酒は「百薬の長」か「万病の元」か。がん、肝硬変、認知症…感染症医がデータで読み解く (2/5) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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酒は「百薬の長」か「万病の元」か。がん、肝硬変、認知症…感染症医がデータで読み解く

連載「ワインは毒か、それとも薬か」

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岩田健太郎dot.#ヘルス
岩田健太郎(いわた・けんたろう)/1971年、島根県生まれ。島根医科大学(現島根大学)卒業。神戸大学医学研究科感染治療学分野教授、神戸大学医学部附属病院感染症内科診療科長。沖縄、米国、中国などでの勤務を経て現職。専門は感染症など。微生物から派生して発酵、さらにはワインへ、というのはただの言い訳なワイン・ラバー。日本ソムリエ協会認定シニア・ワインエキスパート。共著に『もやしもんと感染症屋の気になる菌辞典』、『ワインは毒か、薬か。』など

岩田健太郎(いわた・けんたろう)/1971年、島根県生まれ。島根医科大学(現島根大学)卒業。神戸大学医学研究科感染治療学分野教授、神戸大学医学部附属病院感染症内科診療科長。沖縄、米国、中国などでの勤務を経て現職。専門は感染症など。微生物から派生して発酵、さらにはワインへ、というのはただの言い訳なワイン・ラバー。日本ソムリエ協会認定シニア・ワインエキスパート。共著に『もやしもんと感染症屋の気になる菌辞典』、『ワインは毒か、薬か。』など

アルコールは心臓にも影響を与える。心筋症という心臓の筋肉にダメージを与える病気を起こしたり、その結果不整脈になったりもする。不整脈の患者さんを見ていてアルコール多飲があるとき、お酒を止めると不整脈も治ることはしばしばある(写真:Getty Images)

アルコールは心臓にも影響を与える。心筋症という心臓の筋肉にダメージを与える病気を起こしたり、その結果不整脈になったりもする。不整脈の患者さんを見ていてアルコール多飲があるとき、お酒を止めると不整脈も治ることはしばしばある(写真:Getty Images)

ワインは毒か、薬か。

岩田健太郎,石川雅之

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 さて、アルコールを常習してしまう状態がアルコール依存(alcohol dependency)だ。日本語で属に「アル中」と呼ばれるのはこの状態だが、前述のintoxicationと紛らわしいから、使わないほうがよいだろう。日本語で「中毒」というときに、大量摂取と依存性がごちゃごちゃになっている。両者は分けて考える必要がある。

 そのため、ぼくの意見では、「中毒」という言葉はまぎらわしいので使わないほうがよい。最近ではアルコール摂取障害(alcohol use disorder)という呼称も使われているようだ。こっちのほうがいいのかもしれない。

 また、アルコールの過量摂取は肝炎、肝硬変、肝がんといった肝臓の病気、膵炎といった膵臓の病気と関連していることもよく知られている。なお、アルコールは肝炎、と肝臓がん両方を増やすが、膵炎は増やしても膵臓がんがアルコール摂取で増えるというデータは乏しい(ただし、過料飲酒が膵臓がんを増やすかも、という研究はある)。

 この研究ではワインやビールの飲み過ぎが膵臓がん増加に寄与するが、蒸留酒は関係ない、というものだった。直感的には逆な気がする。不思議だ(Partanen TJ et al. Cancer Lett. 1997 Jun 3;116(1):27–32)。また、肝臓がんは肝硬変の結果起きている可能性もあり、肝硬変のない方がアルコールで肝臓がんのリスクが増えるかははっきりしていない。

 アルコールは心臓にも影響を与える。心筋症という心臓の筋肉にダメージを与える病気を起こしたり、その結果不整脈になったりもする。不整脈の患者さんを見ていてアルコール多飲があるとき、お酒を止めると不整脈も治ることはしばしばある。

 アルコールはさまざまながんの原因にもなる。本書の冒頭で胆管がんはアルコールが原因にはならないだろう、という話をした。胆管がんは比較的まれながんで、もっと頻度の多いがんなどが、しばしばアルコールがリスクになる。


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