「overE」を立ち上げた和田真由子さん。2月1~14日にマルイファミリー海老名店3階で、2月17日~3月12日はパルコ池袋店B1階にて、初のポップアップショップが開催されることが決まった。(撮影/淺見良太)
「overE」を立ち上げた和田真由子さん。2月1~14日にマルイファミリー海老名店3階で、2月17日~3月12日はパルコ池袋店B1階にて、初のポップアップショップが開催されることが決まった。(撮影/淺見良太)
和やかな雰囲気で会話が弾む「overE女子会」。「仲間がいることの安心感や居心地のよさを感じられる、緩やかな居場所を作りたい」と和田さんは話す。購入者からは「服が綺麗に着られた」「胸が大きいことの悩みを分かってくれるのが嬉しい」という声が寄せられるという(提供/エスティーム)
和やかな雰囲気で会話が弾む「overE女子会」。「仲間がいることの安心感や居心地のよさを感じられる、緩やかな居場所を作りたい」と和田さんは話す。購入者からは「服が綺麗に着られた」「胸が大きいことの悩みを分かってくれるのが嬉しい」という声が寄せられるという(提供/エスティーム)
ジャケットが着くずれしないように取り付けた隠しフック (撮影/淺見良太)
ジャケットが着くずれしないように取り付けた隠しフック (撮影/淺見良太)

 Eカップ以上を意味するファッションブランド「overE」。立ち上げたのは、コンプレックスを抱えた1人の女性だった。いま日本の女性たちにとって身近な悩みになりつつある、胸が大きいという“問題”に寄り添う、彼女の決意とは。

【写真】会話が弾む「overE女子会」の様子

*  *  *

 1月中旬、東京都内のレンタルスペースで服についての意見交換会が開かれていた。参加者は女性10人。主催者が用意した服を試着しながら、一人ずつ着心地や色など商品について感想を言っていく。次第に、互いに抱えている悩みについて話が広がっていった。彼女たちの共通点は「胸が大きいこと」。埼玉県から来たFカップの女性(29)は、こう話した。

「公務員という仕事柄、ラフな服を着て職場にはいけないので、シャツを着ています。でも既製品のシャツだと胸が強調されてしまって……。学生時代から合う服が無いのが悩みでした」

 月1回のペースで開かれるこの「女子会」では、胸の大きい女性たちが同じ悩みを共有し、情報交換をする場にもなっている。中には愛知県から足を運んだ学生もいた。

「学生時代、体育着がきつくてつらかった」
「カーディガンが着られない」
「太って見えてしまう」
「服だけじゃなく下着の色とバリエーションが減ってしまう」

 切実な悩みに、「そうそう」「分かる、分かる」と共感の声が上がる。

「胸が大きいことは『羨ましい』とか『贅沢な悩みだ』と思われがちで、なかなか自分からは発信できず、悩みが表面化しにくいのです。そして、これだけ世の中にたくさん服があるのに自分に合うサイズがないことも、社会から拒絶されているという疎外感につながり、自分の体形が変わっているというコンプレックスを抱いてしまうことがあります」

 そう話すのは会の主催者であり、昨年、胸の大きい女性のためのファッションブランド「overE」を立ち上げた、エスティ―ムCEO和田真由子さん(26)だ。実はいま、胸が大きいことは身近な悩みになりつつある。トリンプ・インターナショナル・ジャパンの2015年の調査によると、1980年代まで女性の6割がAカップだったが、いまでは4人に1人がEカップ以上になった。計算上、いまの日本にはEカップ以上の女性が1500万人いることになると和田さんは言う。

次のページ
原動力は自身のコンプレックス