今年も大学入試が本格的に始まった。昨年の入試で注目されたトピックの一つが、早稲田大政治経済学部の「数学」必須化だ。経団連は「文系の大学生も数学を学ぶ」よう求める提言をまとめており、早稲田政経の入試改革は経済界でも話題になった。ただし受験生からは敬遠され、同学部の志願者は前年比で約7割に減少した。私大の文系学部で数学を重視した入試を実施している大学は早稲田以外にもある。その狙いはどこにあるのか。
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早稲田大の「看板学部」と称されることも多い政治経済学部。2020年度入試まで一般選抜は、外国語+国語+世界史・日本史・数学から一つの3科目だった。ところが21年度入試から、大学入学共通テストの4科目(外国語+国語+数学IA+地歴・公民・数学IIB・理科から一つ)に加えて、大学独自の総合問題(日本語と英語で書かれた文章を読解)を解く方式に変わった。つまり、選択式だった数学を必須科目化したのだ。
文系学部では「英語+国語+地歴」の3教科の入試を実施している大学が一般的だ。しかし経済系の学部では、早稲田政経以外にも、数学を重視している私大がいくつかある。順にみていこう。
■慶應大経済学部は3分の2が数学受験
慶應義塾大経済学部は、一般選抜をA方式とB方式に分けている。A方式は、英語+数学+小論文の3科目で、定員は420人。B方式では数学が地歴に替わり、定員は210人。つまり同学部に一般選抜で入学した学生の3分の2は、数学を受験している。
立命館大経済学部経済学科は、英語+国語+数学IAIIBの3科目を課す「学部個別配点方式」を用意している。この入試による募集定員は30人と、全体合計の500人からみると少ない。また青山学院大経済学部経済学科は、個別学部日程で英語+数学IAIIBを課すB方式があり、募集定員は約100人。東洋大経済学部経済学科は、それぞれの募集人員は少ないものの、数学IA+IIの大学独自問題を必須とする入試方式が数多く用意されている。同学科の児玉俊介教授は「推薦入学を含めても数学必須受験者は学科全体でほぼ6割になります」と話している(朝日新聞 EduAウェブ版 21年4月9日配信から)。