■報じられなかった「米国が1番で日本は2番」というトランプ発言

『乱流のホワイトハウス――トランプVS. オバマ』(岩波書店刊)の著者で朝日新聞オピニオン編集次長の尾形聡彦氏は、ネット番組で日米首脳の会見動画を紹介しながら、トランプ大統領が安倍首相に対して「米国経済が一番で日本は二番」と決めつける失礼なジョークを口にした、と解説。

 米国のワシントンポストが「トランプの忠実な従属的助手の役割を演じている(Japanese leader Shinzo Abe plays the role of Trump's loyal sidekick))」「親が子供を諭すようだった」と報じたことも紹介した。

 失礼な場面は他にもあったという。安倍首相が米国の武器購入を表明した時も、米国の記者から安倍首相に対し、「トランプ大統領が『北海道上空を飛んだ北朝鮮のミサイルを日本が迎撃しなかったことに失望した』と言っていたが、首脳会談でその話題は出たのか」という質問があった。

 トランプ大統領が割って入り、「安倍首相が米国から追加で軍事装備品をたくさん購入すれば、空からのミサイルを打ち落とせることができますよ」と話したのを受け、安倍首相は米国の防衛装備品のさらなる購入を表明したのだ。

 安倍官邸は「両首脳は蜜月関係。日米関係は対等」と強調するが、米国メディアから見れば、「傲慢な親に言いなりの忠実な子供」「米国のポチ」と見下される属国的状態なのだ。

 さらに玉木代表が評価した「日米両国が北朝鮮問題で100%共にある」という政府の見解も事実誤認の可能性が高い。
「北朝鮮に最大限の圧力をかけることで一致した」と安倍首相は強調するが、前出の尾形氏は「日米で温度差があった。対話に向けた努力も少し進んでいた」と指摘する。それを象徴するのが大統領専用機「エアフォース・ワン」でのトランプ大統領の11月5日の発言だ。

 日本ではほとんど報じられなかったが、「北朝鮮の人々は素晴らしい人々だ。温かい人々だ」と同行記者に語り、同じ発言をその後の会見でも実は繰り返しているのだ。

次のページ