サービス付き高齢者向け住宅のすそ野が急速に広がる中、サービスの質に格差が生まれている(※写真はイメージ)
サービス付き高齢者向け住宅のすそ野が急速に広がる中、サービスの質に格差が生まれている(※写真はイメージ)

 札幌市の自立支援関連施設「そしあるハイム」で1月31日深夜に火災が発生し、札幌東署と消防によると、11人の死亡が確認された。高齢者施設の選択肢が多様化するなか、老後の安心を左右するようなさまざまな課題・トピックも浮上している。昨年5月には、安否確認が義務づけられたサービス付き高齢者向け住宅で、2015年1月から1年半の間に、死亡や骨折など少なくとも3千件以上の事故が報告されたことがわかった。発売中の週刊朝日ムック「高齢者ホーム 2018 プロに教わるやすらぎの選びかた」では、その背景を解説している。ホーム選びの参考にしてほしい。

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 サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)は、60歳以上の高齢者や要介護者を対象とした住居で、少なくとも入居者への1日1回以上の安否確認や生活相談のサービス提供が義務づけられている。にもかかわらず、重大事故が頻発している背景には、入居者の状況に住居側の安全確保の態勢が追い付いていないことがあげられる。

 サ高住は2011年10月から都道府県への登録制がスタートし、一人暮らしの高齢者や高齢者夫婦のみの世帯の居住の受け皿として、5年で約20万戸まで拡大した。

 しかし、すそ野が急速に広がる中で、安否確認などのサービスの質に格差が生じている。

■マニュアルや職員研修、安否確認などの中身が重要

 要介護者でなくても、高齢になれば何らかの持病があるもの。服薬や食事などが整っていないと、持病が悪化するリスクが高まる。また、運動機能も衰えているので、転倒で骨折するケースも想定される。

 こうしたリスクをきちんと見極めたうえで、適切な見守りやアドバイスをしたり、住居内の環境(温度や照明の設定など)に気を配ったりしていけば、事故を事前に防ぐ確率は大きく変わる。ところが、十分なノウハウが整っていないと、「安否確認と生活相談」は看板だけとなり、事故の拡大を防ぐことは難しい。

 サ高住を探す場合は、事前見学は当然として、安否確認や生活相談の具体的な中身についてきちんとマニュアルなどを整えているか、職員教育が十分か否かをチェックしたい。また、自分がさらに高齢になった時に生活しやすい環境かどうかを見通しておくことも必要だ。

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サ高住を探す上で注意すべき5つのこととは