日本のプロ野球メジャーリーグを何度も行き来した選手もいる。現巨人のケーシー・マギーは2010年にブリュワーズで104打点をマークしたクラッチヒッターで、ヤンキース移籍後の2012年オフに楽天と契約して初来日した。同時期に楽天入りしたアンドリュー・ジョーンズ(元ブレーブスほか)とともに打線の中軸となり、打率.292、28本塁打、93打点でベストナインに選出。楽天の球団史上初となる日本シリーズ優勝に大きく貢献した。

 そのオフにはマーリンズと契約してメジャー復帰したマギーは、76打点を稼ぎ出すなど日本で取り戻した勝負強い打撃をメジャーでも再び発揮し、カムバック賞に選出された。その後はジャイアンツ移籍、マーリンズ復帰、タイガース移籍と紆余曲折があったが、2016年オフに巨人との契約がまとまって再来日。17年は首位打者争いに絡む活躍で打率.315、18本塁打、77打点と健在ぶりをアピールした。もちろん今季も巨人の主力として活躍が期待されている。

 日本でプレー後にメジャー復帰するだけでなく、引退後に指導者として大成した元選手たちも多い。かつてのデーブ・ジョンソン(巨人→メッツ監督など)や、現役監督ならばダイヤモンドバックスを率いるトーリ・ロブロ(元ヤクルト)がそうだ。そして今オフも巨人に在籍したことのあるゲーブ・キャプラーがフィリーズの新監督に就任した。

 もっとも、ロブロ同様にキャプラーも日本では結果を出せず1年でアメリカへ出戻っている。キャプラーは1998年にタイガースでメジャーデビューし、2年目に18本塁打と幸先のいいスタート。レンジャーズ移籍後の2000年も14本塁打、2001年も17本塁打となかなかの成績をマークする。しかし以降は伸び悩み、ロッキーズ、レッドソックスを経て2005年に巨人でプレー。だが38試合で打率.153、3本塁打、6打点とさっぱりだった。

 シーズン途中に契約解除となって古巣のレッドソックスへ復帰したキャプラーはその後、ブリュワーズ、レイズと渡り歩いたが、メジャーでのプレーは2010年が最後に。現役引退後は『FOX』の解説者やWBCイスラエル代表監督(キャプラーはユダヤ系米国人)を務め、ドジャースでフロント入りする。

 そしてこのオフに新たな監督を探していたフィリーズから白羽の矢を立てられた。マイナーでの監督やコーチ経験を経てメジャー監督へ、というのが王道なメジャーリーグでは珍しい経緯での監督就任だが、ドジャースでは育成ディレクターとして若手発掘に手腕を発揮しており、低迷期からの脱却を目指すフィリーズをどう立て直すかが注目されている。(文・杉山貴宏)