3人ともにキャリアの晩年を迎え、レギュラークラスの数字ではないが、経験や存在感を考慮したバックアップ要員としてなら生きる道はあるはず。所属球団からは来季の戦力としては外れてしまったが、他球団にはまだ必要と判断された。

「福留は残留の線もあった。しかし9月に発覚した新型コロナウイルス感染防止の球団内規違反が大きかった。制裁金を科されて悪い印象も残り、何かと周囲が騒がしい阪神残留は難しかった。内川はファンへのスピーチでは『1打席もチャンスをもらえなかった』と語るなど、起用法に不満を感じていたようだ。能見に関しては本人の性格もあり、打たれると周囲が止められないほどに暴れることも過去にはあった。3選手とも近年は球団と良好な関係ではなかった」(在阪スポーツ新聞記者)

 球団からの公表はなかったが、シーズン終盤にはそれぞれ来季の構想外であることが報道された。各選手には事前に「来季の契約意思がない」ことは告げられていたとも予想される。戦力となりうる選手だっただけに、他球団もすぐに調査を開始、来季契約への動きも早かった。

 福留は12月9日の時点で中日と合意に達しており、18日に背番号「9」で今年の年俸1億3000万円から大幅減の3000万円で契約を結んだ。内川は1年契約、背番号は「7」で獲得とヤクルトが8日に発表、11日に今季年俸から2億円減となる5000万円で正式に契約。能見はオリックスと8日、選手兼任コーチとして3500万円、背番号「26」で契約した。

「年間を通じての活躍は厳しいが、ピンポイントではまだ仕事はできる。また各球団も弱点を補うことができる補強だった。中日は外野陣の年齢層が高く、根尾昂など若手を育てるためにも福留は良い教材になる。内川の打撃技術は健在で、守備のグラブさばきも良い。1塁と外野の両方を守れるのも大きい。能見も短い回なら熟練の投球術で抑えられる。何より左腕というのが大きく、使い勝手が良い。長い回や状況によっては先発にも対応できる」(在京球団スコアラー)

 各球団の事情や本人の問題などが重なり、前所属からは戦力外の評価となった。しかし過去の実績、経験などは球界でも上位ランクと言える。使い方によっては戦力になるという判断も当然だ。年俸などの諸条件を見れば、期待度の高さがわかる。

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成績以外にも期待される“効果”