※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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「まぶたが重く、ものが見えにくい」など、まぶたが下がることで不快な症状に悩まされる「眼瞼下垂」(がんけんかすい)。高齢者を中心に幅広い年代にみられる病気だが、どのように治療するのだろうか。その治療方法について専門医に聞いた。

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 眼瞼下垂は加齢性や先天性、またはコンタクトレンズの長期装用などにより、まぶたが通常よりも下がってしまい、瞳孔を塞ぐことで、ものが見えにくくなる病気だ。

 初期にはとくに、上方向の視野の見えづらさが発生する。さらに、視野を得るために常に眉を上げ、額を緊張させるために頭痛や肩こりも発生しやすい。「額のシワ」「疲れた表情」といった、見た目の問題にも悩まされやすい。

 その重症度は、上まぶたが瞳孔にどれだけかかっているかで決まる。正面を向いた状態で、上まぶたの縁から瞳孔中央(黒目の中央)までの距離が3・5ミリより狭い場合に眼瞼下垂と診断される。重度になると、上まぶたが瞳孔を完全に塞いでしまうこともあり、下を向いたときにさらにまぶたが下がって、足元など下方向が見えにくくなり、ケガなどのリスクも増してしまう。

 症状が軽く、本人が生活の不便さや全身症状で困っていないかぎりは、かならずしも治療が必要な病気ではない。ただし、高齢者の場合は「見えにくさ」が思わぬケガや認知機能の低下にも影響することがあるため、放置した場合にリスクもある。

■腱膜を固定し直す手術で治療

 まぶたの筋肉や腱膜は薄く繊細であるがゆえに、治療もデリケートな性質を帯びるという。まつだ眼科形成外科院長の松田弘道医師はこう話す。

「まぶたの筋肉である上眼瞼挙筋は眼球の上方で挙筋腱膜とミューラー筋に分かれ、それらはまぶたの縁の瞼板という組織に付着しています。挙筋腱膜とミューラー筋はまぶたの繊細な動きの表現や二重の形成などに関与しています。その繊細さゆえにまぶたへの付着もはずれてしまいやすい。この両者が加齢などで劣化して緩んだり、付着がはずれたりして眼瞼下垂が生じます」

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眼瞼下垂の治療法は?