中国を巻き込みながら硬軟取り混ぜて北朝鮮との対話を模索する米国に対し、日本の議論は止まったままの状態なのだ。

 玉木代表が絶賛した「北朝鮮問題で日米両国が100%と共にある」とは言い難い、温度差があるのだ。

 さらに玉木代表は小池氏が絶賛する世界的軍事アドバイザーの主張に沿った代表質問を行っていた。

 この人物は「米軍攻撃の鍵を握るのは日本だ」(「文藝春秋」12月号)で池上彰氏と対談したエドワード・ルトワック氏(米戦略国際問題研究所上級顧問)で、前代表の小池氏とも「旧知の友人」だ。

 同氏の著書『戦争にチャンスを与えよ』(文春新書)には米国の軍産複合体(米軍や兵器産業や政治家や官僚の共同体)の代理人かと疑いたくなるような"戦争誘導論"が散見された。

 ルトワック氏の主張を要約すると、1)北朝鮮を特異で危険な存在と煽った上で、2)「北朝鮮への降伏(宥和)か先制攻撃しかない」という究極の選択を日本に迫り、3)核ミサイル完成前に先制攻撃をするしかない、などという結論に誘導する内容だ。

 北朝鮮へのハト派的アプローチ(対話路線)を排除、弱腰の韓国を真似するのではなく、今こそ日本は行動を起こすべきだと煽り立てているともいえる。

 ルトワック氏は小池氏だけでなく安倍首相とも面談している。

 玉木代表は代表質問で、「私は、北朝鮮への宥和政策には反対です。北朝鮮の核・ミサイル保有が固定化されてしまうな、最悪の宥和政策に引き込まれる事態は断じて避けなければなりません」と主張するなど、ルトワック氏の影響が随所にみられた。

 前出の尾形氏はルトワック氏について、次のように解説した。

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