ただ、症状によって必要と判断された場合には、ステロイドや抗真菌薬の軟膏が処方されるかもしれません。
ステロイドというと、なんとなく拒否感を持っていらっしゃる人もいますよね。私自身も、最初はステロイドを使うことに不安もあったので、気持ちはよくわかります。そこで、ステロイドの副作用についての研究をいくつかご紹介したいと思います。
ステロイドは副腎皮質というところから分泌されるホルモンですが、ステロイドの内服薬を長期にわたって飲んでいると、この副腎皮質の機能が低下してしまうことがあります。ステロイド軟膏などの外用薬は内服するよりもリスクは少ないと言われていますが、米テキサス大学の研究者が、本当に外用薬で副腎皮質の機能低下が起こらないのか、2006年に確かめていました(2)。3カ月から6歳までの、中等症から重症のアトピー性皮膚炎と診断された子ども44人が被験者です。フルチカゾンプロピオン酸エステル(ロコイドと同程度の強さのステロイド)のローションを1日2回、4週間に渡って塗りましたが、研究の前後で測定した副腎皮質機能には低下は認められませんでした。
また、ステロイドを使っていると徐々に効果が弱くなっていき、さらに強い薬が必要になると言われることもあります。確かに1970年代から80年代にかけて、動物や健康な成人ボランティアを対象にした研究が行われ、ステロイドを使い続けると効果が弱くなるという結果が確認されていました。しかしアメリカ・ペンシルベニア州医学大学院の研究者たちは、それらを否定する論文を99年に発表しています(3)。
この研究では、32人の乾癬(皮疹ができる慢性疾患)の患者に、1日2回ステロイド軟膏を塗ってもらったのですが、その際、一つの皮疹だけは比較対象としてステロイドを塗らないでおいてもらいました。12週間にわたって追跡したところ、ステロイドを塗らなかった皮疹の状態が変わらなかったのに対し、塗った皮疹は2週間後に状態が改善しました。そしてその後も悪化することなく、最後まで良い状態を維持していたのです。