「ベテラン選手の場合、年俸2000万円が評価の分岐点。過去に活躍するなどして現在でも知名度がある選手ならば、チケットやグッズ、CMなどのスポンサー収入で回収可能な金額。仮に2軍暮らしでも球団に損失は出ない。1軍にいれば球場へ足を運んだりテレビを見る気にもなる。活躍すればチームも勝てるしお金も入る。選手枠は1つ減り、若手を中心にチャンスが減ることになる。しかし各球団とも、どんな形でも収益を伸ばしたい。特に今はコロナ禍でなりふり構っていられない。現実路線で考えても獲得には賛成です」(経済事情に詳しいフリーライター)

 具体例として名前が挙がるのが西武の松坂大輔。ソフトバンク在籍3年で1軍登板1試合のみだったが、18年に中日は1500万円で契約。そこにはグッズ収入のみでも年俸分大半の回収は可能という計算もあったという。 ところが移籍1年目は11試合に登板して6勝4敗、オールスター出場を果たしカムバック賞まで受賞。予想外の活躍によって、中日は大きな収入を得ることができた。翌年は大幅昇給の年俸8000万円となったが、右肩の故障もあり、わずか2試合の登板で0勝1敗に終わった。期待外れとなったが2年トータルで考えれば、それも想定内だった。ちなみに西武に復帰した昨年は年俸が3000万円で、7月に脊椎内視鏡頚椎手術を受けるなど登板なし。今年は2000万円で契約したと見られ、現実的な金額とも言える。

「試合に出場さえできればグッズのみならず、CMに起用したがる企業も出てくる。投げられるかどうかわからない松坂よりも、3人の方が間違いなく試合の出場機会は多い。顔と名前が一致すればイメージキャラに使いやすい。また野手の場合、レギュラーになれば連日試合出場が可能なため、CMスポンサーがつくことでテレビ中継が決定することもある。現在、そういう問い合わせは来ていないが、キャンプ、オープン戦と活躍し露出が増えれば可能性はある。中日、ヤクルトオリックスは決して人気球団ではない。3選手の加入は球団営業部からすれば、大きな補強のはず」(大手広告代理店関係者)

 様々な思惑が絡む中、ベテランの所属先は決まった。周囲はいろいろ騒がしいが、グラウンド上の結果が全てということを本人たちが最も自覚している。今回の球団が最終所属先になる可能性は高く、活躍次第ではコーチ、監督など引退後の道さえも見えてくる。

 人間、必死になった時が最も実力を発揮できる。球界屈指の技術を誇る3選手、モチベーション次第で十分に戦力になる可能性もあるのではないか。