兵庫県内の小学校の女性教諭も、個人情報の取り扱いについて、ここ数年で特に厳しくなったと感じているという。

「まず4月に学級通信などに顔写真を載せてもいいか、保護者に事前承諾を取るようになりました。また、学校のウェブサイトに掲載する写真は、後ろ姿やぼやけているものなど、顔で個人が特定できないものに限っています」

 父親によるDVから身を隠しているといった事情から顔写真の掲載を拒む保護者もいるが、今のところ大半からは同意が得られているようだ。

 また、都内の小学校では、活動広報紙に掲載した写真に対して保護者の一人が抗議して問題になったという。

「親でしか判別できないような豆粒のような写真だったのに、それでもダメだというので、全校生徒の写真撮影ではその子を省いて撮影したそうです」(同校の別の保護者)

 この事例は保護者の行きすぎたクレームにすぎないかもしれない。だが、顔写真が個人情報である以上、それが拡大解釈され、過剰反応が頻発する可能性は十分にあるのだ。

(文・吉川明子)

アサヒカメラ特別編集『写真好きのための法律&マナー』から抜粋