小笠原のFKと言えば、2001シーズンのチャンピオンシップ優勝を決めた磐田戦の得点が思い浮かぶが、むしろ印象的だったのは同年の天皇杯決勝の先制点だ。清水エスパルスがまだ壁を準備している最中に蹴り込んだ。主審はプレーを止める合図をしていなかったので、ルール上まったく問題ない。鹿島アントラーズの抜け目のなさを象徴するゴールでもあった。

 福森晃斗(札幌など)は左足のスペシャリスト。長い距離からねじ込むシュートはJリーグ屈指のスピードと精度だ。FKキッカーと言えばMF、FWが多いが、福森のようにDFのFKキッカーもいる。同じくDFの駒野友一(広島、磐田など)も精度の高いFKキッカーである。

 J2のFK最多得点者、宮阪政樹(山形など)はどんな距離、角度からでも安定したカーブする軌道でコーナーを突く正統派のFKスペシャリスト。ポジションはMFだが、プレーぶりはハードワーカーのタイプ。しかし、彼のFKは華麗である。(文・西部謙司)