。年齢を問わず、誰にでも起こる可能性があります。

 正反対にも思える“冷え”と“のぼせ”の症状ですが、これは冷えに対する身体の反応によって起こるもの。私たちの身体は、体内の熱が不足すると、手足の末端の温度を下げて頭部(脳)の温度を守るように働きます。こうした状態が続くと、体温を調節する自律神経の働きが乱れ、冷えとのぼせが混在した“冷えのぼせ”が起こるのです。

 中医学でも、冷えのぼせは主に身体の冷えから起こる症状と考えます。その要因は、寒さによる血行不良、ストレスによる「気」や「血(けつ)」の巡りの停滞、「脾胃(ひい)」(胃腸)の虚弱による気血不足、腎の不調による陽気不足など。こうした体内の不調が冷えと熱の混在を起こし、冷えのぼせにつながるのです。

 冷えのぼせ自体は病気ではありませんが、放っておくと不眠、イライラ、肩こり、めまい、頭痛といったさまざまな不調につながる心配も。不快な症状が続くと精神的にも負担になるので、日頃のケアで体質を健やかに整え、まずは“冷えない身体づくり”を目指しましょう。

<チェック!>タイプ別「冷えのぼせ」の対処法

 人の身体を陰陽で捉えると、上半身は「陽」、下半身は「陰」にあたると中医学では考えます。体内に発生した「熱」は陽にあたる要素なので上半身に、「冷え」は陰の要素なので下半身に溜まりやすくなります。これを「上熱下寒(じょうねつげかん)」といいます。そのため、熱と冷えが体内に混在すると、顔や頭部がほてり、手足の先や下半身が冷える「冷えのぼせ」の症状が起こるのです。体内の不調を整え、冷えのぼせを起こす要因を根本から改善することが大切です。

【タイプ1】寒さによる「お血」(血行不良)タイプ

お血タイプ PhotoAC
お血タイプ PhotoAC

<気になる症状>
暖房で冷えのぼせの症状が強くなる、手足の強い冷え、しびれ、痛みの症状(頭痛、関節痛、生理痛など)、顔色が蒼白(冷え)または暗い(血行不良)、皮膚のしみ・くすみ、舌の色が暗い、舌にシミのような黒い斑点がある、舌苔が白い

<改善ポイント>
「血」は体内を巡って身体を温めているため、冬の寒さや冷房などで血流が悪化すると「冷え」を招く要因に。一方、温かい血の流れが停滞すると、余分な「熱」がこもることもあります。「お血(おけつ)」による「冷えのぼせ」は、こうした血の特徴によって冷えと熱が混在した状態。熱は上へと昇る性質があるため、顔や頭部にほてりが生じます。反対に、手足の先には十分な血が巡らず、冷えを招いてしまうのです。
 養生の基本は、身体をしっかり温めて血行を促すこと。冬は症状が強く出やすいので、お血がある人は積極的に寒さ対策をしましょう。

<摂り入れたい食材>
身体を温め血行を良くする、温性で血に作用する黒の食材を。
紅花、らっきょう、黒きくらげ、いわし、納豆、紅茶、よもぎ、玉ねぎ、ウコン、さんま、適量の酒(紹興酒、赤ワイン)など

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ストレスや疲労も冷えのぼせの原因に