医者にもリーダー教育が必要? 「専門バカ」はやがて伸び悩むという現実

連載「メディカルインサイト」

メディカルインサイト

朝日新聞出版の本

2017/08/18 07:00

上昌広(かみ・まさひろ) 1968年生まれ。東京大学医学部卒、医学博士。東大医科学研究所などを経て医療ガバナンス研究所理事長(撮影/写真部・小原雄輝)
上昌広(かみ・まさひろ) 1968年生まれ。東京大学医学部卒、医学博士。東大医科学研究所などを経て医療ガバナンス研究所理事長(撮影/写真部・小原雄輝)

 医師不足が叫ばれるなか、日本の医療の将来において、医師の育成も重要な課題となっている。『病院は東京から破綻する 医師が「ゼロ」になる日』(朝日新聞出版)などの著書がある医療ガバナンス研究所の上昌広医師が、医療界におけるリーダー教育の必要性を語った。

*  *  *
 夏休みだ。研究所には大勢の大学生がやってくる。今年も妹尾優希さん(スロバキア・コメニウス大学)、小坂真琴君(東京大学教養学部理科3類)、吉田いづみさん(ハンガリー・センメルワイス大学)らが学んでいる。

 彼らに言うのは「教養を身につけ、行動すること」だ。教養は医学に限らない。文系・理系にこだわらず、幅広く学んだ方がいい。

 私が最初に与える課題は、自らのルーツを調べ、発表することだ。

 小坂君は滋賀県出身。近江商人を調べるというテーマを与えた。最初の課題図書としては、司馬遼太郎の『街道をゆく』シリーズをすすめた。このシリーズの記念すべき第1巻は『湖西のみち、甲州街道、長州路ほか』であるし、24巻は『近江散歩、奈良散歩』だからだ。司馬さんは滋賀県がお好きだったようだ。

 小坂君は近江商人や滋賀県の学校教育を交え、自らの近江気質を分析した。結果はネットメディアで公開予定だ。

 妹尾さんは栃木県出身。栃木とスロバキアの交流を課題とした。結果は興味深いものだった。栃木とスロバキアは、どちらもイチゴの産地。農業で交流を続けており、宇都宮にはスロバキアの名誉領事館がある。彼女の経験は下野新聞で報じられた。

 また、彼ら3人は香川県丸亀市の麻田ヒデミ医師にご招待いただき、同地を訪問した。麻田医師は誠実な人物で、行動力・胆力とも申し分ない。東日本大震災の被災地支援で、随分とお世話になっている。

 麻田医師のご厚意で、彼らは地元の子どもたちにプレゼンテーションする機会をいただいた。

 妹尾さんは「丸亀のお子さんはアクティブでした。講義中にどんどん発言してきます。私が育った関東地方とは随分違いました」という。

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