自虐ネタ、失敗談から傑作が・・・秋元康と鈴木おさむ「プレゼン力より雑談力だ!」 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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自虐ネタ、失敗談から傑作が・・・秋元康と鈴木おさむ「プレゼン力より雑談力だ!」

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 昨年開かれたAKB48初の東京ドームコンサート。そのテーマは、「1830mの夢」。アルバムのタイトルも「1830m」だ。
 それは、延々と続く会議の中で、スタッフの何げないひと言から生まれた。
「秋葉原の劇場から東京ドームまで、1830メートルなんですよ」
 それだっ! この距離こそ、AKB48の夢への道のりが凝縮されている――。アイデアを生み出すのは、キレイに作り上げられたプレゼン資料でも、分厚い分析データでもなく、こうした「創造力をかき立てるような原石」のようなひと言だと、AKB48の生みの親、秋元康さんは言う。

 放送作家の先輩後輩、秋元康さんと鈴木おさむさんの対談本『天職』(朝日新書)。この中で、2人がいかに仕事を楽しみ、時には自分の不幸や失敗も逆手にとりながら、ヒット企画を次々と世に送り出し続けてきたか、その極意が惜しみなく披露されている。
 仕事での企画提案については、2人の現場での様子を垣間見させる、こんなくだりがある。

 鈴木 若手のプロデューサーやディレクターのプレゼンで、分厚い資料の最初の数行聞いただけで面白くないとわかってしまう。そういうときどうします?
 秋元 その時点で切るよ。
 鈴木 そうですよね。企画書をただ読み上げるの、僕も大嫌いです。でも、若手とやるときは、そこで打ち切っていいのかと。
 秋元 だからヒントを与えてる。最初から完璧におもしろくでき上がったものなんて望んでない。……雑談してる中で、『あ、それおもしろい』っていうのが出るんだよね。

 2人が口をそろえるのは、会議ではしゃべり惜しみをしないということ。そして2人とも、自ら過去の恋愛体験や失敗談、自虐ネタなど、思考のきっかけとなる具体的エピソードを披露する羽目になるのだとか。

 本書でも、鈴木さんは衝撃的な体験談を開陳している。放送作家としての仕事が軌道に乗り、まとまった額の報酬を手にするようになった20代のころ、スポーツ用品店を営む父親が1億円の借金を抱えていたことがわかった。これはやばい、仕事を辞めて一家で逃げるかというところまで思いつめ、当時担当していた番組のディレクターに相談した。ディレクターの返事は意外なものだった。
「来週、とりあえず会議にきて、その話、おもしろくしゃべってみろよ」
 深刻に悩んでいたのに、おもしろくしゃべれなんて、この人、頭おかしい! そう思ったが、できるだけ明るくしゃべってみた。会議では大ウケ。そこで鈴木さんの「スイッチ」が入った。僕の借金の話は、おもしろいことなのかもしれない……。それが転機になって、仕事も増え、借金も返済できたという。

 では、ネタのために体験談を探すのか、と言えばそれもナンセンス。好奇心から様々な体験をし、それをおもしろがっているうちに、自然と仕事にフィードバックされているという。
「自分が得た感動を人に、誰かに話したくて、伝えたくて仕事しているのだ」
 2人はこう話す。プレゼン力を磨くより、仕事に、毎日の生活に、ワクワクする。それこそが「クリエイティブ雑談」の奥義なのだ。


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