巨人・坂本勇人 (c)朝日新聞社
巨人・坂本勇人 (c)朝日新聞社

 昨季、打率.312、40本塁打、94打点とキャリアハイと言える成績を残してリーグMVPに輝いた巨人坂本勇人。31歳となって迎えるプロ14年目の今季は、残り116本としている通算2000安打の達成だけでなく、2004年の松中信彦(ダイエー)以来、史上8人目(通算12度目)の三冠王にも期待がかかる。果たして、その可能性はどのぐらいのものなのだろうか。ライバルたちとの力関係も見ながら考えてみたい。

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 まずは打率部門。昨季の首位打者は鈴木誠也(広島)で打率.335で、坂本はリーグ5位。2位以下の面々を見ると、打率.315のビシエド(中日)、打率.314の糸井嘉男(阪神)、打率.312の大島洋平(中日)となり、年齢的なことを考えても鈴木が最大のライバルになる。その鈴木は4年連続で打率3割以上をマークしているが、昨季の打率.335が2016年と並び自己最高。一方の坂本は、昨季こそ打率.312だが、首位打者に輝いた2016年(打率.344)、惜しくもリーグ2位だった2018年(打率.345)と、打率3割4分台を2度マーク。坂本が今季、それと同等レベルの数字を残せば首位打者レースを引っ張っていくことは間違いない。

 続いて、坂本が昨季大きく進化した本塁打部門。昨季の坂本は5月までの49試合で17本塁打とアーチを量産すると、7月、9月も月間7本塁打と着実に積み上げて大台の40本に到達した。惜しくもソト(DeNA)の43本塁打には届かなかったが、過去10年のセ・リーグで40本塁打未満での本塁打王は半数の5人であり、坂本が今季も40本に到達すればタイトル獲得の可能性も十分にあり得る。

 最大のライバルは、2年連続本塁打王のソトになるが、過去2年の実績に加えて筒香嘉智が抜けたことで各球団からのマークが厳しくなることは必至。日本人では、昨季36本塁打の村上宗隆ヤクルト)と同35本塁打の山田哲人(ヤクルト)の燕コンビも強力なライバル。さらに侍ジャパンの4番としても存在感を発揮した鈴木も昨季の28本塁打からの上積みが見込まれ、坂本のチームメイトである岡本和真(巨人)にも可能性はある。

 しかし、筒香がメジャー、バレンティンがパ・リーグに移籍してライバルは減ったことは確かで、昨季“覚醒した”坂本が、昨シーズン同様のスイングを続ければ間違いなくタイトル争いに加わる。そして岡本の成長や丸佳浩の存在、そして新外国人のパーラが機能することで、さらに楽な状態でバットを振れるようになり、アーチの数も自然と増えてくるのではないか。

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過去の達成者を見ても今が“適齢期”?