この研究では、急性耐性と考えられていたのは、治療開始からの時間が経つに連れてステロイドの塗り忘れが出てきたり、薬剤と関係なく病勢が悪化してきたところを捉えたものではないか、と結論づけられています。

 他の副作用としては、皮膚が萎縮したり毛細血管が拡張したりすることはありますが、それを防ぐために、医師は状態に合わせて適切な強さのものを適切な期間処方します。ステロイド薬は使い方が大切です。使い方まで丁寧に指導してくれる小児科や皮膚科で治療を受けましょう。

 皮膚が黒ずんだり厚くなったりするのは、ステロイドの副作用ではなく、炎症によるものです。早く薬を使って炎症を抑えることで、色素沈着を防ぎ、結果的に薬の使用量を減らすことができます。また、湿疹をきちんと治療することは、実はアレルギー予防につながるかもしれないと言われ始めています。次回はこのあたりについて解説したいと思います。

1. Foley P, Zuo Y, Plunkett A, Merlin K, Marks R. The frequency of common skin conditions in preschool-aged children in Australia: seborrheic dermatitis and pityriasis capitis (cradle cap). Arch Dermatol. 2003;139(3):318-22.
2. Hebert AA, Friedlander SF, Allen DB. Topical fluticasone propionate lotion does not cause HPA axis suppression. J Pediatr. 2006;149(3):378-82.
3. Miller JJ, Roling D, Margolis D, Guzzo C. Failure to demonstrate therapeutic tachyphylaxis to topically applied steroids in patients with psoriasis. J Am Acad Dermatol. 1999;41(4):546-9.

◯森田麻里子(もりた・まりこ)
1987年生まれ。東京都出身。医師。2012年東京大学医学部医学科卒業。12年亀田総合病院にて初期研修を経て14年仙台厚生病院麻酔科。16年南相馬市立総合病院麻酔科に勤務。17年3月に第一子を出産。小児睡眠コンサルタント。Child Health Laboratory代表

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