「辛いって言うか、本当に悔しくて悔しくて……。何で私こんな目に合わなきゃいけないんだろうって。子どもが小さい時は離婚されてシングルマザーになってしまったら子どもを育てられる自信はなかったし、仮にできたとしても子どもたちに人並みの生活をさせてあげられないのは間違いないので、罪のない子どもに迷惑をかけることになるし、暴力をふるわれたとかじゃないので、私が我慢すればいいんだ、と思って……」
既に涙ぐんでおられます。
「いつかここから抜け出そうと思って、子どもが中学になったころから少しずつ勉強して資格をとって、頑張ってようやく仕事にもつけて私一人がささやかに生きて行ける位のお給料はいただけるようになったので、子どもの学費ぐらい夫に出してもらえれば、夫が希望する通り、離婚してもいいと思えるようになったんです」
「どう思いますか?」
と雅造さんに聞いてみました。
「繰り返しになりますけど、離婚したいなんてそんなに言っていませんし、少しは言ったかもしれませんが、それは本心ではないので、誤解があったのなら謝りますが、そのことを分かってほしいと思います」
美樹さんに具体的にどんなことを言われたのかお聞きしてみると、子どもの世話が大変で掃除まで手が回らないときに、
「会社だったら一つの仕事しているから他の仕事できませんでしたなんてやつはクビだ」
と言われたり、夫の実家に行く約束をしていた日に体調が悪くなってしまったので、私は失礼して家で休んでいてもいい?と聞いたら、
「そんなにうちの実家に行くのが嫌なのかよ。だったら離婚しろよ」
と言われ、休みに海外旅行と言えばいつもハワイなので、たまにはヨーロッパとかアジアの他の国に行ってみたい、と言ったら、
「俺はこういう人間だって、わかっていて結婚したんだろ。嫌なら離婚すればいいじゃないか」
とも言われたとか、どうしてもセックスをする気になれない日に求められて、今日は調子が悪いからごめんなさい、と言ったら
「そんなに俺が嫌かよ。じゃあ離婚だな」
と捨て台詞をはかれたそうです。