今後も医師が宇宙飛行士に選ばれる可能性については、「個人的に火星を目指す有人探査の際には、クルーの中に医師がいることが自然だろうと考えています」との見解を示す。

 例えばISS滞在中に医療の緊急事態が起こった場合、最速数時間で地球に帰還することも可能だ。しかしそれが月ならば帰還までに最短3日、火星ならば半年程度の時間がかかる。宇宙船の中や現地で医療行為を行うケースが考えられるというのが、その理由だ。

「今後、月や火星の有人探査に携わる宇宙飛行士は、今の10代から20代の人たちでしょう。また、JAXAでは21年秋ごろから日本人宇宙飛行士の募集を行う予定があります。医師である宇宙飛行士の活躍の場は広がると考えられますので、宇宙と医学に興味がある人はぜひ挑戦してみてほしいと思います。私も人類の活動圏を広げる貢献ができるよう、訓練を続けていきたいと思います」

【メッセージ】これからの時代の新しい医師像とは?

 医師の仕事では、チームの一員として貢献する場面も多くあります。学生時代には一生懸命勉強することはもちろん大切ですが、スポーツや課外活動にも積極的に参加して、チームワークを身につけましょう。私自身もそうでしたが、将来の夢を強く思い描くことで、勉強のつらさは乗り越えられるものです。皆さんの夢がかなうよう、応援しています。

(ライター・木下昌子)