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きちんと治してくれる「いい病院」に出合いたい――。自分や家族が病気で手術を受けることになったとき、多くの人はそういう思いを抱くことでしょう。2月27日発売の週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2018』では、全国の病院の年間手術数を独自調査し、手術数が多い上位病院をランキング形式で掲載しています。手術数だけが病院選びの指標ではありませんが、多くの指標を考慮するにしても、参考にしたい客観的指標の一つです。手術を多く実施していれば、それだけ難しい症例やトラブル対応も経験していると考えられます。別の見方をすれば、手術数は患者から命を託された数ともいえます。
最新データである2016年1年間の手術数の調査結果から、ここでは「心臓手術」の全国トップ40を解説記事とともに紹介します。
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心臓病には主に、(1)心臓に血液を送る冠動脈がつまる狭心症や心筋梗塞、(2)心臓の弁に異常が起きる弁膜症、(3)心臓から全身に血液を送る大動脈に瘤ができるなどの大動脈瘤・解離がある。
手術法は、(1)には代用の血管をつなぐ「冠動脈バイパス術」、(2)には自身の弁を修復する「弁形成術」と人工弁に取り替える「弁置換術」、(3)には病変部を人工血管に取り替える「人工血管置換術」をおこなう。
それぞれの手術数をどう見るべきか。まず、冠動脈バイパス術について、倉敷中央病院の小宮達彦医師はこう話す。
「高い治療水準を維持するには、病院で年間50例以上の件数があることが望ましいです」
この手術では、人工心肺を使わないオフ・ポンプ手術も実施されていて、「国内では非常に安全性が高い」と、東京医科歯科大学病院の荒井裕国医師は言う。
「日本冠動脈外科学会の調べでは、成功率は全国平均で99%以上。つまり日本の病院はとても高いレベルにあると言えます」
複合冠動脈バイパス術の手術数も調査した。カテーテル治療の進歩で、冠動脈だけを治す単独冠動脈バイパス術は減少傾向にあり、弁や大動脈の手術も同時におこなう複合手術が増えているからだ。
「弁の手術など難度の高い治療を組み合わせた複合手術の件数は、病院の技量を反映していると言えるでしょう」(荒井医師)
次に、弁膜症の手術数をみていきたい。弁膜症手術は、弁形成術のほうが患者の合併症が少なく予後がよいとされるが、難度が高い。
「弁形成術の割合が多い病院は、技量も高いと言えます。ただ、重要なのはどの弁を直したか。なかでも僧帽弁や大動脈弁の形成は難度が高いです」(同)
小宮医師も同様の見解で、「弁膜症治療で年100例以上、そのうち僧帽弁の形成術が50例以上あれば相当力のある病院と考えられる」とし、どの弁に対する形成経験があるかを医師に確認することを勧める。
最後に、胸部大動脈瘤・解離の数についてはどうか。人工血管置換術は開胸が必要だが、ステントグラフト内挿術(TEVAR)であれば、開胸せずカテーテルを用いて治療をおこなう。小宮医師は、両者がバランスよく実施されていることが重要と前置きしたうえでこう話す。
「胸部大動脈瘤・解離としての症例数は、比率は半々とは限りませんが、両方の手技を合せて100例以上が目安です」
荒井裕国医師/東京医科歯科大学病院 心臓血管外科教授
小宮達彦医師/倉敷中央病院 心臓血管外科主任部長
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