米朝開戦の危機に、安倍晋三首相はトランプ氏の圧力強化路線に歩調を合わせている。

 米国は北朝鮮への石油禁輸、金正恩氏の資産凍結などを盛り込んだ追加制裁決議案を、11日の国連安全保障理事会で採決できるよう目指している。トランプ氏に同調する安倍首相も、ロシアのプーチン大統領に「国際社会全体で最大の圧力をかけることが重要」と訴えた。だが、プーチン氏は「まずは対話」と、話し合いによる解決を強調。中国も対話による政治的解決を求めており、圧力強化の道筋は見えていない。

 ある自民党のOB議員は言う。

「米国の攻撃が限定的でも、報復の連鎖で全面戦争になる危険性もある。にもかかわらず、安倍さんはトランプ氏をけしかけているだけ。党内でも『対話路線を完全に捨ててはいけない』という声も出はじめている」

 悲劇的結末か、それとも対話か……。日本も巻き込む米朝両国のチキンレースの終末は、目前まで迫っている。(AERA dot.編集部 西岡千史)