■有終(ゆうしゅう)の美
ハッピーエンドは意外と少ない!?

「優秀の美」と勘違いされることもあるようですが、「有終」と書きます。「有終」は、『詩経(しきょう)』という中国最古の詩集にある「克(よ)く終わり有ること鮮(すく)なし(うまく終わりを迎えられることは少ない)」という部分に由来し、「終わりを全うする」という意味です。その結果の「美」なので、「物事を最後までやり通し、立派な成果をあげる」という意味になるのです。

■助長(じょちょう)
成長を助けようとしたことが裏目に

漢字を見ると良い意味の言葉に思えるかもしれませんが、本来はそうではありません。この言葉は、中国戦国時代の儒学者である孟子(もうし)の逸話や問答をまとめた『孟子』にある、苗の成長を助けようとして苗を引っ張ったところ苗が抜けて枯れてしまったという故事に由来します。そこから、不要な助力をしてかえってそこなうことの意味になりました。ただし、今では物事の成長・発展のために力を添えるという良い意味でも用いられます。

■鳴かず飛ばず
将来に備えて力をたくわえている

「泣かず」ではなく「鳴かず」です。中国の春秋時代に、楚(そ)という国の王が3年の間まともに政務を行わなかったところ、ある家臣が「丘の上にいる鳥が3年間『蜚(と)ばず、鳴かず(飛びもしなければ、鳴きもしません)』」と言ったという故事が歴史書の『史記』にあります。この王は将来に向けて力をたくわえていたので、「将来の活躍に備えて行いを控え、機会を待つ」というのが本来の意味ですが、今では「長い間活躍できない」という意味でも用いられます。

■白い眼で見る
青い目と白い目を使い分けた!?

『晋書(しんじょ)』という歴史書に由来します。中国の三国時代に、青い目と白い目を使い分ける阮籍(げんせき)という文人がいました。阮籍は、気に入った相手には青い目を見せ、気に入らない相手には白い目を見せたといいます。そこから、冷淡な、憎しみのこもった目つきを「白眼」、そのような眼で見ることを「白眼視」や「白い眼で見る」というようになりました。

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実は17世紀フランス生まれの慣用句は?