家のことは夫婦で分担しているはずなのに、いつまでたっても楽にならない……。それは「指示する人」と「指示を受ける人」が偏っているからかもしれない。家事・育児の時間の多くを占める「考える家事」と、それをうまく分担する方法について家事シェア専門家の三木智有さんが解説する。

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 パパたちの家事について「うちの夫は積極的に家事育児を手伝ってくれてるはずなんだけど、なんだかモヤモヤと不満がある」「“手伝う”って言うのは自分事になってないからダメ!」など、ママたちから散々に言われてきました。

 でも、「積極的なお手伝いパパ」と「主体的に取り組むパパ」の違いはなかなかわかりにくかった。ママたちいわく、そのハードルは「指示待ちじゃなく自分から動く」「言った事だけじゃなく察して動ける」「細かいところまで手が行き届く」などで、ママの主観ひとつで左右されてしまっている感がありました。

 ところが、最近「考える家事」という言葉を知り、「主体的」の定義がはっきりとしたように思ったのです。

■「考える家事」とは

 考える家事とは、「献立を考える」「掃除の作業工程を考える」などの目に見えない家事のこと。

 献立レシピアプリ「タベリー」を運営するテンエックスの調査によると、家庭を持つ女性の31%が「配偶者の家事に対する協力に満足していない」と回答。さらに、家事全体の時間のうち「考える家事」が占める割合は平均43%でした。そして、およそ2人に1人の女性が、「考える家事」の存在をパートナーが認識していないと感じているという結果が出ています。

 仕事柄、わが家では料理や掃除は基本的に僕が、洗濯は妻が担当しています。僕自身、夕方の5時位になると、いつも夕ご飯のメニューで頭がいっぱいになります。冷蔵庫に何が残っていて、この2~3日どんな物を食べていたか。野菜は足りてるかな? 新しく買うものは何かあるかな? 今日は手間をかけずに作っちゃいたいな。子どもは何だったら食べられるかな?

 このパズルのような難題を、頭の中でカチャカチャとイメージしながら今夜の晩ごはんを決めます。

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「お手伝い」と「主体的」の決定的な違い