寒さが厳しくなる12月から2月ごろが心筋梗塞の発症が増えるという。野村沙知代さんが亡くなったのも昨年の12月だった (C)朝日新聞社
寒さが厳しくなる12月から2月ごろが心筋梗塞の発症が増えるという。野村沙知代さんが亡くなったのも昨年の12月だった (C)朝日新聞社
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 昨年12月8日に死去したタレントの野村沙知代さんの死因は虚血性心不全。心不全の原因には心筋症や弁膜症などさまざまですが、多いのが心筋梗塞です。国立循環器病研究センターによれば、寒さが厳しくなる12月から2月ごろにかけて心筋梗塞の発症が高まるといいます。暖かい屋内から屋外に移動する際に血圧が急激に変動することも要因とされています。そもそも、心臓の表面に張り巡らされた血管である冠動脈に起こる病気が心筋梗塞と狭心症です。心筋に血液が行き渡らなくなることから、専門的には「虚血性心疾患」といいます。週刊朝日ムック「脳卒中と心臓病いい病院」から、その予防や治療などを解説します。

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■病気 心臓を養う冠動脈の危機 完全に詰まると心筋梗塞に

 心臓は、全身へ血液を送るという生命維持に欠かせない役割を果たす臓器です。その働きを絶やさないためには、心臓自身を養う血液も必要です。そのために心臓へ血液を行き渡らせる血管が冠動脈です。心臓から全身へ血液を送る大動脈弁の出口近くで、大動脈から分岐して心臓の表面を走り、心筋内に細い血管を張り巡らします。冠動脈の主要な血管は3本あります。右の1本(右冠動脈)と、左の主幹部という左冠動脈から分かれた2本(左前下行枝、左回旋枝)です。そして、3本の血管から枝分れした細い血管が、心筋にくまなく酸素・栄養を送っています。

 この冠動脈に、加齢や生活習慣病を原因とした動脈硬化が起こるとコレステロールの塊であるプラークが付着し、冠動脈の内側の壁は狭くなっていきます。75%ほど狭くなると、血液が流れにくくなり心臓の胸痛という悲鳴を上げます。これが「狭心症」です。

 狭心症は発作の起こり方や原因などで分けられます。活動時に症状が出て、安静にすると治まる労作性。症状が増え、安静時にも起こる不安定狭心症。自覚症状のない無症候性(糖尿病患者に多い)、冠動脈が一時的に痙攣(けいれん)して起こる冠攣縮性などもあります。不安定狭心症は、心筋梗塞に進みやすい危険な狭心症です。

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症状は? 自覚がない場合も…