■接続助詞「ので」の働き

 次に、例1)の書き出しの部分を見てみます。

 <このバッターは選球眼がいいので

 ここには「ので」という接続助詞が使われています。接続助詞は、文字通りその前後を繋ぐ働きがあります。つまり接続助詞を挟んで異なる要素が並んでいると言えるのです。図式で表すと

 W+接続助詞+X+接続助詞+Y……

 となります。接続助詞を使うと文はどんどん長くできます。その結果、主語が不明確になり、最後にまた主語を置かざるを得ない場合がでてきます。それが例1)なのです。

■接続助詞の前で文を切る

「ので」「で」「だが」「が」などの接続助詞があったら、その前後で異なる要素の文がつながっているのだと認識することが肝要です。そして、接続助詞の前後を分割して独立した文にするのです。

例1)
 このバッターは選球眼がいいので三振とフォアボールをよく選び、打率と本塁打が多いバッターだ。

 この例で言えば、接続助詞「ので」の前にある「このバッターは選球眼がいい」というところで、句点「。」を入れて文を切るのです。

<このバッターは選球眼がいい。>

 これが、例1)の骨に当たります。そこを分割できれば、「だから、三振が少なく、フォアボールが多い」「打率も高く、加えて本塁打も多い」などの肉をつけていけばいいのです。

■なぜ文が短くできるのかを理解しよう

 書店のビジネスコーナーに「文章の書き方」に類する本がたくさん置かれています。その多くは「文章は短いほうがわかりやすい」と指摘しています。文を短くするためのアプローチは、さまざまあることと思います。ここでは、

 係助詞「は」の働きを理解し、できるだけ接続助詞を使わないようすれば、必然的に文は短くなる。

 ということを中心にお話をしました。これは、一つの要素で一つの文を書くということでもあるのです。

 極端に言うと、箇条書きでいいのです。文を書くと、どうしても要素が増えて長くなります。文が長くなると、主語と述語の関係に齟齬が生じやすくなります。「箇条書きでいい」と言ったのは、それを抑えるための意識付けとしてのアプローチなのです。

 冒頭のTwitterにあった

「ご不便をおかけしますが、健康・感染を守るため……」

 という文も、中黒(・)を使って並列させてことばを重ねたために、述語が合わなくなってしまったのです。文意を通すには接続助詞と同じように、ことばを分割することが必要だったのです。