とは言うものの、どうやって3つのパーツに分けていけばいいのか。これにもヒントがあります。それは、

 主語を表す係助詞「は」
 と
 接続助詞「ので」

 なのです。これ理解すると、わかりやすい文が書けるようになります。

■主語を表す「は」と「が」の違い

「は」も「が」も、主語を表す助詞です。しかし、「は」は係助詞で、「が」は格助詞です。助詞の種類が違うのです。この違いには、いろいろありますが、ここでは述語(述部)への掛かり方の違いに注目して解説します。

例2)
 君ため息をつくたび、やるせない気になる。

 この例では「やるせない気になる」のは、「君」ではなく隠れた主語の「私」です。

 ところが、

例3)
 君ため息をつくたび、やるせない気になる。

 のように「君が」を「君は」に変えると、「やるせない気になる」主語は「君」です。

 この違いは、係助詞「は」の役割にあります。「は」は遠くの述語(述部)にまで影響を及ぼします。これは、一つの文だけではなく、文をまたいで影響します。

例4)
 祖父は戦争の話をしたことがない。特にシベリアでのことは頑なに話さなかった。

 のように、一文目の主語「祖父は」は、「特に」から始まる二つ目の文の主語にもなりうるのです。遠くにまで主語の影響を及ぼすのが、係助詞「は」の特徴なのです。

 一方、「が」は主語を表す格助詞です。この特徴の一つは、その文の主語を確定し、直近の述語にのみ影響を与えることにあります。そのため、例2)では

<君がため息をつくたび>

 の主語「君が」は、「ため息をつくたび」にのみ影響し、

<やるせない気になる。>

 という後半の述部には、影響を及ぼさないのです。

 例1)に戻すと、

<このバッターは選球眼がいいので三振とフォアボールをよく選び、打率と本塁打が多いバッターだ。>

 書き出しの「このバッターは」が、文末の「バッターだ」に影響するため、

<このバッターは~バッターだ>

 という構造になってしまうのです。

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