3.攻守のセットプレー

 負けたら終わりの決勝トーナメントで、より重要になってくるのがセットプレーだ。ウズベキスタンはターゲットマンのサイズが日本を大きく上回る。仮にイエローカードを1枚もらっている190cmのDFイスマイロフを温存したとしても、J2のレノファ山口に加入した187cmのドストンベック・トゥルスノフが脅威的になりうる。

 一方の日本は前線で182cmの大迫を欠いており、さらに189cmの吉田麻也、188cmの冨安健洋、183cmの酒井宏樹が入れ替わりで出ない場合、セットプレーの高さでかなり厳しいマッチアップが出てきそうだ。ただ、攻撃面では吉田か富安に代わりセンターバックで出場が見込まれる槙野はサイズこそ182cmだがターゲットマンとしてボールに合わせるセンスと技術が高く、左サイドバックの佐々木も176cmながらヘディングのスペシャリストとして定評がある。

 ここまでセットプレーのキッカーは柴崎岳とチームで唯一の左利きである堂安が務めているが、どちらもベンチスタートなら乾貴士がキッカーになりそうだ。直接FKは中島翔哉が怪我で離脱したためスペシャリストがおらず、さらに堂安が出なければ北川が蹴るのも面白い。実はJリーグの2017シーズン最終節で清水エスパルスをJ1残留に導く同点のFKゴールを決めているのだ。昨年11月のキルギス戦で原口元気が日本代表では5年ぶりとなる直接FKでのゴールを決めたが、相手GKの明らかなミスがあった。ここまで2試合でストライカーとして結果を残せていない北川だが、もし直接FKゴールを決めれば大きな自信になるはずだ。(文・河治良幸)

●プロフィール
河治良幸
サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを担当。著書は『サッカー番狂わせ完全読本 ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)、『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)など。Jリーグから欧州リーグ、代表戦まで、プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHKスペシャル『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の"天才能"」に監修として参加。8月21日に『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)を刊行。