なぜ宇宙船内に医師クルーが必要? 医療緊急事態に最短「月へは3日、火星なら半年!」

ヘルス

2021/02/20 11:32

■医師として働くなか、よみがえった宇宙への夢
 
 宇宙への思いは幼少期から。アポロ11号が月面着陸する映像を見たことが宇宙に興味を持つきっかけになった。幼少期のヒーローは人類のピンチに宇宙から飛んでくる「ウルトラセブン」。宇宙への憧れを強めていった。

「将来は宇宙工学や天文学を勉強したいと思っていました。でも高校2年生のときに内科と病理学をやっていたおじの話を聞き、医師の仕事に興味を持ったのです」
 
 必死に勉強し、無事医学部に合格。卒業後は消化器外科の医師として充実した日々を送っていた。

 しかし、転機は突然訪れた。医師になり9年目のある日、当直の病院で目にしたのが、NASDA(現JAXA)が日本人宇宙飛行士を募集するというニュースだった。

「大げさですが、脳天に稲妻が落ちたような衝撃を受け、挑戦したいと思いました」

 もし選ばれれば生活は一変、医師としてのキャリアも失うかもしれない。だが、これまで身につけた技能や知識は宇宙飛行士としての活動にも役立つはずだという思いもあった。幸いその日は、外来患者のいない夜。ひとり熟考し応募を決断、見事に夢を実現した。

■宇宙船内の医療には、医師クルーが必要

 1999年4月から、同じく候補者に選ばれた星出彰彦さん、山崎直子さんとともに訓練に参加し、01年に宇宙飛行士として正式認定。04年には、ロシアの宇宙船「ソユーズ」のフライトエンジニアの資格も取得した。
 
 エンジニア資格取得の際は、医学とは異なる分野の勉強に相当苦労したというが、宇宙飛行士と医師の仕事には共通点もあるという。

「医師の場合、看護師や薬剤師、事務の担当者と連携する場面が多くあります。宇宙飛行士の場合も同様で、それぞれが持つ専門知識や技術を生かしながら、チーム全体で高いパフォーマンスを発揮することが求められます」

 日本人で医師から宇宙飛行士への転身は、日本人女性初の宇宙飛行士である向井千秋さんに次ぎ、2人目。現在は、海上自衛隊で潜水医官を務めていた金井宣茂さんも、宇宙飛行士として活躍している。
 

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