京成線の八広駅から東武線の鐘ケ淵駅を結ぶ「鐘ヶ渕通り」は別名「酎ハイ街道」と呼ばれ、焼酎ハイボール発祥の地ともいわれている。かつては多くの店が営業していたが、雰囲気のいい店が数店舗残っているものの、現在はかなり数を減らしている。今でも残る焼酎ハイボールの名店を、『百年酒場と呼ばれ』の作者である、はるやまひろぶみさんに紹介してもらった。
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焼酎ハイボールは、焼酎と梅エキス(といわれているが、ものによって梅は入っていない)などをそれぞれの店で独自にブレンドした琥珀色の液体(酒)を炭酸で割ったもの。この近辺の店では酒が薄まるのを嫌って、氷を入れない焼酎ハイボールが主流。25度の焼酎がある程度の量入っているため、かなり濃い。呑みすぎると危険だが、飲みやすいのも事実だ。
京成線の八広駅を降りてすぐに出迎えてくれるのが、『日の丸酒場』。ここは表面張力まで注いでくれる焼酎ハイボールとおいしい料理が堪能できる名店。店を切り盛りするのは一見強面な兄弟。だが実際は気さくで優しい。
ここから北西へ向かう道が、酎ハイ街道と呼ばれる「鐘ヶ淵通り」だ。国道と交差する四ツ木橋南の信号近くにある『丸好酒場本店』は、煮込みがおいしい名店だ。冒頭の『日の丸酒場』も、この『丸好酒場』も取材NGで、『丸好酒場』に至っては、店内撮影禁止だ。“フリ”や“インスタ映え”を求める客がいないことは、酒好き・酒場好きにとっては嬉しい。
『丸好酒場』を通り過ぎて真っ直ぐ進むと東武線の鐘ヶ淵駅に到着する。駅前には牛もつ煮込みや肉が大きい串焼きが美味な『福松』がある。鐘ヶ淵駅を超えると琥珀色の焼酎ハイボールではなく、いわゆる普通の透明な酎ハイを出す店が増える。
踏切を越えて墨堤通りと交差する手前の十字路左にかつてあったのが、『はりや』だ。1931年創業の縄暖簾がかかる佇まいのいい店だったが、2016年に道路拡張のため惜しまれながら閉店。しかし2018年、娘さんが少し離れた場所で『はりや』の看板を引き継ぎ再オープン。かつてのメニューもいくつか復活しているという。『はりや』の歴史がまだ続くという嬉しいニュースだ。この店もまた、酎ハイが人気だ。