受験生は志望大学の入試要項に合わせて民間試験を選び、受験年度の4~12月の間に2回まで受けられる。民間試験の成績は大学入試センターで集約、管理され、そこから受験生が出願した大学に提供される仕組みだ。

 高校に混乱が広がったきっかけが、当初指定されていた八つの民間試験のうち、TOEICが離脱したことだ。国内でTOEICを実施・運営する国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)は7月2日、TOEICの大学入試への参加を取り下げることを発表した。

 IIBCは、その理由を「試験システムが当初予定していたものよりかなり複雑になったため」としている。

 TOEICには、リスニング&リーディング(LR)とスピーキング&ライティング(SW)の二つのテストがあり、試験日も結果送付も別々だ。これについて、同日に行われる他の民間試験の受験者に比べて有利にならないよう、LR とSW の受験時期をできるだけ近づけることや、試験の結果送付の締め切りに間に合うよう4技能の結果をそろえて大学入試センターに提出することなどを求められたのだ。IIBC常務理事の山下雄士さんは、こう説明する。

「LRとSWの受験時期を近づけることはともかく、3回の締め切りについては、当初、大学入試への参加要件には明記されていませんでした。TOEIC L&R 公開テストはビジネスパーソンを中心に年間120万人が受験します。大学入試の受験生を優先的に配慮して、他の受験者に不利になることは避けたい。それを考えると、受験生の希望の場所や日程で確実に受験していただき、期日までに結果をそろえることが難しいという判断に至りました」

 受験生が受けられる民間試験は現在、英検、GTEC、TEAPなど、全部で7 種類ある。だが、実施形式やレベルによってさらに22通りに分かれており、かなり複雑だ。

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現場の英語教員からも悲鳴