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 1分未満の短い動画の人気が高まっています。TikTokはもちろん、Instagramでは「リール」、YouTubeでも「ショート」と呼ばれる短い尺の動画を投稿するサービスを展開しています。InstagramやYouTubeは、TikTokを追随するように短い動画を投稿するサービスを追加しました。

 これらのサービスの特徴としては、動画の時間が短いことに加えて、次々に動画がオススメされることです。視聴履歴や検索履歴、お気に入りや「いいね」やフォローの履歴からAIがサジェスト(推測)したユーザーと相性の良い動画の場合もあれば、最新の動画や反響の大きな動画をオススメされることもあります。特にTikTokでは、検索しなくても次から次へとオススメの動画が回ってくるため、気に入ったTikTokerをフォローしていないと、同じ動画に出合うことはできません。そのため、フォロワーが増えやすい傾向があります。

 さらに、コンテンツの中身も、同じ曲や同じ音楽、同じ動きや踊りをすることによって、流行が起こります。YouTubeやInstagramに比べて、多大なオリジナリティーや企画力を必要とせず、参加や消費がしやすいプラットフォームといえます。この短い動画のブームは、特に欧米で顕著です。

 アメリカで行われた調査では、2021年6月の時点で、ユーザーの月間平均視聴時間が、TikTokは24時間、YouTubeは22時間40分となっており、TikTokの方が上回っています。イギリスでは、TikTokが月間26時間、YouTubeは月間16時間と大きな差となっています。まだ日本では、YouTubeの方が優位ですが、いずれ短い動画が優位になる可能性は大いにあります。YouTubeで動画を投稿しているYouTuberも、ショート動画を制作するようになりました。プラットフォームが「推し」ているサービスであるため、より多くの人にオススメされる可能性が高いからです。ただし、一点気をつけなければならない点は、短い動画を視聴する人は長い動画を視聴できないという点です。

 15秒程度の動画を見慣れているユーザーにとっては、3分以上の動画はとても長く感じます。端的に言えば「インターネットのコンテンツを視聴する人は、とてもせっかち」なのです。現実の世界では、電話をかけたら3コール程度は待つことができますが、インターネットでWebページを検索した時は、表示される時間が1秒だとしても、とてももどかしく感じます。この特性は動画についても同じで、普段TikTokで1分未満の動画を見慣れている人は、YouTubeの5分の動画を長く感じます。

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