格闘家の青木真也(画像=本人提供)
格闘家の青木真也(画像=本人提供)

 13日に行われた総合格闘技イベントの「RIZIN.28」で朝倉未来(28=トライフォース赤坂)がクレベル・コイケ(31=ブラジル)に失神KO負けを喫した。柔術家のクレベルに対して、朝倉は試合前から「タップはしない」という趣旨の発言をしており、その“散り方”を称賛する声もあれば、危険だと批判する声も上がった。かつて、タップしない相手の腕をそのままへし折って批判を浴びた経験のある格闘家の青木真也は、朝倉の姿とわき起こっている論議をどうみるのか。

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――朝倉選手は試合前にタップをしない趣旨の発言をして、実際にタップをせずに失神状態でKO負けしました。あの姿をどうみましたか。

 朝倉選手はそれだけ気持ちが強い選手だった、ただそれだけのことですよ。タップするかしないか、発言がどうかなんて本当にくだらない話。タップするもしないも勝手にどうぞとしか思いません。

――「くだらない」という言葉の意味は?

 タップしなかったらオチる(失神する)だけ、骨が折れるだけです。何か問題がありますか? 問題があるのならルールでオトすことと、骨を折ることを反則にすればいいだけの話です。

 そもそも格闘技は人を傷つけ合ってノックアウトするのだから、スポーツじゃないんです。世間一般に存在するためにスポーツということにしているだけで、あくまで格闘技なんです。多くの人が、そこを勘違いしていると思います。

 殴ればいい、オトせばいい、そういう仕事なんですよ。格闘家の視点からみれば、タップがどうこうなんて、くだらない話だと思いますね。

――選手生命を考えると、あそこまで耐えてしまうのは、危険ではないですか? また、やはり格闘家でない素人には、失神させたり、骨を折ったりするのは「やり過ぎだ」と思われそうです。

 逆に聞きますが、相手を殴るときに骨が折れてしまうか、失神させてしまうかを気にする選手がいますか? いませんよね。

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國府田英之

國府田英之

1976年生まれ。全国紙の記者を経て2010年からフリーランスに。週刊誌記者やポータルサイトのニュースデスクなどを転々とする。家族の介護で離職し、しばらく無職で過ごしたのち20年秋からAERAdot.記者に。テーマは「社会」。どんなできごとも社会です。

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