ドラフト後にはすっかりおなじみとなった他球団で実績のある選手集めを断行。その第一弾となったのがオリックスを自由契約となった中島宏之だった。西武時代は打率3割を6回マークし、4度のベストナインと3度のゴールデングラブ賞を受賞するなど、まさにリーグを代表する内野手だったが、2年のマイナーリーグ生活を経て2014年にオリックスに入団した後の4年間の成績は1年平均95安打、8本塁打、44打点、打率.273と推定年俸3億5000万円の期待からはかけ離れた数字に終わった。

 巨人はその中島に年俸1億5000万円(推定)で1年契約を結んだと発表したが、オリックスでのプレーぶりと来年で37歳という年齢を考えると、高額年俸に見合うだけの成績は期待できないだろう。また、なによりチームの若返りを図って昨年オフに村田修一を自由契約にした方針と大きな矛盾が生じており、巨人ファンの間でも疑問の声が上がっているほどだ。

 中島獲得から4日後の11月26日には西武からFA(フリーエージェント)となった炭谷銀仁朗の獲得を発表。推定年俸は3年総額6億円と報じられた。今年の巨人の捕手は小林誠司がレギュラーシーズン95試合、大城卓三が36試合、宇佐見真吾が12試合で先発マスクをかぶっている。小林は3年連続でリーグトップの盗塁阻止率をマークしているようにその肩はリーグ屈指の存在。打撃面とリード面が物足りないと言われているが、炭谷の打率、出塁率の通算成績はいずれも小林を下回っている。

 また、宇佐見(2015年4位)、岸田行倫(2017年2位)、大城(2017年3位)と貴重なドラフトの枠を使って獲得した三人の伸び盛りの捕手の出場機会は確実に減り、選手としての“旬”を逃す可能性は極めて高くなった。大金をはたいて飼い殺しの選手を増やしたと言われても仕方ないだろう。

 そして11月30日、このオフのFA最大の目玉である丸佳浩が巨人入りを表明した。今シーズン規定打席に到達した外野手が亀井善行だけであり、長野久義、陽岱鋼と他のレギュラークラスも高齢化している現状を考えると、この補強が来シーズンはプラスに働くことは間違いない。

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丸の補強は長期的にみると…