2019年のペースメーカー治療数ランキングの上位3位は以下の通り(週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2021』から)。

1位 小倉記念病院(福岡県) 植え込み数185件(ICD92件、CRT-D93件)
2位 国立循環器病研究センター(大阪府) 植え込み数171件(ICD105件、CRT-D66件)
3位 千葉大学病院(千葉県) 植え込み数101件(ICD75件、CRT-D26件)
 
 ランキングは特設サイト「手術数でわかるいい病院」で無料公開しているので参考にしてほしい。https://dot.asahi.com/goodhospital/

 小倉記念病院は、17年は全国2位(植え込み数163件)、18年は全国2位(植え込み数167件)で、今回全国1位になった。

 16年に保険適用になったS-ICD(完全皮下植え込み型除細動器)は、実施する病院は限られているが、同院は実施しており、19年に9例の実績がある。
 
 また、同院は主に心房細動に対する心筋焼灼術(カテーテルアブレーション)の治療数においても、2年連続で全国1位だ。心臓手術では全国5位、心臓の内科的治療である心カテーテル治療では4年連続で全国3位と、心臓の病気全般で上位にランクインしている。

 安藤医師はその理由をこう述べる。

「当院は伝統的に心臓病全般に対する治療に定評があります。特に冠動脈に対するカテーテル治療や外科手術は昔から全国屈指の手術数でした。そのため患者さんも集まってきて、おのずと経験数も増えていきます。03年頃からは不整脈の治療も充実させてきました。その結果、ペースメーカーの治療数も年々増えてきたわけです」

 近年は各治療の進歩により、長生きする患者が増えた。しかし、高齢者の多くは心臓の働きが低下しているため、心不全の患者が全国的に増えているという。

「90歳代の患者さんの心不全も増えています。今後は心臓の各疾患が治った後、心不全になる患者さんをどう診ていくかということが、ますます重要になると思います」
 

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