続くフリーでも羽生の快進撃は続く。3度の4回転をクリーンに決めただけでなく、すべてのジャンプに流れがあり、会場を力ずくで引き込むような圧巻の舞。終了直後に誰もが世界記録を確信した演技だった。結果は、216.07点。SP・フリーで322.40点という驚異的な点数をたたき出した。

 演技後のインタビューで、コーチのオーサーは次のように語った。

「カナダ大会で負けたことがいい経験になった」と。

 復帰してきたベテラン・チャンに負けたくないという闘志、金ら下からの突き上げに対して、「まだまだ」という意地。羽生の世界最高得点の裏にはそうしたドラマがあった。

 そんな羽生が、チャンや金らトップスケーターと一同に会して世界一を競い合うのが12月11日(金)から開幕するGPファイナル(バルセロナ)だ。羽生の背中を追って急成長を遂げている日本の17歳、宇野昌磨も初出場する。

 宇野は、初戦のアメリカ大会で2位に入り、フランス大会のSPでは4回転を決めて89.56点、自己ベストを記録するなど、今年シニアデビューとは思えない活躍を見せる。

 その宇野に加え、4回転サルコーを得意とする村上大介、そして羽生と同門で開催国スペインの英雄・フェルナンデスを加えた6人で争われる。

 3連覇に挑む羽生に対し、それに待ったをかけたいベテラン勢とニューカマー。世界一の称号を手にするのは誰か。