定番の暗記法をここでわざわざ紹介する理由は、とにかく「指」をおすすめしたいから。

 指をデータベースにすれば、いざというときに思い出すことが容易です。たとえば試験会場では、緊張して情報を思い出せないこともあるでしょう。

 しかし、場所や道順ではなくて、指に情報を結びつけて覚えていれば、親指、人差し指、中指……と順々に見ていくことで、落ち着いて一つ一つ思い出すことが可能です。

 これも、思い出しやすいように覚えるという工夫なのです。

 データベースに結びつけて暗記するときは、想像力をフルに活用してください。覚えようとしている情報をリアルに感じられるよう、具体的な「映像として」頭のなかで想像してほしいのです。

 この暗記法は、文字よりも映像のほうが覚えやすいという発想からきています。小説の内容よりも、映画の内容のほうが頭に残りやすいように、頭は映像情報を好む傾向があるのです。

 映像として想像するときは、いくつかのコツがあります。

 まずは、大げさな想像をすること。通常の情報は覚えられないことから、無理にでも「インパクトのある情報」にしてしまうのです。中指を立てて怒り狂って暴れている債権者や、合併が成立して結婚指輪を交換しあって幸せそうな両社の社長さんなど、自由で派手な想像をするといいでしょう。

 次に、想像する情報は「自分を主体とした情報」にします。人間は自分のことは覚えられたとしても、他人のことはなかなか覚えられないためです。

 たとえば、小指を立てているナルシストの司法書士に依頼をしに行ったのは自分で、なんと「怪しいデートのお誘い」を受けてしまった……。こんなことを想像していれば、印象に残ることは間違いありません。

 さらに、覚えるために感情を込める!

 これも忘れてはいけません。親指で拇印を押すときに、社長さんが指に力を込めすぎてしまって突き指をしたとしましょう。このとき「痛そう!」と感情を込めてリアルに想像をすることで、記憶は強化されていきます。