「『核を持った北朝鮮に米国が脅されるようなことは困るから、それを挫くためには軍事オプションしかない』というのは、米国の中での議論なのです。ルトワック氏は『米国』という主語を『日本と韓国』に言い換えて正当化しているだけに聞こえる。米国ではいま、『北朝鮮が抑止不可能ならば、待っていても仕方がないから最後は攻撃するしかない』という議論がある一方、『核保有国として認めるしかないのではないか』という議論も出ている。圧力をかけ続けたらどんどん戦争に近づくわけです。その時に(日本)政府の中枢は覚悟を持って本当に受け入れられるのか」

 米議会調査局が10月下旬に発表した報告書では、米朝戦争が勃発した場合、通常兵器しか使用しない場合でも、最初の数日で最大30万人が死亡すると推計。

 米ジョンズ・ホプキンズ大の北朝鮮分析サイト「38ノース」が10月に発表した報告書でも、もし北朝鮮が韓国の首都ソウルと東京を核攻撃した場合、両都市で死者が最大210万人に上ると推計している。

「かつて太平洋戦争を4年間やって亡くなった日本人は約300万人とされ、わずか数日でそうした事態が起こるという現実を踏まえた上で議論しなければならない。被害を議論せず、軍事的オプションしかないというのは、やや現実感を欠くし、無責任と思います。前のCIA長官が10月の半ばに『軍事衝突は20~25%ある』という言い方をしていたのは非常に重いなと思っていた。さらに『戦争をする時は地上軍を投入しないといけない』という見方も出て来て、米兵がたくさん死ぬということを踏まえ、米国の態度が少し変わってきたところがあります」(前出の尾形氏)

 玉木代表は安倍政権に近い対米従属的な路線で、国会論戦を始めたようにみえ、その脇をルトワック氏の戦略国際問題研究所に出入りする長島政調会長、憲法改正に積極的な細野豪志憲法調査会長が固める。玉木代表は"雇われ社長"のように小池路線をこのまま、継承していくのだろうか。(ジャーナリスト・横田一)